フランケンシュタインの恋
第３話
120年の愛 泣いた怪物・・・
ﾗｼﾞｵ・天草） は～い！ 天草純平です！
こんな悩みをもらいました。静岡県
フランケンシュタインさん、120歳。
人間を殺すかもしれない怪物は、
人間に恋をしてはいけないのでし
ょうか？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ﾗｼﾞｵ・十勝） そんなもん
アカンに決まってるやろ！
ﾗｼﾞｵ・天草） そうですか？
ﾗｼﾞｵ・十勝） 大体ふざけてるやろ、コイツ。
ﾗｼﾞｵ・天草） 真剣な悩みだったらどうします？
ﾗｼﾞｵ・十勝） いや、真剣に悩んでる奴は、
人を殺しません。
ﾗｼﾞｵ・天草） そこまで、追い込まれてるとしたら
どうですか？ ちゃんと答えるとしたら
何ですか？ 自分を怪物だと思ってる
奴は、人間に恋をしてはいけないんで
すか？
ﾗｼﾞｵ・十勝） それ以前に人を殺すかもしれん
なんちゅう奴が生きるべきやないやろ！
ふざけんな！
ﾗｼﾞｵ・ﾘﾘｴ） ちょ…そう興奮しないでよ。
十勝さん、ね？
ﾗｼﾞｵ・天草） 人を殺したいなんて言ってないじゃ
ないですか。殺すかもしれないと怯えて
るんですよ。
ﾗｼﾞｵ・十勝） それ、ストーカーっちゅうことやろ？
ストーカーになるような奴の恋、正当化
する気ないな。甘ったれんなよ！
俺、そういう奴に言いたいわ！
人殺すかもしれんねやったら…
家から一歩も出るな！ 人と会うな！
その前にお前が死ね！
ﾗｼﾞｵ・ﾘﾘｴ） 十勝さん！ それは過激過ぎますよ。
ﾗｼﾞｵ・十勝） ええねん。これ俺のラジオや。
いやそれぐらい言わなわからへんねん、
そういう奴は。真剣に答えるとしたらこう
や。「まずお前が死ね」、以上！ 天草、
お前からも何か言うたれよ。
ﾗｼﾞｵ・天草） 俺は、怪物こそ、人間に恋をすべき
だと思います。人間の中にどんどん入っ
て、その中で生きて、どうしたら人を殺さ
ずに済むか、そのことを必死になって考
えるべきだと思う。
ﾗｼﾞｵ・十勝） お前そんなこと言うて
責任取れんのか？
ﾗｼﾞｵ・天草） 人を殺しちゃいけないってことは、誰
かをちゃ～んと好きになって、人を、心か
ら生かしたいと思う奴しか、分からない事
だと俺は思う。だから怪物はどんどん人
に会って、そういう人を見つけて、本当の
恋をするしかない。人を殺さずに済む恋
をするしかない！ いつか、そういう人に、
出会えるから。だから今は怪物かもしれ
ないけど、恐れないで、人間に恋をして
生きてほしい！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
継実） 私は、あなたをどう思えばいい
んですか？ 怪物ですか？
フランケンシュタインですか？
怪物） それはラジオネームです。
僕は、深志研です。ラジオは人間に
恋をしても、生きていいと言いました。
津軽さんは、どう言いますか？
継実） ごめんなさい。私には分かりません。
仕事に戻れますか？
みんな心配してます。
怪物） はい。
継実） 私も、大学に戻りますね。
怪物） はい。
継実） 頑張ってください。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（回想）
研太郎） 私はその菌を研究するために、人里
離れた森の奥に、ひそかな研究小屋を
建てる事にした。そして私は、永遠の命
を与えることになるかもしれない、その
菌の培養に成功したのだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（回想）
研太郎） 私はその菌を、死んだ彼の体に投じ
ることにした。菌は電気を流すとによっ
て力を増すだろう。しかし、人間の作り
得る電力では、人間の意識を蘇らせる
までには至らなかった。私は、その力
を神の手に委ねる他はなかった。そう
すれば、彼の体の細胞は、完全に蘇る。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
鶴丸） そうか。心もまた電気なのだ。
継実） 心？
鶴丸） 人間の感情は、体の中を、電気信号
によって伝達される。彼の体は、その
強さによって、菌を放つのかもしれない。
心の中で、何かが高まった時、菌を放
つのだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
稲庭） 研さん。何をそんなに悩んでるの？
怪物） 僕は…また人を殺してしまうかもしれ
ない。僕はさっき、あの人を殺そうとし
た。殺したい、と思った気がする。僕は
やっぱり、人間とは生きてはいけない
んです。
稲庭） 研さんは僕や室園さんを守ろうとして
くれただけだよ。そういう時には誰だっ
てそういうふうに思うことはあるよ。研
さんは人として当然なことを思ったんだ。
あの時、僕は研さんと同じことを思った。
怪物） 同じこと？
稲庭） そう。誰かと生きて、誰かを好きにな
ることは、誰かを嫌ったり憎むことでも
あるんだ。研さんは人間らしくなっただ
けのことだよ。
怪物） 人間らしく…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
継実） このキノコ、一体何なんでしょう？
怪物） 僕の体から、落ちたものです。
継実） 私はこのキノコを、気持ち悪いとか、
汚らわしいとか、恐ろしいとか、そう
いうものには、どうしても思えないん
です。私にはこのキノコが、とてもキ
レイなものに思えてならないんです。
ハッキリ言うと、好きなんです。この
キノコが。もし、このキノコがあなた
の心だとしたら…。あなたは、人間
に恋をしてもいいと思います。人間
と、一緒に生きてもいいと思います。
その心が、あなたにはあると思いま
す。だから、いろいろ、問題はあると
思いますが…。一緒に、生きてみま
せんか？ 私と一緒に、人間の世界
で生きていきましょう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「人間を殺すかもしれない怪物は、人間に恋をして
はいけないのでしょうか？」との質問に答える天草。
人を殺しちゃいけないってことは、
誰かをちゃ～んと好きになって、
人を、心から生かしたいと思う奴しか、
分からない事だと俺は思う。
だから怪物はどんどん人に会って、
そういう人を見つけて、
本当の恋をするしかない。
人を殺さずに済む恋をするしかない！
いつか、そういう人に、出会えるから。
だから今は怪物かもしれないけど、
恐れないで、人間に恋をして生きてほしい！
誰かを好きになって、その人の事が大切になって、
その人に生きていてほしいと思う事。命を大事に
思う事。それって、本当に大事な事だなあと思う。
目に見えない怪物を、育ててしまわないように…。
怪物のように、だんだんと天草が気になって来る。
だんだんと、クセになってくるｗ ♪天草に…訊け！
「あまくさソング」
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