Everlasting(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

陸の真摯な態度に


紗枝の父はしばらく黙ったままだったが



「・・娘のことは。 東京へ行くことになった、という時点で諦めていました。 ひょっとしたらもう帰ってけえへんと思っていましたから。 家内と二人、紗枝のことはもう好きにさせてやってええんやないか、と話していました、」


静かに話し始め


陸は顔を上げた。



「一人娘ですし、我々も年を取っていく。 まあ、不安がないわけではないですが。 どっちかがアカンようになったら、ホームにでもなんでも入れてもらうだけでええわって。」


父はふっと笑った。


「・・お父さん、」


紗枝の胸中は複雑だった。


「子供に面倒を見てもらおうと思って育ててるわけでもなんでもないし。 自立してくれることが一番の親孝行やって思っているから。」



父はおもむろに座布団から降りて



「・・娘を、よろしくお願いします、」



逆に陸に頭を下げた。



「とにかく・・子供のころから気が強くて。 学校でも学級委員やら生徒会長やら、上に立っていろいろやるのが好きな子でした。 女でこんなでは嫁の貰い手もないやろって心配していて・・まあ、半分心配が当たってしまったけれども。 こうして・・そんな娘でももらってくれはるって言うて下さって。 ありがとうございます、」



「お父さん、」


紗枝は声を詰まらせた。



もうこの年になって結婚するとかしないとか


親は無関心なのだと思っていた。


それでもやっぱり


いくつになっても娘が嫁に行く、というのは親としては感慨深いものであるということを


父のその姿から痛いほど伝わってきた。



「よろしくお願いします、」


紗枝の母も静かに頭を下げた。



「あ、あ、ありがとうございます!」


こんなにもすんなりと許してもらえると思っていなかった陸は逆に緊張して


さっきよりもさらに深く頭を下げた。



「・・大丈夫よ。 お父さんとお母さんのことは。 ちゃんと見ますから。」


紗枝は少しだけ無理に笑顔を作って


そんな風に言った。


「まだそんなにも老いぼれてへんわ、」


父もようやく笑った。




紗枝の実家は大阪市内で、大坂城がマンションから見える場所だった。


いわゆる大阪の中心、なのだが


南と陸が生まれ育った堺市はそこから電車で乗り換えもあって40分ほどの下町だった。



翌日の午前中


紗枝は彼らと二人の母親の墓がある寺に向かった。



静かに線香と花を手向けて


手を合わせる。



陸は丁寧に墓石を掃除してやって周囲もきれいにしてやった。


「ここでも性格が出るなあ、」


南は笑った。


「お母ちゃん、掃除にうるさかったからなあ。 姉ちゃんの部屋はいつも汚いってそんなアホらしいことでめっちゃケンカになってな、」


陸も思い出して笑う。


この前来た時はお盆で


セミの声がうるさいくらいだったが


今はもう枯葉が舞っている。



紗枝は両親の思いに感謝します。 そして、陸たちの母親の墓参りに行き…


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