「エール」第111回~男と女が出会わない、画期的な恋愛ドラマ! | 日々のダダ漏れ

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「エール」 第111
第23週 「恋のメロディ
男と女が出会わない、画期的な恋愛ドラマ!

 

 

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<放送局・ラジオドラマのスタジオ>

女性) 「君の名は?」と尋ねし人あり。

 我は答えず、七年(ななとせ)たちぬ。

 ふるさとの小川のほとりに立ちて、

 その人を思えども、都は遠く、

 佐渡は、真冬なり。

 

**********

 

(副調整室から合図を出す池田)

女性) 池田二郎作、連続放送劇、

 「君の名は」。

 

昭和27年に始まる、「君の名は」。

伝説的ラジオドラマとして

語り継がれる作品です。

 

女性) 東京の中央部を襲った炎の波を

 逃れ逃れて、真知子は、数寄屋橋の

 橋畔(きょうはん)で、ある人に命を救

 われたのだ。

 

物語は戦争末期、

東京大空襲から始まります。

 

(効果音担当・春日部がサイレンを鳴らす)

 

女性) どこかのお方か存じませんけれど、

 何度も何度も危険なところを助けて下す

 って、ありがとうございました。

男性) さあ、お父様やお母様たちが待っ

 ていらっしゃるでしょう。お帰りなさい。

女性) ええ・・・さようなら。

男性) あっ・・・君! だけど、今別れたら、

 いつまた会えるかしれないね。

女性) そうですね。

男性) ねえ君・・・僕たち・・・。

 

このあと、何度も何度も擦れ違う2人に、

日本中が熱狂することになるのですが、

実は当初、作者の池田にそんなつもり

はなく・・・。

 

**********

 

半年前

 

池田) いくぞ。せ~の・・・えい!

(日本地図を指さす池田と裕一と重森)

池田) どこだ? ・・・佐渡!

裕一) 東京!

重森) 志摩半島です。

池田) いいバランスだ~。

 よし、今回のドラマは、ここに住む

 3つの家族が主人公だ。

重森) 三家族同時にですか?

池田) そうだよ! やっとCIEの口出しが

 なくなって自由にドラマ作れるんだよ。

 なっ? 生まれも育ちも違う、この、三者

 三様の家族・・・なっ? ありのままの戦

 後を描くんだよ。

裕一) うん・・・。

重森) 三家族だと、役者は3倍です。

池田) うん。

重森) スケジュールも複雑になるし、

 予算も桁違いになります。

池田) だから面白いんじゃないか。

裕一) 舞台それぞれの音楽も

 必要になりますね。

池田) もちろんだよ! 佐渡には佐渡

 の志摩には志摩の、東京には東京

 の音楽がある!

裕一) 面白い!

池田) さすが古山だ!

重森) 僕は真面目な話をしているんです。

池田) (舌打ち)

 新しいことをすぐ否定する。

 NHKの悪い癖だぞ。こら。

重森) 楽団の人は、対応できるんですか?

裕一) いざとなったら、僕がハモンド

 オルガンだけでやります。

池田・重森) ハモンド・・・?

裕一) あれ、実はいろんな音

 出せるんですよ。

 例えばなんですけど・・・。

♪(ハモンドオルガンの音)

池田) おっ、おっ、おっ、おっ・・・アハハ!

重森) えっ?

池田) へえ! おっ!

重森) すごいな・・・。

裕一) 面白くないですか?

池田) ああ!

重森) うん!

池田) よし、決定だ!

重森) えっ、決定?

池田) 骨太な社会派ドラマを作るぞ!

 

こうして、三家族を並行して描く、

画期的なドラマとして放送を開始した

・・・はずだったのですが。

 

**********

 

放送開始から半年

 

<放送局>

池田) (ため息)

重森) ロッパさんは体の調子が悪い

 ってあれほど言ったのに・・・。

 

**********

 

<古山家>

電・裕一) そうですか。はい分かり

 ました。すぐに行きます。はい。

音) どうしたんですか?

裕一) 夏川さんとロッパさんが病気で

 倒れたって。入院したらしい。

 

**********

 

<古山家・玄関>

裕一) 池田さんが今、大急ぎで

 台本書き直してる。

音) 放送まであと4時間。

裕一) あの人ならなんとかするから。

 行ってきます!

音) 行ってらっしゃい。気を付けて。

裕一) あっ、華お帰り。

音) お帰りなさい。

華) 疲れた・・・。はあ・・・。

 

このころ華は、看護学校で

実習の毎日でした。

 

**********

 

<華の部屋>

(制服のまま寝転ぶ華)

 

**********

 

<放送局>

裕一) 池田さん、どうですか?

池田) 話しかけるな。

 今いいとこなんだよ。

(台本を書いている池田)

池田) あっ・・・前半の原稿だ。

 春日部さんにも見せて。

 何笑ってんの?

裕一) フフッ・・・何でもない。

 すみません。

池田) こんな時に。

裕一) すみません。

池田) この野郎が・・・。

 

**********

 

裕一) 春日部さん、

 前半部分出来ました。

春日部) おお・・・。

(台本を見る裕一と春日部)

春日部) 子どもたちの話を

 広げたのか・・・。うまいな。

裕一) いや~

 子どもが好きなんでしょうね。

春日部) その割には、家族も持たず、

 女はお盛んだけどな。はあ?

(ト書きを読む)

春日部) 「音もなくひらく玄関の音、

 ぬき足、さし足、しのび足」。

 音もしてないのに音って何だよ。

裕一) いや~これも大変ですよ。

裕一・春日部) 「惚れ薬を瓶から出す音」。

春日部) どうやって表現すんだよこれ。

 何だよ全くさ~! こういう時に・・・はあ~

 だから池田の仕事は嫌なんだよな~。

裕一) 惚れ薬だったら・・・例えば、

 ポンってこう栓が、開いたあとに・・・。

(オルガンを弾く裕一)

春日部) あるかも・・・うんあるかも!

裕一) 本当ですか?

春日部) いや、だったらあの、

 さっきの音は?

裕一) う~ん・・・。春日部さん、

 扉が開く音を、表現してもらって・・・。

春日部) あ~風?

裕一) 僕、低い音で、大きく・・・。

春日部) いやいや、あのさ、でもさ、

 ぬき足だぞ? 小さくだろ。

裕一) いや、人って警戒してる時

 足音大きく感じません?

春日部) あっ・・・。

裕一) 例えば、春日部さんが、飲み

 過ぎて、深夜、奥さんを起こさない

 ように、帰ってくる時。

(きしむ音)

春日部) あ~これちょっとのきしみが

 大きく聞こえんだよね!

裕一) いや~でも、新しいものってほら、

 無理難題から始まるじゃないですか。

 

**********

 

(秒針の音)

(時刻は午後7時21分)

(一心不乱に原稿を書く池田)

(台本を元に曲を書く裕一)

(効果音の道具を準備する春日部)

春日部) よいしょ・・・。

池田) よし・・・。

(裕一に原稿を差し出す池田)

池田) 遅くなった。すまん。

裕一) いいえ。

 まだ1時間ありますから、大丈夫です。

重森) お・・・おた・・・おた・・・。

池田) どうしたんだよ?

(池田に耳打ちする重森)

池田) はあ!? おたふく!?

 

**********

 

(時刻は7時57分)

(ドアが開く音)

重森) ほかの子どもたちの、

 手配は・・・つきません。

池田) どうすんだよ? あ~もう!

重森) このままじゃ放送に穴があい

 ちゃう。責任持って辞めます。

池田) バカ野郎お前のクビなんかどう

 でもいいんだよ! 放送を楽しみにし

 ている人たちを裏切るんだぞ!?

 そこを感じろよ!

春日部) おい! どうすんだよ? 

 あと30分だぞ!

裕一) 池田さん。

池田) とりあえずあの~・・・。

 スケジュールが確実で、

 体が丈夫なやつ誰だよ?

重森) 春樹と真知子です。

(スタジオで待機中の、

 春樹と真知子役の2人)

池田) しかたないな。

 2人に絞って話進める。

重森) えっ? それで半年もちますか?

 時系列でいったら、2人はもうすぐ会っ

 ちゃいます。偶然会った2人が再会す

 るとなったら、来週から先困るのは目 

 に見えてます。今日は休止して、立ち

 直る手だてを・・・。

池田) 駄目だよ~! 駄目!

 穴は絶対あけられないよ!

重森) じゃあどうするんですか!?

池田) 会いに行くけど・・・会わない。

一同) えっ?

池田) 擦れ違う。

裕一) えっ?

池田) いやいや・・・あの2人とも、会い

 に行くんだけど何か知らないけど、

 会えない! 切ないだろう?

重森) いや一度はいいんですけど、

 そのあとどうするんですか?

池田) いやいやもうそのころにはほか

 の連中も元気になって戻ってくるよ。

重森) ロ・・・ロッパさんは、

 しばらく時間がかかります。

 それに・・・途中で三家族の話

 に戻すのも、難しいかと・・・。

裕一) う~ん・・・。

池田) じゃあいいよもう決めたよ!

 もう何度も何度も擦れ違う!

 もう会わない恋愛ドラマ!

 画期的だろうが。

 よしどいて! いや~画期的だよ。

(台本を書き始める池田)

池田) ありえる?

 ありえるんだよそれが。

 画期的だよ・・・。

 

**********

 

重森) 男と女が出会わない

 恋愛ドラマなんて・・・。

 

重森は・・・。

 

重森) 怒られる・・・。

 

間違っていました。

 

**********

 

真知子と春樹に絞ったストーリーは、

空前の大人気となりました。

 

女性) 自由倶楽部の、編集部でいらっ

 しゃいますか? そちらに、後宮(あと

 みや)春樹さんという方が勤めている

 と思うのですが・・・。

(風の音)

男性) もしもし? 何ですって?

 雑音が入って、よく分からないの

 ですがね・・・。

 

ラジオドラマの放送中に、

異例の映画化。こちらも大ヒット。

岸惠子の真知子巻きをする女性で、

街はあふれ返りました。

 

ラジオの放送がある、木曜日の夜

8時半には、銭湯に女性客がいな

くなるという、逸話まで生まれました。

 

女性) すみません。こちらに、後宮さん

 という方が働いていると思うのですけ

 ど。えっ? たった今?

(下駄で床を叩く春日部)

女性) 真知子は、春樹の姿を追った。

(オルガンを弾く裕一)

女性) 後宮さん・・・後宮さん!

 

**********

 

ラジオ) 「その日の神田は、江戸一帯の

 名だたる大祭の一つ、日本三大祭り、

 神田祭の日であった」。

(ラジオの前の音)

音) ああ・・・。

華) また擦れ違うの?

音) ちょっと待って

 今いいところなんだから。

 

**********

 

当初、一年の予定だった「君の名は」は、

更にもう一年続くことが決定しました。

 

池田) 何かいいのかな? しかたなく

 やったことがここまでウケちまって。

裕一) ご苦労さまです。

池田) おっ、ご苦労さん。

裕一) 楽しくないですか?

池田) まあ、ここまでの人気だ・・・。

 つまらないっつったら罰が当たる。

裕一) 池田さん、僕昔は、自分の

 理想の音楽目指してました。

 でも、今は音楽に身を委ねてます。

池田) ほえ~ハハッ。

 あ~結局、人に新鮮な喜びを与え

 んのは、神様の仕業ってわけか。

 じゃあ一体、俺たちは何なんだ?

裕一) フフフフ・・・。

池田) 何なんだってんだ! ハハハハ。

 あっ、ちょっとこれ、読んでみて。

裕一) 「忘却とは忘れ去ることなり。忘

 れ得ずして忘却を誓う心の哀しさよ」。

池田) 次から毎回冒頭に入れようと

 思ってな。どう思う?

裕一) いや・・・グッと来ます!

池田) よっしゃ~。ただの擦れ違いの

 メロドラマだって言うやつがいてさ、

 癪だからよ・・・それでちょっと格調

 高くなるだろう。

裕一) そんなこと気にしないで下さい。

 池田さんはちゃんと素晴らしい作品

 を作ってます。

池田) 俺の作品じゃないよ。

 俺たちの作品だろ。えっ?

裕一) (笑)・・・はい!

池田) おう。

 あっそうだ・・・

 ちょっといいもんがあんだよ。

裕一) えっ?

 

**********

 

<古山家>

音) 万鶴屋(ばんかくや)の特撰かすてら!

裕一) 池田さんから番組延長の

 ご褒美だって。

音) あと一年も聞けるなんてうれしい。

裕一) えっ、そんなに?

音) だって面白いですも~ん! 頂きます。

 

真知子と春樹の切ない恋の物語は、

昭和29年4月、全98回まで続きました。

この間、裕一が「君の名は」のために

作った曲は、500曲にも及びました。

 

(かすてらの木箱を枕元に置いて眠る音)

(裕一が手を伸ばすと、

 眠っているはずの音が箱を掴む)

 

**********

 

<病室>

華) 今日は寒くなりそうなので、

 毛布を持ってきました。

チエ) あら華さんは気配りが利いて

 優しいね~。うちにもこんな孫が

 欲しかった。

 

そうこうしている間に、

華は無事に看護婦になりました。

 

**********

 

あの大ヒットドラマ、「君の名は」の舞台裏。

意図せず大ヒットになった逸話が興味深い。

こういうのを待ってたよ~!こういう場面が

見たかったから、今日はとても楽しかった!

 

もう何度も何度も擦れ違う!
もう会わない恋愛ドラマ!
画期的だろうが。

 

男と女が出会わない恋愛ドラマ! 確かに、

超画期的だよね。画期的なドラマの始まり

はアクシデントから。でも、意外となんでも

そういうものかもね。無理難題をクリアしよ

うとすると、思いがけない力が出るのかも。

こういうドラマ作り、もっと見たいところだけ

れど、次は華ちゃんの恋バナになりそう♪

 

 

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