「舞いあがれ！」 第79回
第17週「大きな夢に向かって」
難しいからこそ、
IWAKURAでやりたいんです
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舞） ただいま戻りました。
藤沢） わ～帰ってきた！
山田） ちょ…ちょ…ちょ…。
大変やで！
舞） えっ、どないしたんですか？
山田） 今、誰が来てはると思う？
舞） さあ…。
山田） あの、かの、
菱崎重工のお偉いさん！
うちの工場みたいいうて。
舞） えっ、もしかして、
荒金さんですか？
藤沢） えっ。
山田） えっ。
藤沢） 知り合い？
舞） え…ちょ…ちょっと、
私行ってきます。
山田） え？
藤沢） えっ、何で？
山田） 何で知ってんの？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
荒金） 設備が新しいようですが、
こちらの工場はいつ建てられた
んですか？
めぐみ） ５年前です。
自動車向けの部品を製造するために、
先代社長やった主人が、思い切って、
工場を新ししまして。
荒金） ゆくゆくは、航空機部品への
参入もお考えなのですか？
めぐみ） ん～…それは…。
（ノック）
めぐみ） はい。
舞） 失礼します。
荒金） ああ、先日はどうも。
舞） ああ…わざわざお越しくださって、
ありがとうございます。
荒金） まあ座りましょうか。
舞） 失礼します。
荒金） 実は一つ、ご相談がありまして。
ボーリガード社をご存じでしょうか？
めぐみ） はい。高級自動車の生産で
有名な会社ですよね。
荒金） そうです。
舞） 航空機分野では、
世界トップクラスですよね。
荒金） よくご存じですね。
実は弊社は、ボーリガード社の
研究開発案件を抱えております。
その中で、航空機に使われる、
新型エンジン用のボルトを試作
する話が来ています。もしご興味
がおありでしたら、御社でこの
ボルトを作ってみていただけま
せんか？
めぐみ） それは…
仕事のご依頼でしょうか？
荒金） もちろん、正式な発注を
見据えた試作と考えています。
舞） え…社長。
めぐみ） ホンマ、ありがたいお話なん
ですけど、弊社は、先ほど、ご覧い
ただいたとおり、航空機部品に関し
て、経験がありません。新しい分野
に参入する余裕は、とても…。
荒金） そうですか。
舞） あの…どのようなボルトか、図面、
見せて頂くことは、可能でしょうか？
めぐみ） 舞。
図面も見んと、お断りはでけへん。
荒金） お見せして。
男性） はい。
どうぞ。
舞） ありがとうございます。
めぐみ） これは、外部にお見せにな
っても、ええもんなんでしょうか？
荒金） いえ、部外秘です。
ただ舞さんのおっしゃるとおり、図面
をご覧にならないと、できるもできな
いも判断できませんからね。
舞） あの…少し、検討する時間、
頂けますか？
荒金） 実はこれ、朝霧工業さんに
既にお願いしている案件なんです。
ただ、試作が遅れておりまして、ほ
かにできるところがないか探してい
たんです。申し訳ありませんが、お
返事は早めにお願いいたします。
舞） 承知しました。
めぐみ） 荒金さん。なぜ、弊社に
ご依頼いただけたのでしょうか。
荒金） 航空機産業は、新たな力を
必要としています。舞さんがセミナ
ーで発言したように、本当に中小
企業がその力となりうるのか。
私はとても興味があります。御社
には優れた技術があるとおっしゃ
いましたね。
舞） はい。
荒金） それを証明して
いただきたいのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
舞） お願いします。
お願いします。お願いします。
私は、挑戦したいと、思ってます。
章） やっぱ飛行機の部品は
ちゃいますね。
宮坂） 技術の最高峰て
言われるだけあるわ。
相良） せやけど、航空機部品やんね
やったら、今うちの会社が持ってる
資格だけやったらあかんのとちゃい
ます？
舞） はい。確かに、将来本格的に、
航空機部品をやるんやったら、
JIS Q 9100 を取得せなあきません。
けど今回は、試作段階なので、
そこは、マストではないんです。
めぐみ） 笠巻さんは、
どう思いはります？
笠巻） 正直なとこ、難しいと思う。
これ、新型エンジン用に開発された
ニッケル基合金で作ることになるわ
な。これまでIWAKURAでいっぺんも
扱うたことのない素材や。
宮坂） ニッケルはなぁ…大変や。
特殊な材料やからな、うちにある
機械で加工すんのは難しいんと
ちゃうやろか。
舞） 東大阪の、よその工場に、
手伝ってもらうのはどうでしょう？
笠巻） そんな、簡単なもんちゃうで。
よその工場かて、それぞれが大事
な仕事抱えてんねん。うちの都合
で協力してくれ言うてもなあ。
章） う～ん…それにな…この図面な
んぼ見たかて、どんな機械が必要
なんかとか、何をどこに頼めばいい
んか、正直あんまピンと来ぇへんわ。
そもそも、東大阪でできるもんなん
すかね。
笠巻） う～ん…
雲をつかむような話や。
難しすぎる。
舞） 難しいからこそ、
IWAKURAでやりたいんです。
この試作、成功したら、IWAKURAは、
もっと成長できると思います。
笠巻さん。IWAKURAが、ここまで生
き延びてこれたんは、チャレンジす
んのを、やめへんかったからじゃな
いですか？
（回想）
浩太） なあ笠やん。
僕、これやりたいねん。
笠巻） これ新しい金型が要るんやで。
（回想）
浩太） どないしてもやりたいんです。
お願いします！
（回想）
曽根） お待ち遠さん。
浩太） ありがとうございます！
（回想）
浩太） いけてる。これからどんどん、
新しいことに、チャレンジしていこな。
舞） よその工場には、
協力してもらえるよう、
私が頼みに行きます。
私、どうしてもこれ、
やりたいんです。
笠巻） フフフフ。
お父ちゃんも頑固やったけど、
ハハハハ…あんたそれ以上やな。
（笑い声）
笠巻） はあ…。
そこまで言うんやったら、
できることやってみよか。
舞） 社長。
先代の夢、挑戦させてください！
（頭を下げる舞）
めぐみ） 分かりました。
やってみましょ。
舞） ありがとうございます！
こうしてIWAKURAは、
初めて航空機部品に
挑戦することになりました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（仏壇の前にめぐみ）
めぐみ） 浩太さん、IWAKURAで、
航空機の部品、試作することにな
ってんで。舞がな、「お父ちゃんの
夢かなえるんや」て…。
よかったなぁ、浩太さん。
見せたげたいなぁ…。
IWAKURAのみんなが、浩太さん
の夢かなえよって、頑張ってる
とこ。リーダーは、舞なんやで。
あの舞が…。アハハハハ。
（チャイム）
めぐみ） は～い。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
めぐみ） は～い、あっ、雪乃さん。
雪乃） 今日店休みやったからな、
城崎行ってきてん。これお土産。
めぐみ） ありがとう。
上がっていかへん？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
雪乃） 舞ちゃんがプロジェクトリー
ダーいうて、大したもんやんか。
めぐみ） 大企業が集まるセミナー
でもな、あの子、手ぇ挙げて発言
しやってん。
雪乃） すごいやん。
めぐみ） もうびっくりしたわ。
雪乃） はあ～もう…
頼もしいやんか。
いつの間にか立派なってな…。
浩太さんいはったら、
喜んだやろにな。
めぐみ） うん…。せやけど、
仕事ばっかりやねんあの子。
雪乃） ええこっちゃ。
めぐみ） 今も工場で、
金属とにらめっこしてる。
雪乃） こんな時間まで！？
めぐみ） せやねん。
雪乃） はあ～。
めぐみ） 熱心なんはええけど、
あの子もう27やで？
そろそろ…なあ？ 結婚とか、
考えてもええんちゃうかなぁて…。
雪乃） あんな、
今の若い子いうのはな、
のんびりしてんねんて。
うちの貴司なんかでも
一生独身ちゃう？
めぐみ） いや…。
雪乃） 短冊にな、短歌書いてモテん
のは平安時代までやっちゅうねん
ホンマに。
めぐみ） お互い、心配なことやなぁ…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
めぐみさんの心配をよそに、
舞ちゃんのプロジェクトが
走り始めました。
章） ほんで表面粗さ。
これの要求もめちゃめちゃ高い。
舞） はい。
航空機の部品は、
高熱や振動といった、
過酷な環境にさらされるため、
非常に高い品質が求められます。
部品一つ一つの出来が、
人の命に関わるのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
宮坂） 止まった。
章） あかんわヒビ入ってるわ。
宮坂） はあ…。
笠巻） よっしゃ、
もういっぺんやってみ。
章） はい。
舞） お願いします。
今回のボルトの素材である、
ニッケル基合金は、
硬くて加工が難しいので、
何度も失敗を繰り返しながら、
最適な加工方法を探していきます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
JIS Q 9100
JIS Q 9100 とは、航空機部品を
製造する上で必要となる、
認証規格です。
IWAKURAが本格参入する場合は、
これを取得する必要があります。
舞ちゃんは更に先の夢に向かって、
一人ひそかに、
準備を進めていたのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
舞がどんどん浩太に重なっていく件！笠巻よ
り、「お父ちゃん以上に頑固」、頂きました～。
ただでさえＤＮＡを色濃く継いでいる上に、勉
強家だし、努力家だし、真面目だし、可愛い
し…ｗ ひたむきさ、まっさらを武器に、限界
突破していくという、意外と恐ろしい子…舞！
お仕事関係がガッツリ描かれる中、雪乃さん
とめぐみさんの会話に、心が癒やされた～。
めぐみ） 熱心なんはええけど、
あの子もう27やで？
そろそろ…なあ？ 結婚とか、
考えてもええんちゃうかなぁて…。
雪乃） あんな、
今の若い子いうのはな、
のんびりしてんねんて。
うちの貴司なんかでも
一生独身ちゃう？
めぐみ） いや…。
雪乃） 短冊にな、短歌書いてモテん
のは平安時代までやっちゅうねん
ホンマに。
めぐみ） お互い、心配なことやなぁ…。
本気で心配なわけではないけれど、子ども
たちの、この先の幸せも気になるおかん心。
下世話な話にはならず、ふんわりしている
のも良き。梅津と岩倉家の関係が良き～♪
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