Everlasting(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「姉ちゃんは。 ・・ほんまのこと知ってもおれの存在は・・平気やったん?」


寺を出て3人でぶらぶらとバス停まで歩く間


陸は南に言った。


「え?」


「・・おれが。 お父ちゃんの愛人の子やったってこと。 どう考えても・・なさぬ仲ってことやもんな、」


南は宙を見て


うーんと考えた。



「別に。 なんとも思わなかった。 あんたがお母ちゃんの子やなかったって言われても。 どう考えてもあたしたちは姉弟として過ごして。 あんたとお母ちゃんも親子として暮らしてきたんやもん。 母親が違うとか、お父ちゃんの愛人の子とか。 もうそんなんどうでもいいって思えるくらい。 お母ちゃんが赤ん坊のあんたをそれはそれはかわいがっていたことも・・あたしは知ってるし。 お母ちゃんが誰かなんて、ほんまにちっさい問題やんか。」



そして


いつもの早口な彼女ではなく


ひとことひとことをかみしめるように言った。



「あんまり似てへん姉弟やなっていっつも言われてたけど。 お母ちゃんに育てられて、教えられて生きてきたことには間違いない。 まちがいなく『姉弟』やん、あたしたち。」


「今、遺伝子学上の親が優先されるとか・・いろいろあるけど。 人間、そんな簡単なもんやないよね。 家族として暮らして、そこからほんまの『家族』って始まると思うし、」


紗枝も静かに言った。



「少なくとも。 それ知る以前も、知ってからも。 陸の見方が変わるとか、そういうの全然ないから。 今までとおんなじように、鬱陶しくてお節介な姉ちゃんでいたいから、」


南は陸の背中をポンと叩いて



「で! 結婚式はいつにする?」


いきなりぱあっと明るい顔になった。


「は・・?」


陸はいきなりの展開に驚く。


「まさか。 あんた式も挙げへんつもりちゃうやろなあ・・。 紗枝ちゃんは一人娘さんやで。 お父さんお母さんのためにもちゃーんと式挙げてあげな、」


「ちょ、ちょっと。 いいわよ。 今さら・・」


紗枝も少し迷惑そうに言った。


「え、ダメダメ! あたしも陸の結婚式を挙げてやって、ようやくお母ちゃんに顔向けできるって思ってるから。 最後までやってよ!」


「だから! もうそれはええって言うたやん! お母ちゃんのためとか!」


陸は心底迷惑そうに言った。


「ここまで来たんやから。 もうちょっとでゴールって時に違うトコ曲がっちゃうみたいになっちゃうから! ま、二人とも大阪やし。 場所は大阪でいいか。」


いきなり南はスマホを取り出していろいろと検索をし始めてしまった。


「だから! ほんまにええってば。 恥ずかしいから!」


紗枝はその手を抑えた。


「紗枝ちゃん・・・。 そんなに美しいのに。 ウェディングドレスも着なくちゃ・・。 だいじょぶだいじょぶ。 任せておいて!」




南は気を利かせたのか、彼らよりも早い新幹線で一人帰ってしまった。


「南ちゃん、嬉しそうやったなあ。」


喫茶店で新幹線の時間までをつぶしていた陸と紗枝は


お互いに笑いあった。


「もうあんたも大人なんやから、あたしはなんも言わんとか言っておいて。 ほんまにお節介というか、」


陸はコーヒーを口にした。


「まあ。 あたしのため、というより。 お姉ちゃん孝行のつもりで。 やってあげたら? なんだかんだ言うて。 ずーっとお母さんとのこと後悔してんねん。 きっと。 ようやくお母さんに顔向けできるとか、そういう風に思ってるんやない?」


「・・・」


お節介と思いながら


陸は姉の気持ちを思う。




「帰ってきたと思ったら。 なに、コレ。」


真太郎は家に戻ると、さっそくリビングのテーブルに


ウェディング雑誌やパンフなどが並べられているのを見て呆れた。


「紗枝ちゃんのお父さんとお母さんが気持ちよく許して下さったんやから。 あとは。 コレっきゃないでしょう!」


南はもう止められないほどの勢いがついていた。


「・・成田さんの希望だって・・あるでしょうよ、」


それらを手にして真太郎はさらに呆れた。


「紗枝ちゃん、あんまり興味ないみたいなの。 もったいないでしょ? あんなにキレイなのに!」


「だからさ、南の結婚式じゃないんだってば、」


ほんと


いつになっても変わんないよな。


真太郎は最後には笑ってしまった。



やっぱり南はかわいい弟のために張り切ってしまうのでした…



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