Star gather(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

もう

言葉も出てこなかった。




ほんとに

兄弟なの?


とっても

信じられないし・・・。




「あ、あんまり言うとまた泣かれちゃうから。 やめとこ。」

真尋はデリカシーのない言葉を発した後、



「ねえ。 『契約書』って。 ボールペンとかで書いてもいいの? おれ、ハンコとかも持ってねーんだけど。 その辺で買ったヤツでもいいの?」



またも

とんでもないところから

話が飛んできた。



「え・・・」



ゆうこはようやく言葉を発することができた。


「おれ、そーゆーのよくわかんねーし。 あ、ゆうこちゃんが代わりに書いてくれてもいーんだけど。 いっぱい字とか書いてあるんだろ? それ読むのもメンドイから。」


「真尋さん・・・」



「バカだよねー。 あいつ。 おれなんかに土下座しちゃってさ。」



真尋はタバコを取り出して口にくわえた。



「この・・とてつもないでっかい、北都グループを背負ってくなんて。 めちゃくちゃ荷が重いだろーに。 オヤジはバケモンだからさ。 あの人と同じ仕事しよーだなんて。 バカだなって思う。」

ふうっと煙を吐いた。



「だけど。 真太郎なら・・・やれっかなって。 おれはこんなにバカなのに、あいつは信じられないくらい頭いいし。大人だし。 優しくて、思いやりがあって。 男として申し分ないし。 まあね。 そーゆー兄貴がいるってこと、誇らしく思ったこともあった。 おれはそっから外れて一人で生きていかなくっちゃいけないってずうっと思ってたから。ここは兄貴のものだし・・・あの豪邸だって兄貴のもんだ。 次男はつらいよね~。 まあ、今は親の世話になって留学もしてっけど。 いつかピアノで食っていけるようになれればって・・思うようになった。 そしたら・・オヤジや兄貴とは違った世界で生きられるんじゃないかって思ってたから。 だからね。 北都所属のタレントなんかになったら・・なんもなんねーじゃん!って。」




真尋は人懐っこい笑顔でそう言った。




「すっげえ、ソコ、拘ってたから。 すぐには納得できなかった。 まあでも・・真太郎がクラシックをやりたいって、頑張ってんなら。 おれでできることならやるべきなのかなあって。 あんなに一生懸命頭下げてまで契約させても・・大したもんにならないかもしれないけどさ。」




ゆうこは胸がいっぱいになった。




「あ・・・ありがとう・・ございます。」



やっぱり涙が出てきてしまった。


「って! やっぱ泣くじゃん! も~~、カンベンしてよ~。」


なんて言う

彼に少し笑ってしまい

泣き笑いになってしまった。




そこに真太郎が入ってきた。


「真尋、」

いきなりやってきた真尋に驚いていた。



「おう! もう二日酔いとれた?」


真尋は真太郎以上に飲んだのにケロっとしていた。



「ま・・真尋さん。 契約に来てくださったんです、」



ゆうこは涙を拭きながら真太郎に言った。




「え、」

信じられないような目で真尋を見る。


「・・・ま。 おまえの目が節穴かもしれねーけど。 おれも・・ピアノで生きていきたいから。 面倒みてくれるとこ探さないとね。」


真尋はいつものように

ちょっと憎まれ口を叩いた。



「・・・ありがとう、」



真太郎は真尋の気持ちに心が熱くなる。



「・・・おれなんかに。 土下座なんかするな。」



真尋は真面目な顔になって言った。



「え?」



「おまえは・・・天下の北都グループの跡取りなんだから。 カンタンに土下座なんかすんなよ。 そんな真太郎の姿・・見たくない。」



「真尋、」


「絶対に・・真太郎と同じ目標に向かって頑張るなんてこと・・・ないって思ってた。 不思議だなァって・・朝からずうっと考えてた。」




「・・おれもだ、」



真太郎もふっと笑った。



「じゃあ、あたし・・書類を持ってきます。」

ゆうこは席を外した。



「ま。 女の涙には弱いな。」

真尋はそう言い放った。


「生意気な、」

真太郎はクスっと笑った。






「・・でも。 感触的には・・・『処女』っぽかった、」





真尋は頬づえをつきながら、平然と言ってのけた。




「は・・・あ??」



「『処女』っぽい反応だった。」




それが、ゆうべ、ゆうこを抱きしめた時のことを言っているのだ、

と気づいて真太郎は真っ赤になった。




「おっ・・・おまえは~~~~!」



「マジになっちゃって。 おまえ、ほんっと下ネタだめな、」

真尋は高らかに笑った。



こうして『ピアニスト・北都真尋』が誕生しました!

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