「カーネーション」(再放送)第136回~第24週「宣言」 | 日々のダダ漏れ

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「カーネーション」 
第136回~第24週 「宣言」

 

 

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「日々のダダ漏れ」

 

 

<小原家>

テレビ) 空気が流れ込むため、西日本

 では気温が上がりそうです。一方、

 北日本では冷たい空気が居座るた

 め、寒さが続くでしょう。

(ベッドの上で、栄之助からもらった

 ハートのカードを見つめている糸子)

孝枝) 里香ちゃ~ん。はい。

 これ先生に持っていって。

里香) はい。

 

**********

 

(ベッドの上のテーブルに向かい、

 デザイン画を描く糸子)

(手を止め、ハートのカードを見つめる糸子)

(電話をかける糸子)

電・女性) はい、河瀬商会でございます。

電・糸子) あっ、お世話になってます。

 オハラ洋装店のオハラです。

電・女性) いつもお世話になっております。

電・糸子) あの、譲さん、いてはりますか?

電・女性) はあ、少々お待ち下さい。

電・譲の父) どうも先生、こんにちは。

電・糸子) ああ、社長。

電・譲の父) あいにくね、今譲が

 ちょっと外に出てるんですわ。

電・糸子) ああ…そうですか。

 あ~いえ、あの…こないだ、譲が、

 面白い言い方してたんですわ。

電・譲の父) 面白い言い方?

電・糸子) 攻撃が、一番の、何ちゃら、

 何や、攻める事が、守る事になる

 ちゅうような意味の…。

電・譲の父) あ~

 「攻撃は最大の防御」ですか?

電・糸子) それですわ! ハハハハハ。

電・譲の父) そうですか。

 それを、譲に聞きに?

電・糸子) はい。いや、ちゅうか…はい。

電・譲の父) まあまあ、せっかく先生から

 電話頂いたんやさかい、また帰ってきた

 ら、電話させますわ。

電・糸子) いやいや、もうそんな。

 わざわざよろしいで。はあ…ほな、

 一応、言うといて下さい。おおきに。

(電話を切る糸子)

糸子) (ため息)

(2つに折ったカードを握りしめる糸子)

 

**********

 

<夜>

(テレビを見ている糸子と里香)

(テレビを消す糸子)

糸子) ほれ、あんたももう早う寝え。

 明日も早いで。

里香) うん。

(電話を見つめる糸子)

里香) 電気消す?

糸子) うん。

(電話の呼び出し音)

糸子) つけて! 電気つけて!

里香) あ、はいはいはい。

電・糸子) もしもし?

電・譲) あ、糸子先生ですか?

 夜分遅なってすみませ~ん。

 「攻撃は最大の防御」、です、先生。

 何や親父が答えてしもたそうですけど。

 ハハハハ…。

 いや~せやけどうれしいわ~。

 先生が僕に電話くれるなんか

 そんなん初めてですやん。ねえ。

 ハハハハ…。先生? もしもし?

電・糸子) あんなあ、譲。

電・譲) はい。

電・糸子) うちな、やるわ。

電・譲) へ?

電・糸子) 自分のブランド、始めるわ。

 

**********

 

<通り>

譲) 糸子先生本気で動き出したぞ。

栄之助) 来た来た来た!

守) ついについに。

譲) 高山大丈夫か?

守) 大丈夫大丈夫!

 

**********

 

<小原家>

譲) 先生!? え!

栄之助) どないしはったんですか?

糸子) 骨折や。

栄之助) は?

譲) 何でまたそれ?

糸子) 階段から落ちてな。

3人) え~?

譲) ちょっと何で言うてくれんのですか?

糸子) 言うてどないなるもんでもないがな。

 ほれ! 今日はそんなんで来たんちゃう

 やろ。さっさと始めよ。

譲) ああ…せやせや。

栄之助) あれ出して。あるか? ある?

糸子) はよとにかく座り!

3人) ああ…はい。

糸子) そこちゃう! 椅子や。

3人) ああ…こっちこっち。

糸子) とりあえず、

 発表の日を決めたんや。7月20日。

譲) 半年後ですか?

糸子) うん。やると決めたら、

 ちんたらしたかてしゃあない。

 ガ~ッといこと思う。

譲) いやいやでも先生これ、

 この脚、ほんま大丈夫なんですか?

糸子) これは、ひとつきで治る。うちは、

 風邪でも、仕事してたら治るしな。心配

 いらん。娘らのブランド作りを手伝うた

 よって、うちも、なんぼかは要領は分か

 ってる。けど、そら、あんたの方がプロ

 やろうから、こっから先の、段取りやら、

 固めてもうてええか?

守) はい、分かりました。

 考えておきます。

譲) ブランド発表までの流れて、

 これ、大体どんな感じよ?

守) まあ、今回の場合だったら、まず、

 先生に会社を作ってもらうんだよ。

 法人と個人じゃ、社会的信用度が

 全然違うからさ。法人になれば、

 資金も借りやすくなるし。

 

**********

 

(通りを争いながら歩いてくる優子と直子)

 

**********

 

<小原家>

糸子) だんじりはな、その…重たいやろ。

 重たいもんが走り出したら、今度、止ま

 らんねやなあ、これが。そら、誰が何ち

 ゅうたかて止まらん。周りはまあ、余計

 な心配せんと、「はあ~」ちゅうて、見と

 いたらええ。

優子) プレタはな、

 ほんまに大変な商売なんやで。

 始めてしもたが最後、一秒たりとも

 息抜かれへん。気ぃ抜かれへん。

 ず~っと仕事に追いかけられ

 続けるんやで。

直子) うちらでさえなあ、

 こんなけヒイヒイ言うてんや。

 こんなん言うたら悪いけど、

 お母ちゃんのその体で、

 絶対、絶対耐えられる訳ないんや!

糸子) もう決めてしもた!

優子) はあ~?

直子) んも~…。

 引退してくれちゅうてんのに、何で

 またブランドなんか始めんねん?

糸子) まあ…

 心配かけるけどやな、堪忍な。

 うちは、やっぱし、こうゆうふうにしか

 生きられへん。そら、どんなけ大変

 な仕事か、うちかて、よう知ってる。

 せやさかい、もう始めてしもてから、

 まあ落ち着かんし、ヒヤヒヤもソワ

 ソワもしてるわ。けど…久しぶりに、

 何ちゅうかこう、おもろいんや。ほん

 ま、おもろい。夜、寝るんが惜しゅう

 て、朝、起きるんが、楽しみでな。

 こんなん、いつぶりやろか。

直子) はあ…。

優子) お母ちゃん。

糸子) うん?

優子) ほな、うちと一緒にやろ。

糸子) あ?

優子) 要はな、うちのブランドの中に、

 シルバー向けのラインを作ってな、

 そこの専属デザイナーとして、

 お母ちゃんを立てるんや。

 それやったら、うちの販売網でやれる。

 売り出しにそこまで苦労せんでええし、

 失敗のリスクかて少ない。

直子) ええやん。

優子) なあ。

直子) それええやん。

 そないし、お母ちゃん。

糸子) ふ~ん…いや、ええわ。

優子) 何で?

直子) 何でやねんな?

糸子) せやかてあんた、ほんな敵に

 塩送るようなまねしたあかんで。

優子) 敵?

糸子) うちかて、あんたらみたいな商売

 敵から、ほんな情け受けたない。この、

 今のうちのおもろさはな、自分の身銭

 切ってこそなんや。自分の体で、崖っ

 ぷち立たん事には、絶対ここまでおも

 ろないよってな。

直子) おもろなかってもええやん!

 72やで!?

糸子) いいや、うちはおもろないと嫌や!

 アイテテテテ…。おもろいん諦めて、

 生きてなんかおれるかいな!

 あんたらも、72なったら、分かるわ。

 ハハハ。フフフフフ。アイタタ…。

優子) 痛いんやろ?

 

**********

 

<2階>

(洗濯物を畳んでいる里香)

優子) 里香。

 いろいろ、おばあちゃんの手伝いし

 てくれてるんだって? ありがとね。

里香) 別に…。

 自分のおばあちゃんだし。

 お礼なんか、言われる筋合いないし。

優子) 親としては…

 複雑なところなんだけど。

 たまたま今、あんたがここにいてくれ

 たのは、ほんとに助かったわ。でも…

 高校は行かなきゃ駄目だからね。

 それだけは覚えてて。

 おばあちゃんだって、自分のために、

 あんたが高校戻らずにここにいるな

 んて、絶対望んでない。それは分か

 るでしょ? じゃあママ…とりあえず

 今日は、帰るから。おばあちゃんを、

 よろしくね。

(一点を見つめている里香)

 

**********

 

<翌朝>

(目覚まし時計を止め、もう一度寝る里香)

(電話の呼び出し音)

電・糸子) 起きや! 朝やで!

電・里香) 分かってるよ。

 

**********

 

<台所>

糸子) ほれ!

 味噌汁、煮上がってしもてるがな。

 気ぃ付けちゅうたやろ。味噌はな、

 煮上げたら風味が飛んでしまうんや。

里香) ああもううるさいな。

 ちょっと黙っててよ。

糸子) かき混ぜな!

里香) 分かってる。

 今やろうとしたじゃない。

糸子) ん?

 

**********

 

(食事をしながら朝ドラを見ている糸子)

テレビ) 「何かが始まりそうな

 そんなときめきがあった」。

里香) え~。

糸子) ここで終わりかいな。

 は~どないなるんやろな?

 

さあ、だんじりは走りだしました。

もう止まりません。

 

**********
 

だんじりは走り出した。糸子は止まらない。

年を取ったからこそやりたいことをしないと。

 

だんじりはな、その…重たいやろ。
重たいもんが走り出したら、今度、

止まらんねやなあ、これが。

そら、誰が何ちゅうたかて止まらん。

周りはまあ、余計な心配せんと、

「はあ~」ちゅうて、見といたらええ。

 

はあ~ちゅうて、見てるしかないんだよねw

 

 

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