Happiness(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「って! 本気なんですか?」

真太郎は珍しく声を荒げて、社長に食らいついていた。


「家でブラブラさせておくわけにいかんだろう・・・。 あいつは仕事なんかしたことないんだから。」


「だからって! そんなの甘すぎますよっ!」


「バイトだから。 大した仕事なんかさせない、」




高宮は話の途中で社長室に入ってきて、真太郎が大声を出したりするのが珍しいと思い、

「・・あの・・なにか?」

と口を挟んだ。



「あ・・。 なんか・・・妹を秘書課で仕事させるとか言ってるんで・・」

真太郎は口ごもりながら言った。



「は・・」

高宮も驚いて北都を見た。



「いちおう。 英語とフランス語・・できるし。 雑用だから。」

北都は仕方ない、という表情で言った。



「ほんっとに! だいたいあいつのわがままで勝手に戻ってきて! こらえ性がないんですよ。 真緒は! そんなヤツにここの大事な仕事なんか任せられない!」

真太郎は憤慨していた。


「だから。 雑用だ。 あいつをいきなり外に出せるほどちゃんと育ててこなかったからな。」


「それっていいんですか!?」



真面目な真太郎は妹が離婚して出戻ってきたこと自体が許せないようだった。




「高宮も面倒かけるけども。 よろしく頼む。 本当にわがままに育ってしまった娘だが。」

社長からもそう言われ。




よろしくって

おれに何をしろと??



高宮も戸惑いを隠せなかった。




こうして

早速翌日から真緒は出社してきた。



「よろしくおねがいしまぁす。」

満面の笑みで挨拶をされて、


「・・あの・・仕事したことないって聞きましたけど、」

高宮はおそるおそる言った。


「え~、まあ。 でも! 仕事はしてみたかったんです! だからバイトでも嬉しくって!」




してみたかったって

言われてもね・・・。




高宮は早速頭が痛かった。




先週で通訳や翻訳をやってくれていた派遣の人が辞めてしまって、北都社長の意向で大事な事柄もあるので、なるべく内部で処理したいということは言われていたけど。


仕事したことない人をいきなりねえ。

バイトとか雑用とかのレベルじゃないし・・。

まず、仕事ってこと自体を覚えてもらわないと・・・。



高宮は自分自身も多忙なのに、どこから手をつけていいかわからなかった。




「あれっ、」

志藤は出勤して早速真緒に気づいた。


「あ、志藤さん。 ごぶさたしてます~~。」

真緒は立ち上がって志藤に一礼した。


「ひさしぶりやん。 『結婚式』以来やんか。」

志藤はデリカシーのないことを言って高らかに笑ったりして、高宮はヒヤヒヤした。



しかし

「ほんっと! もう5年も経っちゃったし! あたしももう30ですよぉ~~。 んっとにバツイチって勲章なかったら、ただのオバチャンだし!」


真緒は全く悪びれる風でもなく、離婚を『勲章』とか言っている。



「でも、変わってへんし。 ますますキレイになって、青春もこれからやん。」

いつものように志藤はかる~~い口調で言う。



「あたしもそう思ってるんです。 ま、バイトですけど何でもやりますから。 どうぞよろしくお願いします。」

真緒はペコリと頭を下げた。




「あ、もしもし~。」



高宮は隣のデスクの真緒にいちいちハラハラした。



「もしもしなんて出ちゃダメだってば、」

小声で注意をした。


かかってくる電話を自分の家の電話のように取る彼女を小突いた。



「あっ・・・っと、えっと・・・北都エンターテイメント・・・です。」



新入社員でもなく、社長の娘で出戻りという真緒は

秘書課の女子社員もどう扱っていいのかわからず、必然的に高宮が彼女に電話の取り方からコピーのとり方まで教えなくてはならない。



「パソコンは? できるの?」


「あ! けっこう得意です!」

真緒はぱあっと明るい顔になって言う。


「そう。 んじゃ、これ表作っておいてくれる?」

高宮は少しホッとして彼女に書類を手渡した。



しかし



「え・・。 ええっと・・。 得意なのは・・ネットサーフィンとかで・・」

真緒はちょっと気まずい顔をした。



「はあ??」


「検索とかは・・早いです。」



ここで怒っていいものか。



もう色んなことを頭の中でぐるぐる回り、それを自分内で収めるのに必死だった。




バツイチも、ものともせずに明るく豪快な真緒に高宮は押され気味です・・・

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