「てるてる家族」(再放送)第56回 | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「てるてる家族」 第56回

ある日、照子(浅野ゆう子)が病院で春男(岸谷
五朗)に「秋子(上野樹里)は成績はいいのだが、
自分のしたいことを見つけていないことが心配
だ」と言う。一方シャトーでは、客として現れた米
原(近藤芳正)という男が、店を手伝う秋子の顔
をモデルに絵を描(か)いていた。冬子(石原さ
とみ)と弘子(森口博子)は彼が描いた絵を見て
理解できず驚くが、秋子だけは、すばらしいと感
激する。

**********

夏子姉ちゃんの、
7月の舞台の千秋楽です。
その日の夏子姉ちゃんは、心なしか、
輝きに欠けていたように思います。
客席に、お母ちゃんのいない舞台は、
気の入り方も、やっぱり違っていたの
かもしれません。

そして、ここで千秋楽を迎えなければ
ならなかったお母ちゃんも、その日は
まるで、魂が抜けたようでした。

その年の夏休みは、
こうしていつもより、
だら~んとして始まったのでした。


**********

(トランプのババ抜きをしている春子と冬子)
春子) やめや! もういっこもおもろない。
冬子) ええ~? 何で?
春子) 冬ちゃん、あんた顔に出し過ぎやわ。
夏子) 春子姉ちゃん練習サボってるから、
    面白くないのと違う?
春子) 何言うてんの!?
    ちゃんと練習やってるわ。
夏子) 別にどうでもええけど。
冬子) 何か、こんなだらだらしてる春子姉
    ちゃんと夏子姉ちゃん見んの初めて
    やなあ。
秋子) まあ、たまにはええやんなあ。
春子・夏子) ええ! ええ!
春子) たまには、冬ちゃんすんのも悪ないな。
冬子) 何やの? その言い方。
夏子) 悪ない。私もいっぺん、 
    冬ちゃんになってみたかってん。
冬子) 何か、アホにされてるみたい。
    何か言うてえな、秋ちゃん!
秋子) 冬ちゃん。
冬子) うん。
秋子) マンボ教えてあげよか?
冬子) …え?
秋子) もう、ムシャクシャした時にはな、
    マンボに限る!

(♪「マンボNo.5」)
(曲に合わせて踊る秋子と冬子)
秋子) 楽しいやろ?
冬子) うん!


**********

照子) 秋子…あの子はちょっとおかしい。
春男) 秋子のどこがおかしいねん?
照子) 終業式の日にね、秋子一人でここに
    来てくれてんよ。私に通信簿見せに。
春男) 通信簿?
照子) うん。そやから…
    冬子に気ぃ遣て一人でね。
春男) なるほど…。けどそんな気ぃ
    遣われる冬子も不憫やなあ。
照子) うん…。
春男) また凄かったやろ? 秋子は…。
照子) 相変わらずよう勉強してる
    みたいやね、秋子は…。
春男) 来年高校受験やよってな、
    拍車かかってきてんねん。
照子) あんだけ勉強して
    どないするつもりなんやろか。
春男) うん。…はっ?
照子) いや、なんぼ勉強してもよ、自分が何
    やりたいのか分からへんのやったら、
    意味ないんと違う?
春男) あるで! 意味大いにあるで!
照子) そやろか?
春男) そうや!
照子) そやから私ね、秋子に聞いたんよ。
    「秋子、あんたは何がやりたいの?」。
    そしたら…。


(回想)
秋子) お母ちゃん。私は別に何もしたない。
照子) 「何も」って。
    何もせえへんかったら面白ないやん。
秋子) 何で?
照子) いや、何でて…。
秋子) 何もせんかて面白いて感じてる人も
    いてるんと違う?
照子) …どういう事?
秋子) 私は、別に何かになるために勉強して
    るんじゃなくて、勉強するのは中学生や
    からや。来年は受験やから。ただそれを
    忘れへんためや。
照子) あ…ごめん…。お母ちゃん、あんたの
    言うてる事、よう分からへんのやけど…。
秋子) 春子姉ちゃんや夏子姉ちゃんは、高校
    生やのにほかの事に一生懸命頑張って
    るやろ? 1つの事にずっと打ち込んでる。
    それは凄い事やと思う。けど、それは誰
    にでもできる事やないから、凄い事なん
    と違う?
照子) うん…。それはそやね。
秋子) そのかわり、本来、高校生が持ってる
    楽しい事は何も味おうてへん事になる
    やろ?
照子) まあ…そうなるわねえ。
秋子) そのうち学校出たらお嫁さんになる人、
    会社に行く人もいてる。それが普通や。
    ただ生きるために働く。私はそれでも
    ええ思てんねん。その中で、精一杯の
    生きる喜びを見つけていく事に私は挑
    戦したいねん。人よりも優れた能力を
    持ち、夢に向かって頑張ってるお姉ち
    ゃんたちにも負けへんぐらい…いや、
    それよりも、もっともっと激しい情熱を
    持ちながら、普通に生きてみたいねん。
    お母ちゃんが変な事聞くから、私も変
    な事しゃべってしもたわ。もう嫌やな!
    ハハハ…!
照子・秋子) ハハハ…!


照子) …て笑てんねんよ。どない思う?
春男) ええやんか。どこがおかしいねん?
照子) おかしない?
春男) ええやんか! やっと我が家にも
    普通の子が出てきたいう事や。
照子) いや!
    絶対、普通やあらへん、あの子は!


**********

そうなんです。
秋子姉ちゃんはそのころ、
普通やなかったんです。


(本屋に居る男性を観察している秋子)
松本) あっ、秋ちゃん。いらっしゃい。

(店を飛び出していく秋子)
松本) えっ? 秋ちゃん? 秋ちゃん!

**********

弘子) いらっしゃいませ!
秋子) いらっしゃいませ。
米原) あっ…君…。あっ、何だ。
    こちらのお嬢さんでしたか。
    隣の本屋さんでよくお会いしますよね。
    え…? 違う? そうだよね?
    ハハハ…。本、好きなんだね。
秋子) あっ…あの…ご注文は?
米原) アッハハ…。
    え~コーヒーとカレーライス。
秋子) はい。
    あ…コーヒーとカレーライス。
弘子) はい。宇治金時、あがったで。
秋子) はい。お待たせしました。
客) ありがとう。


**********

冬子) ♪「マンボNo.5」の鼻歌
ヨネ) 何やいな、あんた。そんな格好して!
    遊んでんねやったら、
    下行って店手伝い!
冬子) ええ~? もう…。
ヨネ) 春男はまだ病院から帰ってけえへんし、
    静子ちゃんはリンク店やろ。かわいそう
    に秋子が勉強しながら一人で手伝うて
    んねんで。なっ? あんたが気ぃ遣て代
    わってあげなどないすんの?
    早よ行き。ええな?
冬子) そやけど、私かて今勉強してんのに…。
ヨネ) それが勉強いう顔かいな!
冬子) 顔でするもんちゃうわ。頭でするもんや。
ヨネ) あんたはな、体使てる方が合うてますね。
    なっ? 早よ行き。なっ?
冬子) まあ、それもそやな。うん。


**********

冬子) 秋ちゃん。ここは私に任して、
    部屋で勉強してもええで。
秋子) えっ、ほんま?
冬子) うん。そのかわり、
    後で私の宿題手伝うてな。
秋子) 分かった。ほな頼んだで!
米原) あっ!
秋子) 何か?
米原) いや…。
冬子) あっ、ご注文ですか?
米原) いやいや、いやいや…。
秋子) それ何ですか?
米原) あ…今ね…君の顔を描かして
    もらってたんです。
秋子) 私の顔!?
米原) 勝手に申し訳ないんやけど…。
冬子) 絵、見せて下さい。
米原) いや、まだ描いてる途中で
    未完成だから。
冬子) いや構いません。
    それでも見たいよね? 秋ちゃん。
秋子) え…? うん…。
米原) ごめんね。そこで勉強してる君を見て
    たら、どうしても描きたくなってしまって
    ね。無断で描いてしまいました。
冬子) 絵、見せて下さい!
米原) いや…僕はいいけど…。
秋子) あ…私も…見たいです。
米原) そうですか。それなら…。
    制服は、僕の勝手なイメージで
    描いてますけど。
冬子) ひ…ひどい…。顔が壊れてる!
弘子) ちょっとお客さん!
    あんまりひどいやないですか!
    こんな事して!
米原) えっ…?
冬子) そうや! 失礼にも程があるわ!
米原) 僕は何にも…。
弘子) 傷つきやすい女の子にこんな事して!
    何が楽しいの!? 恥かしないの!?
    あんたは!
冬子) そうや! 秋子姉ちゃんに謝って!
    早よ謝って!
弘子) そやそや。
秋子) すばらしい絵や。
米原) え…?
冬子・弘子) えっ!?
秋子) すばらしい絵や! ピカソの絵みたい。
米原) そ…そ…そ…それほどのもんじゃ…。
    ハハハ…。でも僕が、ピカソと岡本太郎
    をこよなく愛してるのは確かです。
秋子) 面白い…。
    私、こんなふうに見えるんですか?
米原) そうですね…。もし、その絵に題を
    付けるとしたら、「受験生」かな。
    けどそこにあるのは、苦悩ではない。
    活力。出口を探してさまよっている、
    迷える魂の情熱です。
    それがみなぎってる。君は、そんな
    魅力的な受験生に見えたんです。
秋子) へえ~。
弘子) 何言うてんの? この人…。
秋子) この絵もろてもよろしですか?
米原) えっ? あ…。
秋子) いいですか?
米原) あ…ならちょっと貸して。
弘子) あ…あ…秋ちゃん。

(ノートを破って絵を秋子に渡す米原)
秋子) ありがとうございます!
米原) あなたたちにもいつか、
    芸術の分かる日がやって来ます。
    絶望したらいけません。お勘定お願い。
弘子) …はい。
冬子) フフフ…。


**********

(絵の裏に書いてある言葉を読む秋子)
秋子) 「芸術は、すべての人間の生まれなが
    らもっている情熱であり欲求である。固
    定観念を外しそれぞれの実力で、自由
    に判断すればよい。芸術は、自分自身
    の問題であり、生活自体だということが
    わかってくるはずである。岡本太郎」。
    すべての人間が生まれながらにもって
    いる情熱?


**********

春子) これがさっき言うてた秋ちゃんの顔?
冬子) そうや。
春子) えらい顔やなあ。
冬子) 面白いやんか。
    春子姉ちゃん、芸術分からへんの?
春子) どう見ても下手くそな絵やん、これ…。
夏子) 私こんな顔に描かれたら、
    一生鏡見られへん。
冬子) 秋ちゃんは、よう見てるで、あれから…。


**********

それから、数日後のことでした。

(秋子宛ての手紙を見る冬子)
冬子) 「親愛なる秋子さん。
    先日思いがけずあなたの…」。
    うそ…これ、ラブレター?


**********

(くしゃみをする秋子)

**********

(手紙を読む冬子)
冬子) うそ! 秋ちゃんが!?

**********

秋子はちょっとおかしい。そう思う照子は鋭い!
秋子はただものじゃないよ~。後に「のだめ」に
なるのだから~。「てるてる家族」での秋子を見
ていると、既に、「のだめ」の原型がそこに在っ
た事が分かる。だって全然普通じゃないものっ。

ただ生きるために働く。私はそれでも
ええ思てんねん。その中で、精一杯の
生きる喜びを見つけていく事に私は挑
戦したいねん。人よりも優れた能力を
持ち、夢に向かって頑張ってるお姉ち
ゃんたちにも負けへんぐらい…いや、
それよりも、もっともっと激しい情熱を
持ちながら、普通に生きてみたいねん。

まるで、プロの「普通人」を目指すみたいな?
人は自分とは違う者に憧れる。違うから、そう
なりたいと願う。弱いから、強くなりたいと思う
ように。普通だから、普通じゃないものに憧れ、
普通じゃないから…普通に憧れるみたいなw

こらこら、手紙を勝手に読んじゃダメ~と思い
つつ、冬子らしくて怒れない。冬子が読んで、
ラブレターだと思える内容とは? 気になる~。
秋子ってば、子供の頃も即席麺のおっさんと
仲よくなってたし…。おっさん…いや、おじ様
好きなのか? 普通じゃない秋子の恋バナ…。
どんな展開になるのか、久しぶりにワクワク。


「てるてる家族」関連ブログはこちらから↓
「てるてる家族」関連ブログリスト