「あら、初めてのお客様?」
そこに、少し派手めだが、長い黒髪が印象的な女性が現れた。
「ああ、リエちゃんはこの前いなかったから。 こちら北都社長のご子息でホクトエンターテイメントの専務でいらっしゃる真太郎さんよ、」
ママがその彼女に真太郎を紹介した。
「え、北都社長の? そういえば・・・似てらっしゃる、」
なんともエキゾチックなその美女は真太郎の隣に座った。
「リエです。 よろしくお願いします。」
「こちらこそ。 こちらには度々お世話になっています、」
真太郎もお辞儀をすると、
「真面目な方なのねえ。 北都グループの御曹司なんて遊び倒してそうなのに、」
リエはクスっと笑った。
「いえ・・。 本当は酒も苦手だし。 けっこうインドア派だし、」
真太郎は頭をかいて笑った。
見た目と違って、彼の暮らしぶりは本当に地味で。
趣味といえるものもなく、ストイックに仕事をこなす。
「お若いけどもう結婚されて何年も経つのよね、」
ママが笑うと、
「え、結婚されてるの? いきなりショックだわ、」
リエはオーバーにそう言って笑った。
4つ年上の姉さん女房ひとすじで。
『初恋』といっていいほどの相手・南だけをひたすら愛し。
女性は彼女しか知らず、もちろん浮気なんてことも一度もない。
「え、ユーリのお姉ちゃんのお店に行ってきたの?」
帰ってきた真太郎のスーツの上着を受け取りながら南は言った。
「ウン。 あそこは誰を連れて行っても喜んでくれるし。 ママさんもいい人だし。 女性の平均年齢がちょっと高いけど、そこがまた落ち着くってゆーか、」
真太郎はシャツの腕ボタンを外しながらそう言って笑った。
「真太郎はさ~~、やっぱり年上好きだよね。」
南は笑う。
「はあ?」
「熟女好きってゆーか、」
「熟女って、」
「あ、あたしも立派な熟女か、」
南はひとりでつっこんでひとりで笑ってしまった。
そんな彼女を見て真太郎も笑ってしまう。
落ち着きを取り戻した南たちですが・・
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