インフルエンザの新薬は慎重に。 | ポポ山に祈りを込めて

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しばしの休憩を。

昨年同様にインフルエンザ大流行中ですキョロキョロ
通勤電車で感染したかも?と話す人も多いです。
(感染は1メートル範囲内の接触がほとんど)

今年に入ってからインフルエンザの新薬を使いたいと話す患者さんや、
電話での問い合わせが増えました。

そのほとんどの理由が、
家族や同僚から新薬を勧められたからとか、

テレビでこれが便利でいい薬だと聞いたからなどなど。

でも、自分自身でしっかり調べて新薬に決めたと話す人はいないんです。

これだけインターネットが普及して様々な情報を知っているはずなのに、

なぜ新薬の危険性を考えないのか不思議です。

まずは疑うことから始めて自分で調べて考えないと。

後になってこんなはずじゃなかったとその度に裁判沙汰になっていたら、

そのうち誰も医者をやらなくなります。

うちのクリニックでは今シーズンは出さないと先生は話しています。

これは他の医師や専門家の意見も同じで、

副反応がまだ分かっていない薬なので、
慎重に使うべきとの意見が多いからです。

他に同様の薬が無いのなら話は別ですが、

今はタミフルやイナビルがあるし、
不透明な新薬を使うほどの緊急性もないので。

元々インフルエンザは、
健康な人なら薬を飲まなくても治る病気です。

ただ先日この新薬について考えさせられたことがありました。

統合失調症の20歳の男性の患者さんがイナビルを吸おうとしたのですが、
(彼の母親からイナビルにしてほしいと頼んできた)
緊張していたのか吸うことが出来ず、
何度かトライしてみたけど結局無理で薬をダメにしてしまったんです。
お母さんはヒステリックに怒るし滝汗
なんで吸えないの?!とか、
吸うのよ!吐くんじゃないわよ!とかもう散々で、なんだか可哀想でした。
だって心は病気なのかもしれないけど、彼の奥深くにある隠れた魂はキラキラしてるんです。そんなに怒らなくてもね(^^;
(必死になるお母さんの気持ちはよくわかるけど(笑))

それに今回のような患者さんの場合は自宅にいたら途中で忘れたりして、
5日間しっかり飲めないかもしれないとも思いました。
リレンザなんてもっと無理で。
(インフルエンザは熱が下がって元気でもウイルスは体に残っているので、最低5日は感染の可能性がある)
そういう意味では新薬なら一回きりの服用です。
もちろん高齢者など嚥下困難な方には良いのかもしれません。


新薬について。
朝日デジタルニュースより転載します。
(記事の途中からです)

耐性ウイルスに懸念の声

そんな期待の新薬だが専門医の間では慎重な意見も出ている。

感染症専門医の京都大学の山本舜悟特定助教は「ゾフルーザはまだまだ位置づけが不明な薬だ。今後、臨床データを蓄積して分析していく必要がある。新薬には予測できない重い副作用がまれに起こることがある」と指摘する。

1回の服用で済むということは、それだけ体の中に残る時間が長いということでもある。万一、重大な副作用が生じた場合に、なかなか薬が抜けることができず、症状の改善がしにくい恐れがある。

また別の大きな問題はゾフルーザの使用によって、耐性ウイルスが出る可能性についてだ。

ゾフルーザの臨床試験では、子どものA型インフルエンザ患者の23・3%で、ウイルスに耐性を示す遺伝子変異が認められた。成人対象の臨床試験でも9・7%が認められた。国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの高下恵美主任研究官は「耐性ウイルスの出る割合は相当高い」と話す。タミフルやラピアクタは1~2%とされる。

遺伝子変異はどの程度まで症状への効果に影響があるのかなど不明な点もある。ただ、薬の効き目が薄れることは認められている。使う人が増えれば、もっと耐性を持ったウイルスが登場する可能性もある。

WHOも監視 小児科学会は推奨せず

高下さんも参加するWHOの世界インフルエンザ監視チーム(GISRS)では、この治療薬が承認された日米と、まだ承認されていないオーストラリアを比較しながら、耐性ウイルスの監視を始めている。いずれはゾフルーザの耐性ウイルスのチェックに向けた国際基準をつくりたいという。

塩野義の手代木社長も先にふれた会見で、耐性ウイルスへの懸念を認めた。「ゾフルーザも乱暴な使われ方すると耐性ウイルスが出るかもしれない。どこかの段階で耐性が出る。そのときはどうするか準備をしておかなければいけない」

日本感染症学会インフルエンザ委員会は10月、ゾフルーザの添付文書をもとに、課題などをまとめた文書を公表。遺伝子変異による治療薬の効果の低下などについて、「感受性が50倍程度低下するが、臨床効果への影響、周囲への感染性は、現在のところ不明である。今後の臨床症例を蓄積して、当薬剤の位置づけを決めていく必要がある」と結論づけた。

日本小児科学会も10月に公表した今シーズンの治療指針で、ゾフルーザについて「十分なデータを持たず、現時点では検討中である」と推奨には至っていない。

いま販売されているゾフルーザは錠剤だが、小さい子どもや高齢者がのみやすい顆粒剤(かりゅうざい)はまだ販売されていない。

感染症学会インフルエンザ委員会メンバーの、けいゆう病院の菅谷憲夫・感染制御センター長は「ゾフルーザについてはまだわかっていないことも多い。A型(インフル)では耐性が出ているので使うのを控えたいが、B型(インフル)は使ってもやむを得ないと思う。また高齢者や小児に使うことを避けるなど、当面は慎重に使うべきだ」と話す。