Ein Traum~夢(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

コンチェルトの曲目が決まったのはそれから1ヵ月後のことだった。



「・・・ベートーヴェンの・・『皇帝』??」



カールがシェーンベルグのスタジオにやってきて、楽譜を手渡した。



「壮大で華やかで。 アニバーサリーにはぴったりです。 きみにもぴったりだと思ったから、」



「・・皇帝は・・初めてだなあ・・」


真尋は楽譜をざっと見た。



「時間がかかりそうじゃの、」


シェーンベルグは絵梨沙の作ってきたフルーツゼリーを食べながら、人ごとのように言った。



「具体的なスケジュールはのちほど。」


「あ、日本の事務所にも送っておいて。 うるせーから、」


真尋の命令口調に絵梨沙は


「もう、失礼よ、」


彼を小突いた。


カールは笑って


「きみは大物だね、」


と、半ば呆れたように言った。





シェーンベルグはまだ咳をしていた。


「先生、ちゃんと病院には行っているんですか?」


絵梨沙はミネラルウオーターをコップに注いで手渡した。


「・・わしのことはいいから。 こいつの心配をしてやれ、」


まだ咳き込みながら真尋を指差して言った。




なんだか心配・・・



絵梨沙は顔色がよくないのも心配だった。




真尋は日本に仕事で1週間ほど滞在することになった。


この仕事から帰ったら本格的に『皇帝』のレッスンに入ることになっていた。



「マリー、どうしたの? 大好きなケーキも残して、」


マリーの家に来た絵梨沙は元気のないマリーを気にした。


「なんか・・・のどがすごくいたい、」


マリーはテーブルにつっぷした。


「え?」


慌てて額に触れると熱かった。



「・・熱・・。 熱があるんじゃない?」


絵梨沙は慌てて両手でマリーの首筋に触れた。



目もとろんとしている。



「大変。 病院に行かなくちゃ、」



絵梨沙は慌てて支度を始めた。



マリーはすでに39℃の熱があり、医師の診断は扁桃腺炎だった。



「レオさんに電話しなくちゃ・・・」


病院からレオに電話をしたが、つながらない。



「困ったなあ・・・」



と、ふと病院の窓の外を見ると


外のベンチにシェーンベルグと孫のカタリナがいるのが見えた。



先生・・?



なにやら深刻そうな話をしている。


カタリナがシェーンベルグの腕に縋るようになにかを必死に言っているようだが


彼はそれに首を振るばかりのようだった。



なんだろう・・・



絵梨沙はその様子が気になってドキドキしてしまった。



「・・エリサ・・・お水がのみたい・・」


マリーが苦しそうに言った。


「・・お水ね、今もらってくるから。 待っていて。」


気になりながらもマリーの様子も気がかりでどうしていいかわからなかった。



コンチェルトの曲目も決まりましたが、シェーンベルグが・・・?



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