Serenade(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

萌香からその後の彼女の悲惨な生活を知らされて


彼女は変わり果ててしまったのではないか、と想像していたが


それが考えすぎであったことをすぐに思い知り。



萌香の母は


娘と姉妹であると言ってもいいほど、若々しく


そして美しかった。




津村はよろめくように彼女に歩み寄った。



「静香・・・・」



もう、これまでの思いがあふれて止まらなくなった。



「・・・・今さら。 会うなんてこと・・・・ええんかって思ったけど、」



静香はうつむいて小さな声でそう言った。



「・・・ほんまに。 来てくれて・・・嬉しい。 信じられへん・・・」


津村は涙で声を詰まらせた。


「萌香から・・・・。 祐ちゃんのこと訊いて。 びっくりした・・・・。 もう二度と会うことはないって思ってたし、」


「・・・ほんまに。 静香がどれだけの・・苦労をしてきたかと思うと。 おれ・・・どないしてええんかわからへん、」


津村はハンカチで顔を覆った。



そんな二人に斯波は



「・・上のレストランの個室をとってあります。 お二人でゆっくりと話をしてください、」


と声をかけた。



「え・・・」


二人は驚いて斯波と萌香を見た。


すべてここまで段取りをしていたのか、と思い


その思いに胸が熱くなる。



しかし



「・・・あ、あんたらも・・一緒に、」


静香は斯波に縋るように言った。


「え、」


「・・いきなり・・二人で話するなんて。 どーしてええかわからへん・・・」


戸惑うように目を伏せた。


斯波は萌香と目を合わせた。





4人でレストランの個室に移動した。



「これまでの・・・きみの苦労を思ったら。 もう自分が恥ずかしくなるくらいで。 全てを萌香さんから聞いた時・・もう茫然としてしまった。 自分のふがいなさばかり、後悔して・・・」


津村はまだ声を震わせながら静香に言った。



「・・もう。 しょうがなかったやんか。 祐ちゃんかて高校生やったし。 ・・萌香を産むことは最後はあたしが決めたことやし。 確かに・・・大変やったけど。 結局、あたしは母親らしいことなんかなにひとつでけへんかったんやで、」



母に津村のことを話した時に


最初は驚いていたけれど、想像よりも彼女はずっと落ち着いていた。


今も話をしながらも何だか他人事のようで。


萌香はジッと母を見ていた。



「なんもわからないうちに・・母親になって。 萌香にひどいことしてきたし。 あたしは祐ちゃんに謝られるようなことなんもしてへんし、」



「ウチの両親にもひどいことを言われて。 どれだけ傷ついたかと思うと・・・胸が痛い。」



すると静香はふっと微笑んで



「一度。 『椿屋』の近くまで行って。・・・・様子を見に行ったことあるんやで、」



津村に言った。



「え、」


「・・・キレイな奥さんがいはった。 祐ちゃんの姿も見たけど。 一緒に楽しそうに店に出て、」




萌香もその話は初耳だった。



全く父親の話はしなかったのに


やはりずっと気になっていたのだろう・・・・




津村はその話を聞いてつらそうに


「・・・ロンドンから戻って。 3年位したころ・・・見合いで一緒になった。 妻との間には子供ができずに・・彼女も4年前にガンを患って亡くなった、」



目を伏せた。




「亡くなりはったんか・・・・」



静香は小さなため息をついた。




母は津村を恨んではいませんでした・・・・



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