Rainy blue(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

茜も腕時計がないことに夕べのうちに気づいていた。


それを結城の自宅に置き忘れてきたことも、わかっていた。



どうしよう。




彼のプライベートな連絡先は全くわからない。




「あ~~。 話早くすんでよかったね。 もっともめるかと思った。」


結城は南と一緒にスポンサーの契約から帰る途中だった。




「ま。 オケのスポンサーになるってのも。 自己満足みたいなもんですからね。 その辺のプライドはくすぐってやらないと。」


いつものように冷めたように言う彼に


「ほんま。 口はサイッコーに巧いな。」


半ば呆れ気味に言った。



「営業は口でしょ。 もうそれ以上も以下もないですよ。」


「そんなんして女も口説いてるんちゃうの?」


ちょっとからかうと


「え? おれ口説いたりなんかしませんから。」


心外そうに言われた。



「え~? ほんま?」


「口説かれたことはありますけど。」


「なにその自信満々な感じ。」


「ま、そのとき気が合えばね。 盛り上がりますけど。 気持ちが離れていったらそれはそれでしょーがないし。 追いかけてまで捕まえておきたくないし。 あんまりしつこく周りをウロつかれるのも好きじゃない。」


南はそんな彼の言葉にため息をついて


「自分勝手やな~~、」


と言った。





『自分勝手ですね・・』



茜のことを思い出した。



ウサギを好きなときだけ好きなだけかわいがる。

まとわりついてくるようなペットなんかウザいだけで。


女も。


自分が好きなときだけ愛して

自分の気持ちの一線を越えてこようとしてくる女は

もう

ウザくてウザくて仕方がない。


おれの心の中まで踏み込んでくるな!


そう言って追っ払いたくなる。



『想う』気持ちは


あのとき


封印してしまった。





とんでもない罪を背負った自分には


もう純粋に人を愛する資格もない。





「このあと。 ちょっと1時間ほどいいッスか?」


結城は時計を見た。


「え? 斯波ちゃんに報告するのに、」


南が彼を見ると


「すぐ戻ります。 先に話をしておいてください。」


足早にそばの地下鉄の入口を駆け下りてしまった。




ほんまに。


よーわからん男。



志藤ちゃんが東京に来たばかりのときもそうやったけど


彼よりも


もっともっと


本当が見えへん。



結城が事業部にやってきて

もうすぐ3ヶ月。



まだまだすごい隔たりを感じていた。



『よーわからん男』結城の行動がさらに事業部をパニックに陥れます・・・


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