Only one love(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

それから暇があると度々、結城はオケの練習に顔を出すようになった。


ものすごく真剣に見て、たまに玉田と何かを話して頷いたり。


茜は彼がいるというだけで、自分の気持ちがここにあらずのようなふわふわした気持ちになるのがわかった。



全体の練習を終えて、

「じゃあ、千堂さんは残って少しやっていこうか。」

玉田は茜に声を掛けた。


「・・はい、」

チラっと結城を見た。



「もう6時だから終わりでしょ? どっか食事でも行く?」

結城は麗子から誘われた。


「ああ、もう少し。 玉田さんが打ち合わせに参加させてくれるって言うから。」

あっさりとそう答えた。


「そう・・。 じゃあ、夜。 電話する。」



麗子はふっと微笑んだ。

それに少しだけ口の端を上げて彼は応えた。



茜のソロコンサートの曲目を結城は玉田と一緒に見ていた。



サンサーンスの『アンダルシア奇想曲』ト長調。



「彼女の表現力は抜群だ。 まだ若いのに音に深みがあって・・」

玉田がボソっと結城に言った。


「・・ええ・・」

彼は静かに頷いた。



何より

年よりも少し幼く見える彼女が

こうしてヴァイオリンを持つと、凛とした姿勢で

神々しささえ感じられる。



そして

その美しさにも。



「どう、でしたか。」

弾き終えて、おそるおそる茜が言った。


「うん。 すっごく良くなった。 この前よりも。 伸びがでてきたし、」

玉田は笑顔で言った。


そしてチラっと結城を見た。

すると彼も笑顔で



「・・・よかったよ、」

と言った。


茜はその言葉でぱあっと花が咲いたような笑顔になった。




「じゃあ、おれちょっと社に戻るから。 結城は帰るの? もう8時だし、」

玉田は時計を見た。


「ハイ。 おつかれさまでした。」

外で彼と別れた。



何となく茜と結城は二人きりになって、彼女はモジモジとうつむいて立っていた。



「メシ。 食って行こうか?」




普通に

本当に

普通に

彼は言った。



「はい・・」

茜はその笑顔に吸い込まれそうに頷いた。





「表現力は天性のものがあるから。 きみはその感覚を大事にしたほうがいい。」

近くのフレンチレストランに入った。


「そう・・でしょうか。」

何だか彼の顔が正視できない。


「ワインをボトルで頼もうかな・・・。 きみは、飲み物は? ぺリエでも取ろうか。」

メニューを見ながら言う彼に思わず


「あ、あたしも・・ワインを!」

意気込んで言ってしまった。


「え? きみは飲めるの?」

意外そうに言われて、


「い、いちおう・・成人してますから!」

少しムッとしてムキに言った。


「ああ、そうか。 21だっけ? お酒は飲めるんだ、」

結城は頬づえをついて笑った。


「・・の・・飲めます・・」



すごく

子ども扱いされた気がして

茜は少し哀しくなった。



思い人・結城から食事に誘われた茜は・・


人気ブログランキングへ 左矢印 お気に召しましたらポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ
My sweet home ~恋のカタチ。