「ただいま。 スーニャ、」
泉川は家に戻り、子猫を抱き上げた。
「ごめんな~。 遅くなって。 今ミルクやるからな、」
擦り寄ってくる彼女が本当にかわいかった。
テーブルの上に彼女を乗せて、皿のミルクを飲む姿を見ているだけで心が和む。
「おれ・・・何やってんだろな。 ホント。」
思わずつぶやいてしまった。
ひとりってこんなに寂しいんだっけ。
やっぱり
『彼女』に会いたいって
思ってしまう・・・。
「こんちわ~~~!!!」
けたたましい声が事業部に響き渡った。
「あ~~~、うるさい。」
志藤は思わず耳を押さえた。
「なんだよぉ・・・。 せっかくはるばると14時間も掛けて帰ってきたっちゅーのに!!!」
真尋は乱暴にそこにあったデスクにリュックを置いた。
「わかった、わかった。 おつかれさん。」
南は仕方なく言った。
「へー・・。 事業部ができたって聞いたけど。 ・・辺鄙な部屋だな~~~。」
真尋は部屋を見回した。
「おまえは。 何でも口にしないで少しは心にしまうことはできないの???」
志藤は呆れて言った。
真尋が久しぶりに日本にやって来た。
これから1ヵ月半ほどクリスマスコンサートや他の仕事でこちらに滞在する。
そこに。
「志藤さん。 これ総務から書類返ってきたんですけど~~、」
泉川が書類に目をやりながら戻ってきた。
そして
真尋に気づいた。
「・・あれ?」
怪訝な顔で彼を見た。
「・・・ダレ? この人。」
真尋は思いっきり指を指した。
人から指を指されるなんてことは
このプライドの高い男が許すわけもなく
「人を指差したらダメって親から言われたことはないのかっ!!」
いきなりブチ切れてしまった。
「親って社長のことじゃん、」
そこにいた香織がボソっと言ったが、血が上っている彼には届かなかった。
「え~~~、なに? イキナリ怒ってんの?」
真尋はいつもの調子だった。
そしていつものトラブルメーカーの真尋がやってきましたが・・・
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