「ブギウギ」 第84回
第18週「あんたと一緒に生きるで」
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昭和22年(1947)5月
男性) 早く会いたいね。
妊婦) うん。
あっ、こんにちは。
スズ子) こんにちは。
「ジャズカルメン」が終わって
3か月。いまだ、愛助は東京
に戻ってきません・・・。
**********
村西) うん、順調ですよ。
よく動いて元気な赤ちゃんだ。
もうすぐ出てこれるぞ~い。
ははははは。
どうしました? 何か、不安な
ことでもありますか?
スズ子) はあ・・・。
東) 何でも言ってね。
スズ子) あの・・・赤ちゃんのことや、
ないんでっけど・・・。
東) 何?
スズ子) 大阪に・・・行ってきても、
よろしいでっしゃろか?
村西) 大阪に?
何でまたこの時期に。
東) あれでしょ? 婚約者の方・・・。
スズ子) (頷く)
村西) う~ん、
気持ちは分かるんだけど、
もう予定日まで、10日ほどだよ。
いつ陣痛が始まってもおかしく
ないんだ。それはちょっと、
認められないな。
**********
(村西医院から戻り、
郵便受けを見るスズ子)
(ハガキが一枚)
**********
ハガキ・愛助) 「だいぶ具合
もようなりました。もうすぐで
帰れると思います」。
スズ子) もう嫌や・・・。
(ハガキを重ねる)
**********
<病室>
愛助) スズ子さん・・・。
(朦朧とした愛助)
愛助) スズ子さん・・・。
矢崎) 社長。
トミ) 何や。
矢崎) 結婚を、許す許さないは
別として、ボンと福来さんを、会
わせてあげてはどうでしょうか。
そうした方が、ボンの体調も
持ち直すということも・・・。
愛助) あかん・・・。
それは、絶対あかん・・・。
今の僕の・・・。
(咳き込み)
トミ) 話さんでええ!
あんたの言いたいことは分かる。
愛助) 今の・・・僕の姿を見たら・・・
スズ子さんは心配して、おかしな
ってしまうわ。安心して、赤ちゃん
産んでほしいねん・・・。
せやから・・・絶対ないしょや。
僕は・・・。
(トミと手を繋ぐ)
愛助) 必ず病気治して、スズ子
さんと、子供に会うんや・・・。
(苦しそうな息遣い)
**********
<村山興業・東京支社>
スズ子) ホンマに、なんぞ、
隠してるんちゃいますか?
もう、予定日も近いんでっせ。
一度は、絶対に東京に戻る
言うてたのに、「もうちょっとや、
もうちょっとや」いうハガキが
来るだけですわ。
何やおかしい思いますやろ?
坂口) せやから、「カルメン」の
時にこじらせた風邪が、まだ
ちょっと・・・。
スズ子) いつの話ですの!
「ジャズカルメン」が終わってから
3か月でっせ! そないにこじらせ
とったら死んでしまいますわ!
山下) し・・・死ぬなんて、めったな
こと言ったらあきまへん!
ボンは、心苦しいと思て・・・。
あっ・・・。
スズ子) 「あっ・・・」て何ですのん!
やっぱり、何か、知ってはります
のやろ!? 愛助さん、具合悪い
んでっか? どうなんでっか!?
山下・坂口) ・・・・・・。
(立ち上がるスズ子)
スズ子) もうよろしいです。
ワテ、今から、大阪行きます。
山下) ま、ま・・・待っておくれやす!
坂口) 村西先生も、それはあかん
言うてはったやないですか。
スズ子) こうなったら、村西先生か、
東さんについてきてもらいますわ。
愛助さんのこともよう分からんと、
こうしてる方が、体にこたえますわ!
山下) いやいや・・・!
あ・・・あきまへん! あの・・・。
スズ子) 何でっか?
山下) そ・・・そのとおりですわ!
ボン、今、あんまりようないんです!
スズ子) やっぱり・・・。
(体がス~ッと傾く)
坂口) ああ~ああ~!
危ない、危ない、危ない!
危ない! 危ない!
山下) 大丈夫でっか?
坂口) ちょっと福来さん・・・。
山下) ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり!
坂口) ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり!
ゆっくりでっせ!
(スズ子をソファーに座らせる)
山下) 水! 水飲んで!
(水を飲むスズ子)
山下) 大丈夫・・・でっか?
スズ子) 悪いて・・・
どんだけ、悪いんでっか?
まさか・・・!
山下) まさかは、ありえまへん。
こじらせた風邪が長引いて、
ちょっと悪化しただけですわ。
ただ、ボンはそんな姿を、福来
さんに見せたないんです。
分かりますやろ?
ボン、絶対にようなろうと思って
頑張ってますねん! そやから、
福来さんも、ここは、辛抱して、
出産のことだけ考えましょう。
坂口) ボンの気持ち、
分かったってください。
スズ子) ワテは、
どないしたらええんや・・・。
**********
<三鷹の家>
(一人座り込むスズ子)
**********
(大きなお腹に手を添え、路地
の石段をゆっくり降りるスズ子)
スズ子) ごめんくださ~い!
**********
<羽鳥家>
イネ子) すご~い!
スイカが入ってるみたい!
スズ子) へへへ! そやろ。
もっともっと大きなんねんで。
カツオ) 大丈夫?
破裂したりしないの?
スズ子) するかもしれへんな・・・。
バンッ! ・・・いうてなあ。(笑)
カツオ) バンッ!
カツコ) バンッ!
麻里) ほらほらもう行って。
ねえカツオちゃんと面倒
見てあげてね。
カツオ) はい、
僕はまたガキの世話か。
麻里) やめなさいその言葉遣い!
もう、ほら、行って!
本当やんなっちゃう言葉遣いが
悪くなって。
スズ子) 生意気盛りでかわいい
やないですか。お邪魔します。
麻里) 四六時中一緒だと、
本当に腹が立つのよ。
それで、どうしたの? 今日は。
スズ子) あ・・・いや、あのせやから、
カツオ君らの顔もちょっと見たなっ
て・・・。すんまへん、先生が留守の
時に・・・。
麻里) 下手なうそつか
なくていいのよ。
**********
麻里) そう・・・。愛助さんの
具合が悪いのは、心配よね。
スズ子) すんまへん。こんな
話聞いたかて、麻里さんも、
困ってしまいますよね。
どうしようもあらへんのに・・・。
麻里) そんなことないわよ。
そりゃ何もできないけど・・・
スズ子さんが私に話すことで、
少しでも楽になるんだったら。
スズ子) すんまへん・・・。
麻里) 謝らないで。
状況が全然違うから、比べるの
は申し訳ないんだけど、私も、
カツオを出産する時、いろいろ
不安だったの。うちの人、あたし
がつわりで苦しんでる時から、
臨月になるまで、もうず~っと
音楽のことばっかりでね。ああ、
この人と子供育てていけるの
かしらなんて思ったりして。でも
そんな時、小さな支えになった
のが、おなかにいた、カツオだ
ったの。私が不安になる度に、
タイミングよく動いたりしてね、
「僕はここにいるぞ! 僕を忘れ
るな!」、なんて言われてる気
がして、そのつどふんばってね。
(おなかに触れるスズ子)
麻里) ごめんなさいね。スズ子
さんは私とは比べ物にならない
くらいつらい状況なのに・・・。
スズ子) いえ・・・そのとおりです。
ワテが、オロオロしてたら、この子
まで、不安になってまいますわな。
麻里) つらいでしょうけど、今は、
無事、出産することだけ考えて
いいんじゃないかしら。それが
愛助さんの望みでしょうし。
スズ子) ありがとうございます。
やっぱり、来てよかったですわ。
いつも、麻里さんには助けられ
ます。
麻里) そんなことないわよ。
でも本当、うちの人がいなくて
よかったわ。いたらもうず~っと
自分の音楽の話ばっかり。ねっ。
(笑い声)
スズ子) そうですね。
麻里) うん。
**********
<夕暮れの病室>
ハガキ・愛助) 「予定日にはなんと
か戻りたいと思うてます。ホンマに
情けない夫、父親で申し訳ないわ。
子供が大きなったら、一緒に遊び
たいし、体を鍛えなあかんな」。
(咳き込み)
(口から手拭いを離す)
(真っ赤な鮮血を見つめる愛助)
**********
(茶の間に掛けた丹前を
手に取るスズ子)
(抱き締める)
スズ子) 神様・・・どうか、
愛助さんを、お守りください。
治したってください。
(お腹に触れる)
スズ子) お父ちゃんが頑張ってん
のに、お母ちゃんが、落ち込んど
ったら、あかんな。
(ピクリとするスズ子)
(丹前を見つめるスズ子)
スズ子) 愛助さん、動いてるやろ?
この子も、お父ちゃんに会いたい
言うて、待ってるで。
絶対、ようならんと、あかんで。
(丹前に顔を押し当てるスズ子)
スズ子) (泣)
**********
どうにもならないことでも、どうすることも
できないと分かっていても、ただそれを
話せる人がいるだけで、救われることは
ある。そして話す相手というのは、自分
のことをよく知っている人とは限らずに、
その時々によって、ちょうどいい距離感
が求められたりする。今回のような話は、
善一にはできないよね。麻里さんが言っ
たとおり、全部音楽の話になるだろうし。
一番会いたい、一番側にいてほしい人、
愛する愛助は、あまりにも遠い。スマホ
があれば、顔を見ながら話せるのにね。
会えない時間は愛を育てるけど、不安
も育てる。1人はつらい。頑張れスズ子。
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