Liebesträume(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ごめん、つきあえないよ、」

 

ひなたは小さい声だがきっぱりとそう言った。

 

 

「え、」

 

 

何となく彼女の気持ちが自分に傾いているんじゃないかと思っていた奏はハッとした。

 

 

「・・無理、だと思う。」

 


そしてうつむいた。

 

 

「無理、って。」

 

 



なんだか納得できなかった。

 

 

「あたしは。 ピアノのことはよくわかんないけど。 きっと高遠くんはすごい人になるんだと思う。 ていうか、高遠くんがすごい人になりたいって思ってるんだと思う、」

 

 

 

ひなたはうまく言葉にできないながらも一生懸命に彼にそう言った。

 

 

 

「・・そりゃ。 できる限り上を目指して頑張りたいって思ってるよ。 でも、それとこれとどういう関係があるって言うんだよ、」

 

 

 

「あたしはピアノのことわかんないけど、パパがこういう仕事してて、パパの周りにもそういう人たちがたくさんいるから、『すごい人』たちがどんなに大変かわかってる。 何よりも音楽を優先して生きて来てるかも・・なんとなくはわかる。」

 

 

奏はひなたの言いたいことがわかるようでわからなかった。

 

 

 

「こわいよ。 高遠くんのことを好きになるのが、」

 

 

 

 

そしてひなたはまっすぐに奏を見た。

 

 

 

 

「こわい・・?」

 

 

 

「好きになったら・・。 あたしは高遠くんのお母さんみたいに、高遠くんのピアノを一番に考えてあげられない、」

 

 

 

母は自分の彼への思いよりも

 

 

 

彼のその才能を大切に思い

 

 

大変な苦労をするとわかっていて一人で自分を産んだ。

 

 

 

「エリちゃんだって。 まーくんのこと大好きで。 まーくんのピアノが大好きで。 すっごい大変な思いしたってパパが言ってた。 自分だってすごいピアニストだったのに、まーくんのためにその道から外れてしまったって。」

 

 

 

 

「ピアノとひなたを比べたりしない、おれは。」

 

 

 

奏はムッとした表情で反論した。

 

 

「・・あたし。 男の子とつきあったことないし。 ますますどうしていいかわかんないよ。 でも、少なくとも高遠くんは・・ピアノを大事にした方がいいって、それだけはわかる。」

 

 

奏はスッとひなたの左手を取った。

 

 

え・・

 

 

ドキッとして彼を見た。

 

 

 

「自分の父親のことがわかるかもしれないと思って最初は近づいた。 でも今は・・ずうっとひなたと一緒にいたいんだ。 なんか・・いてくれないとダメな気がするんだ、」

 

 

 

奏は少しうつむいてそう言ったかと思うと、その手にぎゅっと力を入れて

 

 

 

「絶対に。 離したくないんだ。 ずっと、」

 

 

 

 

まるでドラマやマンガの世界みたい

 

 

 

 

ひなたは全く現実感がなくなっていた。

 

 

 

まだ中2だっていうのに。

 

 

一生のプロポーズをされている気持ちになり

 

 

もう胸の鼓動が外にまで漏れているのではないか、と思えるくらいだった。

 

 

 

そのあとは

 

 

家に着くまで無言になってしまった。

 

 

ひなたが家の前まで送ってくれた奏に

 

 

「・・ありがと、」

 

 

振り返らずに礼を言って門を開けて入って行こうとすると

 

 

 

「・・おれ。 諦めないから。 ほんとに本気だから、」

 

 

 

奏はいつものように穏やかに、それでいてキッパリとひなたの背中に声をかけた。

 

 

一瞬立ち止まったひなただったが

 

 

振り返らずにそのまま家に入って行った。

 

 

 

ひなたは何となく怖い気持ちで最後の一歩が踏み込めません。それでも奏は超真剣で…

 

 

 

 



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