「舞いあがれ！」 第71回
第15週「決断の時」
目指すもんが、違ってしもた
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電・舞） そちらで雇ってもらえ…。
そうですか…。いや、ご無理お願いし
申し訳ありませんでした。はい、失礼
いたします。
山田） あきませんか？
舞） どこかけても、人は足りてるて…。
山田） このご時世ですからね。
舞） 私、直接頼んでみます。
山田） えっ！？
それからひとつき、
舞ちゃんとめぐみさんは、
社員たちの再就職先を
探して回りました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
2009年8月
めぐみ） ただいま。
舞） お帰り。遅かったなぁ。
めぐみ） うん。取引先回ってたから。
舞） お疲れさん。ごはんもう出来んで。
めぐみ） ありがとう。
舞） うん。
何？ 何か、ええことあったん？
めぐみ） 再就職先、見つかった。
舞） 稲本さんの？ それか、砂川さん？
めぐみ） ２人とも。
舞） ああ、よかったなぁ。
めぐみ） あとは、小森さんやけど…
強引には、進められへんしなぁ。
舞） うん…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜休憩室＞
舞） 小森さん、ちょっと、
お話できませんか？
小森さん。
小森） そういうん、
あかんのとちゃうか？
舞） え？
小森） 会社辞めろて圧力かけんの、
あかんやろ。俺はそんなに、この
会社にとっていらん人間なんか？
舞） そ…そんなこと…。
小森） 前の社長は、
こんなことせえへんかった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（弁当を食べる笠巻）
笠巻） うん…。
小森かて、会社困らしたいわけ
やあらへんねんで。
多分プライド、傷ついたんや。
納得のいく職場が見つかったら、
気も変わんのとちゃうやろかな…。
舞） 笠巻さん。小森さんって、
どんな職人さんですか？
笠巻） どんな？
舞） 好きなこととか、得意なこととか…。
笠巻） 小森はなぁ、飛び抜けて技術が
あるわけやない。けどな、あいつは一切
手ぇ抜けへんね。どない、つまらん仕事
言いつけられても、くさらんと、真面目に
やりよる。立派な取り柄や。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（会社訪問を続ける舞）
舞） 次…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
♪（携帯の呼び出し音）
（空港のロビーで
電話をかけている柏木）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜路地＞
舞） ああ、こんばんは。
曽根） おう舞ちゃん。
えらいこっちゃったなぁ。
手伝えることあったら、
何でも言うてや。
舞） あの…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜うめづ＞
曽根） 職人の再就職先なぁ。
舞） はい。
曽根） すまんな、うちで、
雇えたらええねけど…。
古田） うちも今、厳しょうてな…。
ほんで、どういう職人やの？
舞） ずっと、転造やってはって、
どんなちっちゃい仕事も絶対
手ぇ抜けへん人なんです。
曽根） なあ、長井さんとこどやろ？
古田） ああ、せやな、
金属加工がよさそやな。
曽根） いっぺん、
長井さんに聞いてみ。
舞） はい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜工場の休憩室＞
小森） 探してくれて俺頼んだか？
舞） いえ。
小森） 働けたらどこでもええ
ちゅうわけちゃうねんぞ。
舞） 実は、長井さんに、小森さんが
働いてるとこ、見てもろたんです。
小森さんのこと…しっかりした、ええ
職人さんて、言うてはりました。
勝手に、すいません。
（頭を下げる舞）
（お守り袋に入れた、
１本のねじを出す小森）
小森） これな、俺が作って、初めて
褒められたねじや。あんたのお父さん、
「これがIWAKURAのねじや」って、言う
てくれてな。「IWAKURAのねじはほか
と違う。金型の調整を徹底的にやるか
ら、ねじの立ち上がりが全然違うねん。
ここで働いてるっちゅうことが、
俺の自慢でな。せやのに…。
舞） 小森さん…。
小森） けどな、俺が辞めな、IWAKURAが
潰れてしまうんやったら…。しゃあないわ。
舞） 小森さん。
私、戻ってきてもらえるように、
精いっぱい、頑張ります。
小森） そんなん無理やろ。
信じたいけどな。
（お守りのねじをポケットにしまい、
出て行く小森）
（頭を下げる舞）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜岩倉家の表＞
舞） 柏木さん…。
柏木） ちゃんと話したくて。
舞） （頷く）
（道を行く２人）
（帰ってきためぐみが、
２人を目で追う）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜近くの公園＞
柏木） 工場を、続ける？
ハカタエアライン、どうするんだ。
舞） 内定…。辞退する。
柏木） どうして…。
あんなに頑張ったじゃないか。
パイロットになるために、一生懸命
勉強して、訓練して、誰よりも空、
飛びたがってた。今パイロットを
諦めたら、きっと後悔する。違うか？
舞） 後悔するかもな…。
柏木） だったら…。
舞） けど、今ここ離れたら…。
絶対、後悔する。お母ちゃん助けて、
工場、立て直したい。それが、今の
私にとっての、一番大事なことや。
柏木） 本当に決めたんだな。
舞） うん。
柏木） 本当はさ、かすかに、
そんな気がしてた。
でも…。そういう舞だから…。
好きだった。
短い間でも、
一緒に空を目指せて、
幸せだった。
舞） ありがとう。
柏木） 頑張れよ。
舞） 柏木さんも。
（去って行く柏木）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜岩倉家＞
舞） （泣）
（ノック）
めぐみ） 舞？
（背を向ける舞）
めぐみ） 柏木さんと、
何かあったんやな。
舞） 別れた。
目指すもんが、違ってしもた。
めぐみ） お母ちゃん、あんたを…。
舞） お母ちゃん。小森さんが、長井
さんとこで働いてくれはるって。
小森さんと約束してん。
戻ってきてもらえるように、
精いっぱい頑張るって。
一緒に、頑張ろ。
めぐみ） ホンマに、ええの？
舞） うん。
（舞を抱きしめるめぐみ）
向かい風に立ち向かう、
２人の挑戦が始まります。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
舞は、喫茶店でのアルバイトぐらいしかしてい
なくて、工場の仕事もお手伝い的なものだった
から、ずっと学生で、まだ社会人の経験もない、
未熟な女の子なんだよね。だから、いろんなこ
とが見えてないし、分かっていない。見ている
側はそこがもどかしくて、危なっかしく見えるわ
けだけれど…。一つずつ、学んでいく姿を、じっ
くり描いているんだなあと…リストラされる職人
さんの人となりを見るようになる姿で分かった。
やってみないと、怒られたり、嫌がられたり、実
際に体験しないと分からないことは多いし、失
敗したり、間違えたりしながら覚えることも多い。
人は迷うし、間違うし、遠回りしてしまうこともあ
る。最短に道を目指すもよし、急がば回れでも
よし。自分の人生は自分で決めていいのよね。
舞にパイロットになれと痩せ我慢できる母親も
いていいし…娘の気持ちをありがたく受け取る
母親もいていい。どちらが正しいとも、間違って
いるとも言えない。娘自身の気持ちもあるしね。
事態は刻一刻と変化していくものだし、未来は
まだまだ分からない。だからこそ人生は面白い。
諦めたら試合終了。ホント、そういうことかもね。
本当はさ、かすかに、
そんな気がしてた。
でも…。そういう舞だから…。
好きだった。
短い間でも、
一緒に空を目指せて、
幸せだった。
好きだった。幸せだった。過去形で語る柏木に、
え？え？え～！？と思っていたら、舞が「別れ
た」と言ったので、そういうことか～と分かった
けれど展開が早すぎて困惑。あまりにも、結論
出すの早すぎないかい？ 舞のほうから切り出
したのかなあと想像はできるけど、そして柏木
はやっぱり柏木だったということで納得もでき
るけど。まあ…別れると思っていたからいいん
だけどね（酷いｗ）。初恋はそんなものさ～とい
う（そういうところもある意味リアルかもね～）。
目指すもんが、違ってしもた。
パイロット、ということだけではなく、元々いろ
いろと違っていたといえば違っていたかもね。
辛い時間が続いて、そろそろ舞いあがってい
く時が近づいてると思うので、期待して待機。
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