「舞いあがれ！」 第123回
第26週「私たちの翼」
一緒に生きていきたい
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＜ABIKILU＞
朝陽） できました。
刈谷） おお…。
こんだけの量大変やったやろ。
ABIKILUは飛行試験を繰り返し、
有人飛行に向けて安全性の検証を
重ねていました。
刈谷） ありがとう。
ようできとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ABIKILUが次に目指すのは、
屋外での飛行試験です。
舞） お疲れさんです。
玉本） お疲れ。
男性） お疲れ。
舞） たこ焼き、買ってきました。
男性） ありがとう。
西浦） たこ焼き好きやな。
刈谷） お疲れさん。
舞） お疲れさんです。
刈谷） 屋外飛行試験の申請、
どうなっとる？
舞） 航空局と引き続き、やり取り
を進めてます。機体のスペックと、
安全性のデータは、提出できたん
ですけど、また追加で、検証デー
タの提出を求められました。
刈谷） うん…。
舞） 今月か、来月の実施は、
ちょっと厳しそうです。
渥美） やっぱり大変やなぁ。
刈谷） こげなことで大変って言い
よったら、型式証明の取得なんて
夢のまた夢たい。
朝陽） 型式証明？
風間） 空飛ぶクルマを地上に出す
ために、安全性や環境適合性の面
において、機体の設計が国の基準
をクリアせなあかんのよ。
玉本） 試験飛行の許可もらうより、
何百倍もハードル高いねんで。
（考えている舞）
（回想）
舞） 父を、ご存じなんですか？
荒金） はい。オール日本製の航空
機を作るんだと、2人で大きな夢
を語り合っていたので…。
舞） うん…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜ABIKILUの作業場＞
舞） こちらです。
荒金） お邪魔します。
一同） こんにちは。
舞） こちらが、
アビキュラ２号です。
荒金） 想像以上の出来ですね。
刈谷） ありがとうございます。
舞） 二重反転式クアッド配置型
マルチコプターで、機体重量は
200キロです。
荒金） ペイロードは？
舞） 160キロです。
最高速度は、50キロ、5分から
10分ほどのフライトを想定し
ています。
荒金） ちょっと触っても
いいですか。
刈谷） もちろんです。
舞） どうぞ。
荒金） このカーボンのブレード、
アーム、ボディー、ロールオー
バーバーはどこで？
舞） 東大阪の町工場で作ってもらっ
た、特注品です。細かいパーツも含
めたら、20社以上の企業と協力して、
機体を構成しています。接続部分の
ボルトは、IWAKURA製です。強度
と、軽さを両立するために、材質は、
チタン合金を、採用しました。この
機体だけで、3000万円くらい、か
かっています。
荒金） 開発は、順調のようですね。
刈谷） はい。しかし、開発がうま
くいっても、空を飛ぶまでには、
いくつもの高い壁があります。特
に難しいのが…。
荒金） 型式証明の取得。
刈谷） そうです。
舞） 日本で空を飛ぶには、
型式証明が必要です。
私たちも、勉強してますけど…。
弊社には、経験も、知識も。人脈
も足りてません。型式証明の取得
の難しさを、誰よりもご存じの、
荒金さんのお力が必要なんです。
刈谷） どうか、お力添え
頂けませんでしょうか。
荒金） 私はね、今、年がいも
なくワクワクしていますよ。
分かりました。
私でよろしければ。
舞・刈谷） ありがとうございます！
一同） ありがとうございます！
（楽しそうに機体を眺める荒金）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
久留美ちゃんが長崎から、
休暇で帰ってきました。
久留美） なぁ、野性のイルカ
いつ見に行くん？
悠人） もうちょっとあったかく
なってからな。今やってる仕事
はよ終わらせたいし。
久留美） ああ、そっか…。
悠人） 何や、さみしいんか？
久留美） 大丈夫やって。
私も忙しいしな。
一人でも楽しくやれる。
悠人） いいことやん。
どうせ人間なんか、
一人で生まれて一人で
死んでいくねん。
久留美） ホンマやな。
悠人） そやけど…長い人生。
50年ぐらいは2人で生きん
のも悪くないかもな。
（久留美が落とした
手袋を拾う悠人）
久留美） あ…ありがとう。
（悠人が久留美の手に乗せたのは、
手袋ではなく、指輪）
悠人） 一緒に生きていきたい。
結婚しよう。
久留美） ズルいねん。
悠人） 何が？
久留美） こんな時だけ直球って…。
「はい」って言うしかないやんか。
悠人） ひねくれてんなぁ。
（久留美の手に指輪をはめる悠人）
（微笑む久留美を抱き寄せる）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜カフェ・ノーサイド＞
佳晴） すんません、
今日もうしまいなんです。
おう、悠人君。
悠人） こんばんは。
佳晴） どないしたんや、2人
してお通夜みたいな顔して。
道子） ええから座り。
佳晴） えっ、何や？
道子） 座って。
佳晴） 何？
道子） 悠人君も座って。
久留美ちゃんも。
佳晴） は？
道子） はい、ええから、座りて。
（向かい合って座る4人）
悠人） 望月さん、道子さん。
道子） はい。
佳晴） はい。
悠人） 娘さんと、
結婚させてください。
（ポカンと口を開け、
久留美を見る佳晴）
（微笑む久留美）
（立ち上がる佳晴）
佳晴） 悠人君。娘を、
よろしゅうお願いします。
（頭を下げる佳晴）
（立ち上がり、悠人も頭を下げる）
久留美） （涙）
（久留美を抱きしめる道子）
久留美） ありがとう。
佳晴） おめでとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜昼・岩倉家＞
悠人） 久留美と結婚します。
（目を見開くめぐみと舞と祥子）
めぐみ） おめでとう。
久留美ちゃん、ありがとう。
久留美） はい。
舞） おめでとう。
祥子） おめでとう。
悠人） 今の仕事落ち着いたら、
2人で長崎に住むつもりです。
今はどこでも仕事できる時代や。
めぐみ） うん。
祥子） 長崎ね…五島にもすぐたい。
めぐみ） ハハハ。
舞） お兄ちゃん、久留美、
お幸せに。
悠人） ありがとう。
久留美） ありがとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜夜・二階のリビング＞
久留美） 寝た？
舞） やっと。
久留美） 歩ちゃん元気
有り余ってるな。
舞） ホンマやで。
久留美） 貴司君、
今何してんの？
舞） さぁ…。
久留美） 電話とかせえへんの？
けど、久留美とお兄ちゃんの
ことはちゃんと伝えとくな。
久留美） うん。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜パリのアパート＞
（ノートを広げ、ぼんやり
座っている無精髭の貴司）
（スマホを手にとる）
メール・舞） 「貴司君
お兄ちゃんと久留美が結婚します。
昨日、二人で報告しに来てくれま
した。ばんばとお母ちゃんの嬉し
そうな顔を見て、私たちが結婚し
た時のことを思い出しました。
二人にもたくさんの幸せが訪れ
ますように。舞」。
（小さく微笑み、「おめでとう」と
返事を打つ貴司）
（「僕は」と続けて、手が止まる)
八木） 「パリでしばらく、
暮らしたらええ。
誰の声が聞こえる？」。
（「僕はもう少しパリにいます」
と書き、送信する貴司）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
2020年3月
（デラシネの奥で歩を遊ばせ、
店番をしながら五島の写真集
を見ている祥子）
メール・舞） 「貴司君、
お元気ですか。歩は、縄跳びを
できるようになりました。ニュ
ースで、パリがロックダウンし
たって知りました。心配です。
早く帰ってきてほしい」。
（手を止める舞）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（アパートのコンロで
お湯を沸かす貴司）
（缶の中にコーヒーの粉がない）
（上着を羽織り、部屋を出る）
（廊下に住人）
住人） （仏）外に出るな。
貴司） はい？
住人） （仏）大統領の演説、
聞かなかったのか？
不要な外出は禁止だ。
入れ入れ。
（部屋に戻る貴司）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（メールの途中で手を止めた舞）
（「早く帰ってきてほしい」と
打った文字を消す舞）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（小さな窓明かりの部屋で
ベッドに座った貴司）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
久留美ちゃん…大事な友達と、大事な
友達が、義妹＆義弟になりました～！
そうなればいいな～と思ってみてきた
けれど、幼なじみ全員親族になったね。
どうせ人間なんか、
一人で生まれて一人で
死んでいくねん。
そやけど…長い人生。
50年ぐらいは2人で生き
んのも悪くないかもな。
一緒に生きていきたい。
結婚しよう。
ド直球なプロポーズ。確かにズルイｗ
まあでも、やる時はやる子ですから～。
話を聞いて、目を丸くして驚きながら、
久留美に「ありがとう」とめぐみさん
が言ったのが印象的。それ、分かる～。
ありがとうって何度でも言いたいよね。
パリではついにロックダウン。言葉も
分からないまま、おっちゃんもいない
まま、閉じ込められる貴司。食べ物も
既になさそうで…おばちゃん心配だよ。
コロナという最大の向かい風。という
ことは、かなり高く舞い上がれるはず。
あと3回…ドキドキしながら見守るよ。
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