映画 「空中庭園」 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

映画 「空中庭園」




「何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、

できるだけ全ての事を分かち合う」。それ

が、母親らしい事を何一つしてくれなかっ

たさと子への反発から、いつも笑顔で幸

せな家庭であり続けようとする絵里子の

決めた京橋家のルールだ。だが、絵里子

の意に反して、家族はそれぞれに秘密を
持っていた。夫の貴史は麻子とミーナと言

う2人の愛人の間を行き来し、娘の真奈は

不登校を続け、建築物に興味を持つ引き

こもりがちな息子の航は父の愛人と知らず

にミーナを家庭教師に迎えてしまう。そん

なある日、絵里子はさと子とミーナの合同

誕生パーティを開く。ところが、酔っ払った

ミーナのお陰で家族の秘密が次々に露呈、

絵里子の築き上げてきた家庭はもろくも崩
れ去った。しかし、自身の誕生日。さと子か

らのバースデイ・コールによってわだかまり

の解けた絵里子は、再生することが叶い、

プレゼントを抱え帰宅して来た家族を温か

く迎えるのであった。


**********

 

何事も包み隠さず、タブーを作らず、

できるだけ全てのことを分かち合う。

それが、私たち家族のきまり。

**********

麻子) あたし道徳って恥の概念のことだと
  思うのよ。禁煙のバスでタバコを吸わな
  いのはなんで? 若い子の素足にいきな
  りしゃぶりついたりしないのはなんで? 
  恥かしいからでしょ、そんな事したら。
貴史) 恥かしい。
麻子) だから最も始末が悪いのは、恥と
  いう概念がない人間。あんたのような
  チョロけたヤツよ。

**********

絵里子) バレないウソは
   ウソじゃないのよ。

**********

テヅカ) しょうがないよ。ママといっても
   所詮年を食った子供にすぎないん
   だから。人間なんて一皮むけば、
   みんなドクロさ。生まれてくる時は
   みんな泣きながら生まれてくるん
   だよね。血まみれでね。

**********

たった一つだけ、
私は家族に隠していることがある。

京橋家は、
私の完全なる計画のもとに
つくられたものであるということだ。

真奈は予想外にできちゃったわけではない。
基礎体温は、15の時からつけていた。
家庭をつくることのできる男子を探し、
男子の目に留まるよう、
おしゃれと美容に命を懸け、
同時に出産育児、家事一般だけを学んで、
高校の3年間を過ごした。

輪に加わらない私は、
クラスメートから、変なあだ名で呼ばれ、
ほぼ集団無視された。

不毛な…
絶望的に無意味な高校時代だった。
帰るところは家しかなく、
家に帰れば、母といるしかなかった。

高校を卒業後、勤めていた会社に、
バイトに来た、貴史と出会い、
1ヶ月観察して確信した。
貴史のバイトが最後の日、
飲みに誘ったら簡単についてきて、
そのまま「ホテル野猿」に
私を連れて行った。

そういう男なんだろうと思ったけど、
そんな事は私の計算に
あまり関係がなかった。
肝心なのは、子供ができたと告げた時、
渋々でも受け入れるか、逃げるか。

この団地に引っ越してきた時、私は、
光り輝く新しい未来にやって来たと思った。

あの大嫌いな家を反面教師にして、
私は、新しい家族をつくった。


**********

ミーナ) 秘密のない家族って、窓のない
    ラブホテルの部屋みたいですね。
絵里子) え? どういうこと?
ミーナ) あっ、別に変な意味じゃないんです。
    あの、ただの例えなんで、
    気にしないでください。


**********

(ミーナの心の声)
そっか、学芸会や。これは学芸会なんや。
だって、幼稚園の学芸会にそっくりやもん。
みんな分かってるのに、
幸せな家族の役を演じてる。学芸会や。


**********

さと子) 絵里子も引きこもり
  だったもんね。
真奈) ウソ?
絵里子) ウソです。
さと子) 昔はさ、引きこもりなんて便利な
  呼び名なかったからね。怠け者なのか
  病気なのかよく分かんなくてって。
絵里子) 引きこもってません。
さと子) ナヨ子ナヨ子って学校でいじめ
  られて、毎日泣いて帰ってきて。
絵里子) ねえ、お母さん。
さと子) なあに?
絵里子) もう死んじゃえば?
さと子) じゃあ、もう一杯ビール
   飲んじゃおっかなあ。

(電話の呼び出し音)
電・絵里子) はい。
電・幸子) あっ、ナヨちゃん?
電・絵里子) 違います。

(電話を切る絵里子)
(電話の呼び出し音)
貴史) 俺出ようか?
絵里子) なんで?
貴史) いや…なんでかな。
電・幸子) もしもし? 絵里子さん?
電・絵里子) だから何?
電・幸子) あのさあ、そば屋のロッカー
    にピアス忘れてきちゃってさ。
    ちょっと鍵貸してくんない? すぐ
    返すから。今からそっちに取りに
    行ってもいい?
電・絵里子) ねえねえ。あんたさあ。
電・幸子) 何?
電・絵里子) 死ねよ。

(電話を切る絵里子)
貴史) 誰?
絵里子) 脳みそ炭酸女。
さと子) 最近増えたね、そういう子。
貴史) 脳みそ炭酸女…。


**********

絵里子) ねえ、お母さん。
さと子) んん?
絵里子) 死ねば!


**********

さと子) 誕生日ってね、生き残った者の
  ためにあるのよ。もうみんな…いろん
  な人が先にいっちゃった。愛した人も、
  憎んだ人も。でも忘れちゃうんだよね。
  時間がたつと。それが一番切ないねえ。
  人が死ぬ時はさ…なんでもない、井戸
  の底で、埃かぶってたみたいな記憶が
  ね、無声映画みたいに静かに流れるん
  じゃないかなあって、最近思ってんの
  よ。絵里子が3歳か4歳ぐらいの時、観
  覧車乗りに行ったの覚えてる? あんた
  がアイスクリームが欲しいって泣いたん
  だけど、お金がなくって1個しか買えな
  くってさ。それなのにあんた、一口も私
  にくれないの。「ママにもちょうだい」
  って何べんも頼んでるのに、黙ってブ
  ッとして。頭にきたからひっぱたいちゃ
  った。その事をね、最近夢に見るのよ。
  でも見るたんびに少しずつ違ってるの。
  少しずつよくなってるの。自分の記憶
  を、夢ん中で書き換えてんのよ。いい方
  に。これ見ながら死ねるんだなあって思
  うと、ホッとするよ。なんだかしんない
  けど。ああ、子供はいいね。子供がいる
  と時間の流れがゆっくりでさ。生活がき
  ち~んとまわりだすから。必要なものは
  何でも手に入る。そしたらまたやり直せ
  る。やり直して、繰り返して。
絵里子) 私が学校行けなかったのは、
   あなたの責任よ。
さと子) やり直し、繰り返し。
絵里子) 母親はね、子供を愛して、肯定
   して、大切に育てて。いらない憎しみ
   や、悪意からちゃんと守ってあげて。
   正しいものや、キレイなものに目を
   向けさせて。
さと子) やり直し。
絵里子) 絶望だとか。
さと子) 繰り返し。
絵里子) 恐怖だとか、そういうものから…
   守ってあげるの。
さと子) やり直し、繰り返し。
絵里子) それが母親よ。そういう家をつく
   ってあげるのが母親なのよ! 
   ニコニコしたくてしてんじゃないの。
さと子) 繰り返し。
絵里子) このうちを守るために…。
   家族みんなが毎日、楽しく暮らせる
   ように。笑顔使って、祈ってるの!
さと子) やり直し、繰り返し。
絵里子) あなたなんか母親になるべき
   じゃなかったのよ。母親失格。
   今度生まれ変わってきたらさ、私が
   あなたの母親になってちゃんと育て
   てあげるから。だからもう死んで。
さと子) やり直して、繰り返して。
  やり直して、繰り返して。
  やり直し。繰り返し。


**********

真奈) パパ。ちゃんとママのこと
  愛してあげてる?
貴史) ん?
真奈) ママなんかヤバイかもよ。
  あぶなっかしいっていうか、なんか変。
  最近ひとりごと多いんだよね。
  ブツブツブツブツ。
  バカ、とか死ねとか、殺すとか。
  やっぱおかしいよ。
貴史) ああ、そう。
真奈) 愛が足りないと人は何をするか
  分かんないからね。ちゃんと愛して
  あげてよ。エロ本隠してないで。
貴史) あのな…お前らの出現は、全く
  予想外やったけど…大学辞めて、
  北海道自転車一周の夢諦めて、腹
  くくって結婚して。団地の部屋見つ
  けて、必死で仕事探して…。ちょっと
  でもええ仕事があったら、それに飛
  びついて。恥を忍んで親に金借りて。
  遊んでも、朝にはちゃーんと帰宅して。
  ママはもう5年間チューすらさせてく
  れへんけどな。でもな、そんなんして
  までも、あのしょーもない団地の家守
  るなんて地味なこと…愛がなかって
  できるかい! でしょ?
真奈) ふーん。


**********

電・絵里子) 私は…どこで仕込まれたの?
電・さと子) 仕込むって?
電・絵里子) 命を授けられた場所。
     出生決定現場。
電・さと子) バカ。そんなこと聞くもんじ
    ゃないよ。本当に大事なことはね、
    お墓の中まで持ってくもんだよ。
    分かった?
電・絵里子) うん。


**********

(回想)
航) それが思い込みだってこと。
 思い込んでると、
 本当のものが見えないって話。


**********

絵里子) アアー!
(雷鳴の音)
絵里子) アアー! アアー! アアー!
   アアー! アアー! アアー!
   アアー! アアー! アアー!


**********
 
何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、
できるだけ全ての事を分かち合う。
 
…なんて絶対無理! 気持ち悪いよ。
秘密はあったほうがいい。大した秘密
じゃなくても、自分だけの秘密は必要。
つまりは…「恥」という概念は必要だ。

やり直し。繰り返し。
やり直して、繰り返して。


思い込みも、幸福な思い込みならいい
んじゃないかと思った。よりよい方向に
修正できるなら、幸福になれるような、
記憶に修正してもいいんじゃないかと。
 
やり直せないと思い込むよりは、やり直
せると…懲りずにやり直せた方がいい。
人間って、家族ってメンドクサイと思うけ
ど、貴史の言葉に、共感してしまったよ。
 
あのしょーもない団地の家守るなんて
地味なこと…愛がなかってできるかい! 
 
地味で、パッとしなくてつまらなくても…
それも愛…きっと愛…なのかも…ねw
 
人はみな、泣きながら生まれてくる。
一人で、血まみれで、生まれてくる。
叫びながら絵里子は生まれ変わる。

家族が絵里子のもとへ帰ってきた時、
生まれたばかりの、新しい絵里子が
家族を迎える。「おかえり」と言う絵里
子に、「お誕生日おめでとう」と言う家
族の声が…聞こえたような気がした。
 

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