Sanftheit~優しさ(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

創立祭まであと1週間に迫った。


私はできるだけオケの練習に足を運んだが、だんだんと合うようになっているものの


物足りなさを感じていた。



彼の良さが全く現れていない。




「ま。 普通だよな。 とりたてて上手いわけじゃないし。 あのクラスのピアニストならここにたくさんいるよ、」


「ま、無難に収めればいいんじゃない?」



オケのメンバーたちは相変わらず彼を酷評し、私はそんな陰口を耳にするたびに


悔しい思いでいっぱいだった。




「いつも熱心ね、」


私にエレナが声を掛けてきた。


「え・・・」


ドキンとした。


「彼が。 心配?」


見透かされたように言われて、



「・・・そういうわけじゃないけど・・・・」


「あなたたち。 つきあってるの?」


そう言われて、


「つ、つきあってなんかないわよ・・・。 そんな、」


私は精一杯の否定をした。



「でも。 彼にまとわりついているじゃない。 ピアノバーでも・・ここでも、」


彼女にそんな風に見られていた、と思うとすごく恥ずかしかった。




「・・彼の。 ラフマの2番を聴きたいだけ・・。 あなただって彼の才能はわかっているはず、」


私は半分本音を言った。



「・・そうね。 私も彼のピアノを聴きたい。 まだまだ彼らしさが出てなくて、もどかしいけど。 みんな言いたいこといってるけど、私は彼の力を信じてる。 きっとマエストロも、」



彼女の力強い瞳がなんだか頼もしかった。



こうして信じてくれている人もいる。



そう思うと心強かった。



「彼のピアノが好き?」



いきなりそう聞かれて



「えっ・・・ええ。」


戸惑いながら頷いた。



「それとも・・・彼自身が好き?」


ちょっとからかうように言われて、




「・・・・・・」




私は何も答えられなかった。



というか


否定もできなかった。



私は彼のピアノが好きで側にいたいと思うのか。



それとも・・・・





それまで全く恋愛経験がないに等しかった私は


彼からのアプローチもどうしていいかわからずに


彼から遠ざかるわけでもなく、何となく側にいて。


それ以上のことは何もできなかったし、考えられなかった。




「絵梨沙~~、」


帰ろうとすると彼の声で振り返った。



「今日は。 練習室じゃないの?」


「今日は借りれなかったから。 しょうがないからウチでやる。」


ニッコリ笑った。


「そう、」


並んで歩いた。


「あーあ。 バーも全然行かれなくなっちゃったな~~~。 マスターも応援してくれて、創立祭のコンサート見に来てくれるって言うんだけど。」


「フランツはあなたのピアノの大ファンだから、」


「・・何とかなればいいけど、」


珍しく気弱なセリフだった。


まだまだ本調子でない真尋が絵梨沙は心配で・・・


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