Ein Traum~夢(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

絵梨沙は後ろに気配を感じて振り返る。


シェーンベルグがいつの間にかに来ていた。



「先生・・・」



いつもは厳しい人なのに


この日は真尋を見つめる目がすごく優しかった。




何も言わなかったけれど、彼がここに来たことが絵梨沙には嬉しかった。


言葉を交わさずとも気持ちが伝わる気がして。




ベートーヴェン『悲愴』やブラームスのハンガリー舞曲で盛り上がり


真尋もみんな笑顔で。




一方的に音楽を聴かせる場ではなく


手拍子をするお客さんとのこの距離感。


肌に直に伝わる感覚が大好きだった。



ライヴはなかなか終わらなかった。


アンコールが何度もかかって。



真尋は本当に最後、と言って


リストの『愛の夢第3番』を奏ではじめた。




いつ聴いても心が洗われるような旋律。


絵梨沙は目を閉じてその音に酔っていた。




その曲の終わりを待って、シェーンベルグは立ち上がった。



その時、少し足元がふらついたので絵梨沙は思わず


「大丈夫ですか、」


と、彼を支えた。


「・・よろけただけだ。」


「お宅までお送りします、」


何だか以前よりも足元がおぼつかない気がして絵梨沙は心配した。



「おまえさんのが大事にしないとダメだろう。」



シェーンベルグはそう言ってフッと笑ってその場を去ってしまった。






「・・・・寝ちゃったの?」


家に帰ったのは深夜だった。


真尋はぐったりと絵梨沙の膝枕に身体を投げ出して、目をつぶっていた。



「ううん・・・。 すんげえ・・気持ちいい。」


真尋は目を閉じながら微笑んだ。



絵梨沙はそっと彼の頭を撫でた。



「もっと。 がんばろ。 まだまだたくさんの人達におれのピアノを聴いてもらうために、」



そう言って彼女のおなかに優しく触れた。



「・・うん、」



絵梨沙は彼の手の上から自分の手を乗せた。



ささやかだけど


こんな時間が幸せだった。



まだまだ真尋が発展途上だった頃のお話です。このあと真尋と絵梨沙にはまだ困難がやってきます・・・



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