「やっぱり来たのは間違いでしたよ・・・。 こーなることわかってたし、」
志藤はため息をついて、ぐでんぐでんになった南をタクシーに押し込んだ。
「ったく! 重いっ!」
真太郎は続けてやはりぐでんぐでんになった真緒も押し込んだ。
「じゃあ、おつかれさまでした。」
真太郎はタクシーの助手席に乗り込む。
「ホント。 世話が焼けるったら・・・」
志藤は小さく手を振った。
そして。
「頼む! 頼むから! 歩いてくれっ!!」
やはり酔っぱらって真っ直ぐも歩けないくらいになってしまった夏希を迎えに来た高宮がもう引きずるようにタクシーまで歩かせた。
「おまえも災難やなあ・・・。」
志藤はまたも同情した。
「ほんっと! 彼女重いんですよぉ・・・。 筋肉質だし、」
「たぶん・・・・人造人間やろな、 ホレ!」
志藤はタクシーに夏希のバッグを先に放り込んだ。
二人のタクシーを見送った後、
「・・んじゃ。 頼むね。」
志藤は結城を見た。
「なんでおれがこんな目に・・」
結城はもう何をしても起きなくなってしまった有吏を負ぶっていた。
「だって今日は斯波も来てへんし・・・。かわいそうやからタクシーだけ拾ってやるわ。 んで、住所。 ここな。 斯波ンとこのマンションの部屋の隣。」
志藤はメモにサラサラと住所を書いて、彼にほいっと渡した。
「んっとに意味わかんね~~~。 潰すだけ潰しといて、」
小柄な有吏だが成人男性をひとり負ぶるのはかなりしんどい。
「しゃーないやん。 潰したヤツも潰れてもーたんやから。 ホレ。 タクシー来たし、」
志藤はお気楽に笑った。
「ゆ、ユーリ!」
この日は店が休みで家にいたあゆみは結城に担がれてきた弟を見て驚いた。
「もう! どーしちゃったの???」
ほっぺたをひっぱたいて見たが、もう眠り込んでしまって反応しない。
「あ~~~~、重かった・・・。 って、アレ???」
結城はあゆみの顔を覗き込んで驚いた。
「は?」
あゆみも彼を見た。
「・・・・バンソウコウ・・・」
結城は思わず指を指してしまった。
「あ・・」
あゆみも思い出した。
「そっか。 コイツのお姉ちゃんだったんだ。 だからあの時ホールに・・・」
結城はドサっと有吏を玄関のあがりまちに置いた。
「有吏の会社の人だったなんて・・・。 すみません、お世話をかけて。」
「いーえ。 オトナになった記念に怖い先輩たちからむちゃくちゃ飲まされちゃったみたいなんで、」
と笑った。
「しょうがないなァ、」
「んじゃ。」
と、彼が帰ろうとすると
「あのっ!」
あゆみは呼び止めた。
「は?」
「・・・あの、申し訳ないんですけども・・・。」
もじもじしながら言った。
「あ~~~! ほんっと重いっつーの!」
「すみません・・。 あたしじゃあ、とても運べないし、」
結城は成り行きで彼のベッドまでもう物体と化した有吏を運び込むハメになった。
偶然に出会った結城とあゆみは、ひょんなことからまた出会ってしまいます。
え? 恋の予感? ・・・どーでしょう・・(^ε^)
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