Everlasting(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

このまま


流されそう



紗枝はもうすっかり自分の中身全部を彼に持って行かれてしまったように思えた。



いつのまにか目にいっぱい涙が溜まっていて


瞬きをしたときにポロっとこぼれた。




「・・そんな簡単に。 『うん』なんて・・言わないよ。 あたし、」



でもやっぱり


そんな風に言ってしまう。


陸は別に動揺することもなく



「ああ、もちろん。 ぼくもそんなに簡単にOKしてくれるだなんて思ってませんから、」



少し笑った。



どうして。


この人はこんなに優しいの。


こんなにわがままなあたしの


いつも先へ先へと行っている。



「ひとつだけ言えるのは。 どうなったとしても自分のしたことには後悔はしません。 だから成田さんもひとつも僕に遠慮なんかすることなく。 決めてください。 ぼくはもう、自分の思うように生きることに決めたので、」



陸は立ち上がった。



「そして。 あなたがそんなことで自分の人生を諦めたりしないことも。 わかってます。」



悔しいけれど


何も言えずに。



玄関のドアが閉まる音がしてハッとした。



「か、傘!」



紗枝はそこにあった自分の傘を手にしてドアを開けたが


もう陸の姿はそこになかった。



廊下の窓を打ち付けるほどの雨の音だけが響いている。



追いかけようか


傘をぎゅっと握りしめる。



しかし


紗枝は思い直して自分の部屋に戻る。


そしてベランダに慌てて出て行った。


まるで夕立のような激しい雨だったが


エントランスを出る彼の姿があった。



きちんと傘をさしていた。



今日は天気予報でも雨なんてひとことも言っていなかったのに。


紗枝はその姿にふと笑みがこぼれる。



絶対にどこにも堕ちることなく


いつもいつもこうやって冷静なのに


あんな風に激しい思いをぶつけてくる彼に


いつの間にか後戻りできないほどの想いを抱いて。



もう彼女の気持ちの三手先くらいわかってしまっているような陸。 紗枝の心は揺れます…




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