Liebesträume(3) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「3位やったんか。 よかったな、」

 

志藤は明るく竜生に近づいた。

 

 

竜生はチラっと志藤を一瞥した後、またがっくりとうなだれた。

 

 

「初めてのコンクールで本選3位なんて。 胸張ってもいいと思うで、」

 

 

「・・もっと。 できると思ったのに、」

 

 

ようやく小さな声を出した。

 

 

「ウン。 コンクールってそんなんの繰り返しやん。」

 

 

実際は竜生も北都マサヒロと沢藤絵梨沙の息子ということで話題にはなっていた。

 

 

同じ年の子供たちと比べると竜生は巧かったが、やはり初めての経験で場に慣れなかったようだった。

 

 

「カッコ悪いよ。 北都マサヒロの息子とか言われて・・写真とかも撮られたりしたのに。」

 

 

「だーかーら。 それ承知で出たんやろ? これからおまえがピアノをずっと続けて行こうと思ったら、イヤでもついてくるってわかってんだろ? ママはそれ考えてまだ竜生には早いって思って止めてたんやん。 もう少し大きくなってそういうことも精神的に耐えられるようになるまでって思ってたと思うで。 でもおまえは今コンクールに出る道を選んだんやから。 こんなことで負けたらアカンやん。」

 

 

志藤は優しくそう言って竜生の頭をくしゃっと撫でた。

 

 

「でも。 悔しいって気持ちがあるうちは大丈夫。 いつか・・実る時は来る。」

 

 

そう言われて竜生はポロっと涙をこぼして手でぬぐった。

 

 

絵梨沙はそんな竜生の背中を優しく撫でた。

 

 

 

 

「あんなに小さいのに。 ちゃーんと自分に乗っかってる重圧とかもわかってる。 すごいよな、」

 

 

 

 

奏は帰り道歩きながらひなたに言った。

 

 

「あたしは親が有名人じゃなくてよかった、」

 

 

つくづくそう言った。

 

 

そして奏は急に歩くのをやめた。

 

 

「え? どしたの?」

 

 

ひなたも立ち止まる。

 

 

奏はひとつ息をついてから彼女を見て

 

 

 

「すっごい迷ったんだけど、」

 

 

 

と前置きをした。

 

 

「は?」

 

 

奏は一歩ひなたに近づいた。

 

 

「な、なに・・?」

 

 

ちょっと異様な気がして少し下がってしまった。

 

 

 

「おれと。 つきあってくれない?」

 

 

 

 

まさか

 

 

 

ここでくるとは思わず

 

 

告白慣れしてるひなたも非常に慌てた。

 

 

「…え? は?」

 

 

「このまんま仲いい友達とかでも・・いいのかなって思った。 でも・・やっぱどう考えても・・ひなたのことが好きだし、友達じゃなくって特別になりたいって思う、」

 

 

「ちょ、ちょっと、まって、」

 

 

 

ヤバい

 

 

 

ヤバい

 

 

 

ひなたはパニくった。

 

 

 

 

と、特別って・・ナニ??

 

 

 

もういろんな妄想が渦巻いてしまった。

 

 

 

押し黙ってしまったひなたに

 

 

 

 

「・・ダメ、かな?」

 

 

 

 

奏は彼女の表情を伺った。

 

 

 

 

彼が自分の目の前に現れてからまだ数か月。

 

 

 

こんなにも関わることになるとは夢にも思わなかったけど。

 

 

その時間はもう何年にも感じるほど濃いものだった。

 

 

どんどん彼に惹かれていく自分もわかっていた。

 

 

だけど。

 

 

 

ひなたはようやく奏を見やった。

 

 

 

 

そしてついに奏はひなたとつきあいたい、と告白します…

 

 

 



人気ブログランキングへ

↑↑↑↑↑↑

 

読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!