「・・ちょ、っと待って、」
紗枝は激しく動揺していた。
「ぼくは成田さんが東京に残る話を聞いても、もちろん別れるつもりはなかったし、あまりショックではなかった。 ああ、それなら成田さんのそばにいられるように自分が考えればいいことやと思ってましたから、」
陸は何でもないようにそう言った。
「最初に上司に申し出た時、非常に困ると言われました。 会社にも都合がありますしぼく一人の意見でどうこうなることでもなかったし。 もし、アカンて言われたら・・・会社辞めて独立してもいいかなとも思いましたし、」
なんで?
なんでこの人…こんなに大事なことこんなにあっさりと言ってくれちゃうの?
紗枝は陸の気持ちが全く理解できなかった。
「ホクトであなたに悪いうわさがたったと聞いてからずっと考えていました。 何かきちんとせんとアカンちゃうんやろか、って。 ようやくその答えが見つかりました。」
「・・こたえ・・?」
ようやく紗枝は言葉を発することができた。
陸はさらに居住まいを正した。
「ぼくと。 結婚してください!」
そして、まるで土下座をするかのように頭を下げた。
さすがの紗枝も
正直
キャパがいっぱいになり。
頭が混乱し
いっぺんにいろんなことを考えてしまい
爆発しそうだった・・・
「この前も言ったように。 あなたを一生大切にします。 つきあうようになってから・・ほんまはずっと考えてました。 ひょっとしてもう少し先でも良かったかもしれへんとも・・思いました。 でも、これからもあなたが何の心配もないように仕事に打ち込めるようにするのがぼくの役目やと思いました。 そして、あなたの一番そばにいて、いつでも寄り添っていたいと思いました。」
陸は頭を垂れたまま
一気にそう言った。
待って。
紗枝はそう言いたかったのに
たったそれだけの言葉も口にできないほど胸がいっぱいになった。
陸はゆっくりと顔を上げた。
「本気です。 そのためにあなたのそばにいられる方法を・・ずっと考えていました。 何とか会社も納得してくれて、こちらにいられることになりました。 」
こんなにも大事なことを言っているのに
全くいつもと同じように冷静で落ち着いていた。
「・・あ、あたしが。 ・・断ったら、どうするの、」
ようやく言葉が出た。
陸はふっと笑って
「うん、と言ってくれるまで。 お願いします。 もう決心したので。」
穏やかにそう言った。
「この運命を始めてしまったのは・・ぼくですから。」
また
雨が降る音が聞こえた。
なんと陸は会社に掛けあって東京で仕事ができるように取り計らってもらう、という手段に出ました。 からの…プロポーズにもう紗枝は驚きっぱなしで・・
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