「舞いあがれ!」第108回~やりたいこと、やったらええと思う | 日々のダダ漏れ

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舞いあがれ! 第108
第23週「飛躍のチャンス」
やりたいこと、やったらええと思う

 

 

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我妻) あかん。うちはやらへんで。

的場) 我妻さん、何でですの…。

御園) 試作品の開発費はもちろん

 お支払いします。

我妻) アホちゃう? 

 こんな見込みあらへんようなもんに、

 試作も何もあるかいな。的場さん、

 勘弁してえな。IWAKURAさんの話

 やいうから来たんや。

 何? こんね…こん…。

舞) こんねくとです。

我妻) 何やよう分からへんわ。

舞) すいません。こんな小さい会社で、

 信用も何もないのは分かってます。

 けど、これ、見てください。仙波さん

 のとこで作った、デザインパンチング

 です。この細かい打ち抜き、町工場

 ならではの技術が詰まってます。私

 はこれを、多くの人にもらいたい。工

 業製品ではなく、身近なインテリア

 としてやったら、それも、実現できる

 と思うんです。

我妻) パンチングなんてどこでも

 できる技術とちゃうの。

舞) 仙波さんのところでは、1ミリの

 板厚に、0.5パイの小さな孔を開け

 ることができるんです。せやから、

 写真みたいなリアルな絵ができる

 んです。

我妻) そんな薄い板厚でやんねやっ

 たら、ねじ切られへんのとちゃうの。

舞) けど、バーリングしたら、タップが

 立つので、そこでねじ止めができます。

 デザイン的にも、かわいいと思います。

我妻) 何や…あんたえらい詳しいな。

舞) 的場さんのとこで、板金について、

 いろいろ教えてもらいました。ここを

 始める前は、IWAKURAで、ねじ作り

 の現場にもいました。

我妻) ふ~ん…。

 

**********

 

<夜・カフェ・ノーサイド>

店員) お待たせいたしました。

我妻) おおきに。

店員) 失礼します。

(ラグビーボール型のジョッキで

 ビールを飲む我妻)

我妻) あ~! おいしい!

 あんたIWAKURAさんとこの

 娘さんなんやて?

舞) はい。

 こんねくとは、その子会社です。

我妻) ええご身分やなぁ。あないな

 大きい工場となると、娘に会社作っ

 て遊ばせとく余裕があんねんな。

舞) 遊びでやってません。

我妻) さあ、どやろ。

 どこの工場も今、生き残るだけで

 精いっぱいや。売れるかどうか

 分からんもん作ってる余裕なん

 かあらへんねん。

舞) はい。よう分かってます。

 せやから、この会社を作ったんです。

 私はず~っと東大阪で育ってきました。

 今、工場の数が、どんどん減ってます。

我妻) ホンマになぁ。この町も

 えらい変わってしもたもんな。

舞) それは、ひと事やないと思うんです。

 いろんな工場が、連携して、東大阪の、

 特色を生かして、何とかこの町のものづ

 くりを続けていけるようにしたいんです。

我妻) その気持ちはよう分かる。

 けどな、時代の流れには逆らわれ

 へんもんなんやて。

舞) せやから、新しいことをするんです。

 うちの仕事は、まだ、手探りです。けど、

 誰も、やってないことを挑めるくらいや

 ないと、今の状況は変えられません。

我妻) 誰もやってないこと…。

舞) はい。その最初の一歩を

 我妻さんと、仙波さんと、

 一緒に踏み出したいんです。

我妻) 覚悟はあんねやろな。

舞) はい。

我妻) 中途半端に投げ出したら、

 二度と仕事せえへんで。

(舞の目を見る我妻)

我妻) いっぺんだけ、つきおうたげる。

舞) はい!

 

**********

 

ランプを試作してくれる会社が

見つかった舞ちゃん。

どんなデザインで作ってもらうか、

あれこれアイデアを練っています。

 

♪(携帯の通知音)

(久留美からのメール)

「明日のお昼、

 久しぶりに貴司くんも

 誘ってごはん行かへん?」

 

**********

 

<うめづ>

久留美) こんにちは。

梅津) こんにちは。

雪乃) いらっしゃい。

久留美) お待たせ。

貴司) お疲れさま。

舞) お疲れさん。夜勤明けやろ?

久留美) 合わせてもらってごめんな。

舞) そんなんええよ。

雪乃) 何やねんな。

 3人そろうの久しぶりちゃうの?

舞) はい。

貴司) 久留美ちゃんも

 舞ちゃんも忙しいから。

雪乃) あんたはどないやねんな。

舞) 貴司君も、歌作りにデラシネに、

 頑張ってます。

雪乃) ほなよろしい。召し上がれ。

久留美・舞) ありがとうございます。

貴司) ありがとう。

久留美)) いただきます、

貴司・舞) いただきます。

久留美) あ…こないだ言うてたあれ、

 何やったっけ…。

舞) デザインパンチング?

久留美) それ。

 何かええアイデア思いついたん?

舞) ランプにしようと思ってる。

 協力してくれる工場も見つけたし。

久留美) へえ~ランプかぁ。

舞) 完成したら見せるな。

久留美) うん。

貴司) アイデアのスケッチも見せて

 もらったけど、ええ感じやったで。

久留美) へえ~。やっぱり2人で

 仕事の相談とかもするんや。

舞・貴司) うん。

久留美) ええなぁ。

舞) 私らの話はええから。

 久留美は? 何か、話あるんやろ?

(パンフレットを出す久留美)

久留美) フライトナースって知ってる?

貴司) うん。

舞) 聞いたことある。

久留美) 事故や急病災害で、緊急

 の要請があった時に、ドクターヘリ

 に乗って、一番最初に現場に行く、

 看護師のことやねんけど…。

舞) かっこええな。

久留美) これ、

 挑戦したいなぁって思ってて。

貴司) すごいやん!

雪乃) このドクターヘリいうのは

 めちゃくちゃ大変やねんで。

梅津) 知らんやろ、お前。

雪乃) 知ってんねん。

梅津) 知らんわ…。

 いいから若者たちの会話に入るな!

雪乃) 大変やからな~。

梅津) ああこれ持ってって、ほら。

雪乃) はいはい。

舞) 何でこれやりたいって思ったん?

久留美) 看護師としてのキャリアを考え

 た時に、いろいろ、道はあるねんけど、

 私は、救命救急の看護を極めたい。

 ドクターヘリに乗れたら、最前線で

 もっと、経験積めるから。

舞) そうなんや…。

貴司) ほな、病院変わるってこと?

久留美) うん。うちの病院は

 ドクターヘリないねん。

 表紙見て。

舞) 長崎…。

久留美) 離島が多いから、

 ドクターヘリの導入も早いんよ。

 その道で有名な先生もおるし、

 育成制度も充実してる。そういう

 とこで、勉強できたらええなって。

舞) 私は、久留美がやりたいこと、

 やったらええと思う。

久留美) ありがとう。

 うん…そうやんな。

 舞ならそう言ってくれると思った。

 あ…食べよ。

舞) うん。

久留美) おいしそう。

 

**********

 

<岩倉家・2階>

舞) 久留美も、新しい道に進むん、

 考えてるんやな。

貴司) うん。舞ちゃんが新しい仕事

 始めたん、見たからやろな。前に

 踏み出す人見たら、力が湧くから。

舞) そやったらうれしいけど…

 うん…。迷ってる感じやった。

貴司) うん。おっちゃんのことかな…。

舞) うん。おっちゃん一人にするん、

 心配なんやろな。

貴司) ちゃんと話し合って、

 前進めたらええな。

舞) うん、せやな。

貴司) あんな、舞ちゃん。

舞) ん?

貴司) 僕、来週ちょっとデラシネに

 籠もりたいねん。2冊目の歌集の

 ために、集中したくて。

舞) うん、分かった。応援してる。

貴司) ありがとう。

 

**********

 

<こんねくと>

我妻) あれから考えてんけどな、

 こういう形状はどないや。

舞) あ~すてきですね。

男性) いや、このサイズもっと

 大きならへんかな? この狭い中に

 孔開けても、何見せたいんかよう

 分かりませんやん。

仙波) それより、

 これちょっと見てえな。よいしょ。

 こんなふうに、十二面体で、全部に

 星形の孔開けて、プラネタリウム

 みたいにすんのはどうや。

我妻) それもうランプちゃうやん。

仙波) 何やと?

我妻) 何やねんな。

仙波) すいません。

舞) 十二面体って、形は面白いです

 けど、加工方法や、組み立てのこと

 考えたら、ちょっと、予算オーバーな

 気はします。

御園) 単純に、天板の大きさを100ミリ

 より大きくするのがいいんじゃない?

 多少サイズアップしても使ってもらえ

 るとは思う。

舞) そうですね。ほんなら、我妻さん。

 これを、120ミリに、もっぺん調整して

 もろてもよろしいですか?

我妻) 分かった。設計変更しとくわ。

舞) ありがとうございます。

男性) じゃあ、120ミリやなくて

 150ミリでもかまいませんか?

我妻) わがままやな。

男性) すいません。

仙波) でかすぎても邪魔になるしな…。

 いっぺん、120の中に、何が描けるか、

 デザイン考えてみよか。

舞) お願いします。

御園) お願いします。

舞) あと仙波さん、

 この、側面なんですけど…。

仙波) おうおう。

 

**********

 

我妻) 出来上がったで。

 

こうして、

いくつかの試作を繰り返し、

ついにランプが完成しました。

 

我妻) 絞り大変やったんやで。

舞) ホンマに、ありがとうございます。

 

**********

 

(部屋を暗くする舞)

舞) ほな、点灯しましょか。

我妻) お願いします。

舞) はい。

我妻) つけるで。

舞) いきます。

(照明を取り付けた土台に、

 円柱形の外枠をかぶせる)

一同) お~。

我妻) ええやろ?

仙波) うん。

的場) ああすごい…。

仙波) ハハハハ。

我妻) 上も見てみてや。

(天井に映る、空を飛ぶ飛行機)

男性) わあ~。

男性) きれいや。

男性) きれいですね。

男性) ええ感じやん。

我妻) 当たり前やん。

 うちを誰やと思てんねん!

仙波) 痛っ! 何で…。

我妻) 愛情表現や。

仙波) いや分からん。

我妻) ハハハハハ。

舞) ホンマに、皆さんのおかげです。

 ありがとうございました!

我妻) まだ完成してへんで。

 人の手ぇに届くまでがものづくりや。

舞) はい!

我妻) よっしゃ。

 

**********

 

<カフェ・ノーサイド>

舞) 夜つけたら、

 ええ感じになると思うねん。

 使ってみて、感想聞かせてほしい。

久留美) ありがとう。

舞) 久留美。

久留美) ん?

舞) おっちゃんには、相談したん?

久留美) まだしてへん。やっぱり、

 お父ちゃん一人にでけへんやろ?

 もう年やし、置いていかれへんなって。

舞) それはそやけど…。

久留美) 長崎は、遠すぎるなって。

悠人) ちょっとしっかりしてください。

 おばちゃん、水頂戴!

津田) はいはい!

久留美) お父ちゃん!

舞) お兄ちゃん? 

佳晴) おお、久留美。

舞) どないしたん?

久留美) 何?

 

**********

 

久留美ちゃんがフライトナース! まさかの、

久留美ちゃんが空に舞いあがるのか!?

それに、長崎といえば五島に近いしね~。

 

私は、久留美がやりたいこと、
やったらええと思う。

 

ずっとやりたいことをやってきた舞だからね。

貴司も舞も、応援してくれると分かっていた

はず。求める答えをくれる人に、人は相談し

がちだと言うし。久留美ちゃんも本心は、フ

ライトナースに挑戦してみたいんだろうなあ。

 

やっぱり、
お父ちゃん一人にでけへんやろ?
もう年やし、置いていかれへんなって。

 

いやいやいや、そんな年じゃないし! 健康

だし、一人で十分生活していけるから~!

子供の頃からの刷り込み? 父親の面倒を

みなければいけないと、思い込み過ぎよね。

 

 

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