Liebesträume(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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家に帰り、洗面所で手を洗っていると、先に戻っていた志藤が

 

「おかえり、」

 

 

と声をかけた。

 

 

「・・ただいま。」

 

 

ボソっと言うだけで全く元気のない娘に

 

 

「どした?」

 

 

気になってそう言った。

 

 

「え・・? べつに、」

 

 

全く素っ気なくそう言われてそのままスーッと洗面所を出て行ってしまった。

 

 

 

奏と一緒だったことはわかっていたので

 

 

 

どうにもこうにもひなたの様子が気になってしょうがなかった。

 

 

 

 

ひなたとずっと一緒にいたい

 

 

 

 

 

彼の言葉がさっきからずっと頭の中をグルグルしていた。

 

 

 

悔しいけど胸がときめく。

 

 

でも

 

 

少し怖い、と思う自分もいる。

 

 

 

 

「ぜえったい、なんかあったんやって。」

 

 

 

 

志藤は酒のせいか、さっきから同じことばかり言っていた。

 

 

「なんかって。」

 

 

ゆうこは彼を窘めた。

 

 

「・・いつもはおれに何でも話してくれるのに。 『別に』やもん。」

 

 

志藤はひなたのマネまでした。

 

 

 

「・・もし。 なんかあったとして。 それをあなたに言わなくなったのは。 『普通』なんじゃないですか?」

 

 

 

ゆうこは落ち着いて志藤の前に座った。

 

 

「あ?」

 

 

「ひなたが少しは大人になったってことだと思いますよ。」

 

 

そしてふっと笑った。

 

 

「大人・・って、」

 

 

志藤はまたまた顔が険しくなってしまった。

 

 

「相手のことを・・大切だなと思えば思うほど・・親になんか軽々しく言えませんよ。 今までひなたは男の子と特別につきあうよりもみんなでワイワイ遊ぶ方が楽しいって言ってたでしょ? うまく言えないんですけど、そこから卒業しようとしているんじゃないかなって、」

 

 

 

志藤は宙を見て大きな大きなため息をついた。

 

 

 

 

「ほんま。 娘ってつまらん、」

 

 

 

 

「え? そうですか? あたしはこれからひなたたちがどんな女の子になっていくのかすっごく楽しみですけど、」

 

 

 

女親はやはり達観している。

 

 

 

 

翌朝の全校朝会で奏はコンクール優勝の報告をして生徒たちから拍手喝采を浴びた。

 

 

 

 

もともと目立つ容姿の上にピアノの才能まで、ということになると

 

 

あっという間に学校中の有名人になっていった。

 

 

教室に帰ろうと階段を上っていると

 

 

 

「めっちゃイケメンじゃなかった?」

 

 

 

「転校してきたときから騒がれてたじゃん、」

 

 

3年生女子が早速奏の噂をしているのが耳に入った。

 

 

「すっごい大人っぽいよねー。 彼女いるのかなァ、」

 

 

「ああ、なんかね。 後輩が言ってたけど。 2年の志藤ひなたと付き合ってるらしいよ、」

 

 

ギクっとした。

 

 

「え? マジ~? あいつ、ほんっと美味しいとこもってくと思わない?」

 

 

ひなたは慌てて階段を昇った。

 

 

 

げっ? 世間ではそういうことになってるの???

 

 

 

 

今さらながら自分に驚いた。

 

 

 

 

これまでを振り返ると十分『つきあってる』感じではありましたが…

 

 

 



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