Thank you for your smile(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・・おれは・・甘えていました、」



結城はさらに落ち着いた様子でそう続けた。




「なんで・・・おれが思うことは遂げられないのか。 いつも、そんな不満ばかりでした。 それは・・・バチ当たりなほどのわがままで・・・全て自分の責任なのに・・・きちんと向き合うこともせずに。 ・・・この前の・・北都マサヒロさんのリサイタルは本当に感動的でした。 初めて彼のピアノを聴いた時と寸分違わぬ思いが蘇って。 この仕事にかかわれる自分が幸せだって・・思えたのに。 本当は絶対にやめたくなんかなかったのに、」



語尾が震えてしまった。



みんなが水を打ったようにシンとした空気を保っていた時



結城はいきなりその場に深く身を沈めて



土下座をして、額を床にこすりつけた。





は・・・・・・





そこにいた誰もが凍りついてしまった。





「これからは! 生まれ変わった気持ちで・・・・この仕事に邁進していきます!! だから・・・もう一度チャンスを下さい!!! おれは・・・クラシック音楽から離れて・・もう生きていけないって!!」




なぜ


みんなが凍りついたのか。



それはもちろん


こんな彼の姿を見たのが初めてだったからだ。




いつもいつもクールで


物事を上から見ているようで



感情を表に出すことだって全くないと言っていいくらいだった。




結城・・・




玉田は『あの時』のことを思い出してしまった。



『あの時』も彼は子供のように泣きじゃくり


自分の感情を全てぶつけてくれた。




斯波はずっと動くこともなかったが、スッと立ち上がり



「・・・人間さ、変るったってなかなか変れるもんじゃないよな、」



ポツリと言った。



結城はその言葉をまだ頭を下げながら聞いていた。



「今度のことはおまえが被害者で、本当は責められるべきことじゃあない。 だけどおまえが同じ気持ちでいたら・・きっといつかまた同じことになる。」



シンとした空気の中に斯波の低い声だけが響いた。



「口ではなんとでも言える。」



厳しい斯波の言葉に南は少し驚いた。



この前


結城を辞めさせたくない、と力を込めて話していた。


彼が『退職願』を持ってきたら、優しく突っぱねると思っていたのに。




「辞めても受け皿がある人間はいいよな。 実家で親に守られて生きていきゃいいんだから、」




さらに辛辣な言葉を投げかける。



結城はさらに頭を沈めるようにうな垂れた。



結城を庇い続けた斯波の思わぬ辛辣な言葉に・・・




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