第7回 女と男
離婚話を切り出した光雄(尾美としのり)から、友美
(心は薫・永作博美)と薫(心は友美・石田ゆり子)
と洋介(藤木直人)の関係を知らされた春子(佐藤
仁美)は、友美と薫を食事に誘いだし愚痴をこぼし
続ける。そこへ、何も知らない光雄が交際相手の
冬子(谷村美月)の誕生日を祝うために来店。さっ
そく、春子と冬子の言葉の応酬が始まり一触即発
の事態に。さらに、最悪のタイミングで光雄が仕掛
けたサプライズプレゼントが…。
(心は薫・永作博美)と薫(心は友美・石田ゆり子)
と洋介(藤木直人)の関係を知らされた春子(佐藤
仁美)は、友美と薫を食事に誘いだし愚痴をこぼし
続ける。そこへ、何も知らない光雄が交際相手の
冬子(谷村美月)の誕生日を祝うために来店。さっ
そく、春子と冬子の言葉の応酬が始まり一触即発
の事態に。さらに、最悪のタイミングで光雄が仕掛
けたサプライズプレゼントが…。
**********
(名前の表記は中身の役名です)
友美) 私たち、ずっとこのままなのかな?
薫) さあ?
友美) こんな風になって、それでもずっとどっか、
夢の中っていうか…現実味がなかったのよね。
でも、今回のことはさすがに…違った。
薫) 手術?
友美) うん。現実すぎた。それまでは、頑張ればい
つかきっと、元に戻るって、どっかで思ってた
んだけど…。
薫) けど?
友美) 戻れないんだよね、もう…。
薫) このまま…入れ替わったまま、
生きていくしかないんだとしたら…。
友美) うん。
薫) 友美が、健人君のママに、戻れないんだとした
ら…。私は、健人君と暮らす。母親として。あなた
は、洋介さんと暮らす。女として。私は母になり、
あなたは女に戻る。どうかな?
**********
薫) つらいとは、思うんだけど、
健人君には、会いたい時に会えばいいし。
友美) 私、ひどい母親かな?
薫) そんなことないよ。洋介さんに話してみよう。
私、きっと分かってくれると思うんだ。私たち2人
が、それで幸せなんだって言えば。それにあの
人、本気で私たち2人のこと好きでしょ。
友美) うん。
薫) うん。
**********
光雄) どれだけ金があるかと、
恋愛は関係ないだろ!
春子) はっ?
光雄) あれか? お前の友達の旦那みたいな
男ならいいのか? 星野さんみたいな。
春子) あの人はね、
あんたみたいな事はしないわよ。
光雄) 何だ、知らないのか? あっ?
親友じゃなかったのかよ。
春子) どういう意味よ?
光雄) 俺なんか問題じゃないくらい凄いんだぞ、
あの…
春子) はぁ?
光雄) いや、何でもない。
**********
春子) いいよ。あげる。私がこの男を選んだのは、
私よりさえなかったから。私よりね。だからこ
の人、私で舞い上がって幸せそうだったの。
分かる? 全然さえなくてモテなかったこの人
にとって、私は女神みたいなもんだったの。
光雄) やめろよ!
冬子) 聞きたいです。
春子) 私ね、自分に自信なんてないの。だから、私
をありがたがってくれるような男を選んだわけ。
好みでも何でもないけど。それがこの人を選ん
だ理由。だからそうじゃなくなっちゃったら、意
味ないんだ~。ホント詐欺みたいなもんだよ。
もっと若いうちにいなくなってくれれば、ほかに
探しようがあったんだけど。この年じゃきついし
ね~。私、ここにいる友達2人みたいに、美人
じゃないし。まあ…100%油断してたし、しょうが
ないとは思う。まさか、こんなのに惚れる女が
いるとは思わなかったから。だから、出ていき
たいって言った時、無理やり繋ぎ止めても仕方
ないし、幸せじゃないし。
だから、もういいや。どうぞご勝手に。
冬子) ありがとうございます。私も同じです。この人
なら、私を大切にしてくれると思いました。だっ
て、この人にはもう次はないと思うんです。
光雄) えっ?
冬子) そういう人でないと嫌なんです。私、幼い頃か
ら、事故で足を悪くして、ずっと俯いて生きてき
ました。男の人を好きになって、向こうも好いて
くれたとしても、いつもどこか不安で。で、それ
に耐えられなくて…。自分から逃げてしまって。
でも、この人なら、そんな引け目を感じなくてい
いと思いました。だって、私が働いてたお店で
…静岡の、コ―ヒー屋なんですけど。そこで、
私を見ていたこの人の目は、ホントに私のこと、
あがめてくれてたっていうか。分かったんです。
この人の夢なんだなって。だから選びました。
それで、最初に私、奥様を見にいきました。大
丈夫、負けないと思いました。仰ってたように、
油断全開でしたから。でも、転勤で、私とはお
別れだとこの人は言いました。冗談じゃないと
思いました。今までの時間を返せと思いました。
絶対許せないと思いました。失礼ですが、奥様
には、負けるのは、嫌だったんです。
春子) なるほどね。同じ事考えてたわけだ。
冬子) そうですね。
薫) なんか…すごい会話だったね。
友美) うん。春子、大丈夫?
春子) うん。私は全然! ただ、ちゃんとすることはし
て頂きます。子供たちもいるし。家庭を壊した
のはあなたたちなんだから。私も仕事は探しま
すけど。それは計画にはなかったことだから。
あなた言ったわよね、結婚した時に。私が将来
のために仕事を続けた方がいいんじゃないか
って言ったら、「あなたは、いいんだ大丈夫だか
ら」って。それはあなたに責任があると思う。
そうよね?
光雄) ああ…。
春子) 相当貧乏だと思うよ、この人ず~っと。
子供にはまだまだ教育費がかかるから。
それでもいいのよね? 冬子さん。
冬子) はい。
春子) あっという間におじいちゃんだけどね、
こんなの。しっかり介護してあげてね。
嫌になって返品されてもお断りだから。
冬子) 大丈夫です。
春子) お幸せに。
**********
(回想)
春子) 私は、カッコイイ人じゃない方がいいの。何か
ね、私なんかでもさ、その人から見たら、私でも、
天使みたいなさ、そういう人と結婚するんだ。
薫) 天使ね~。
春子) 子供は、う~ん…優しくて、お母さん思いの、
男の子かな。2人ぐらい欲しいの。
友美) そんな事考えてたんだ、春子。
春子) うん、まあね。でね、おじいちゃんおばあちゃ
んになるまで、一緒にいるの。それが私の夢
です。小さいかな? ダメ? ダメ?
友美) ダメじゃないよ。大丈夫叶うよ。
春子) まあ、小さいもんね、夢が。あっ…でもさ、結
婚前に、付き合うだけなら、いいよね。ねっ?
薫) 何言ってんだよ!
**********
友美) どうだった?
薫) 転移見つかった。2か所も。進行速いみたい。
もうステージ4だって。私…死ぬみたい。
**********
今回は、春子のターン。2番目扱いの春子にスポット
が当たって、ちゃんと彼女の存在意義を見せてくれ
たのがよかった。光雄を選んだ理由が、春子も冬子
も同じだったのがね、リアルだなあと。なかなか正直
に言わない理由というか、自分よりさえないから、自
分を大切にしてくれるから、あがめてくれるから…そ
ういう理由で相手を選ぶことは、男でも女でもあるだ
ろうなあって。さえないところに安心してしまうという
落とし穴が、近頃よく聞くような事件に発展するのか
もしれないと思ったりして。美男美女には警戒しても、
普通の、いやさえない人なら浮気しないとか、騙され
ないだろうと思ってしまう落とし穴。そんなさえない相
手でも、自分が選んだ時点で、「誰かに選ばれた人」
として、価値は上がってることに気が付かない。女優
と結婚した芸人さんが急にモテるように、すでに誰か
み認められているということは、他の人も目をつける
ってことなんだけどねw 身も蓋もない女たちの赤裸
々告白を聞かされる男のいたたまれない様子が、こ
れまた上手いんだなあ、尾美さんは。いや~あの状
況…穴がなくても掘って地球の裏側まで行きたいよ。
そして、何だかんだ言って優しい春子の息子たちに
涙。ホント、いい子たち。普通にね、ゲームにまぜて
くれるのがいい。そういう普通がね、ホッとするから。
薫と友美は元に戻りそうな予告映像でしたが…。ハ
ンカチを用意しておかないと大変な事になりそう…。
「さよなら私」関連ブログ↓
第1回~彼だけはやめて
第2回~認めたくない喜び
第3回~秘密
第4回~別れの予感
第5回~罪と罰
第6回~ママになりたい
第7回~女と男
第8回~誰のための命
第9回~幸せな家族
●「さよなら私」HP
(名前の表記は中身の役名です)
友美) 私たち、ずっとこのままなのかな?
薫) さあ?
友美) こんな風になって、それでもずっとどっか、
夢の中っていうか…現実味がなかったのよね。
でも、今回のことはさすがに…違った。
薫) 手術?
友美) うん。現実すぎた。それまでは、頑張ればい
つかきっと、元に戻るって、どっかで思ってた
んだけど…。
薫) けど?
友美) 戻れないんだよね、もう…。
薫) このまま…入れ替わったまま、
生きていくしかないんだとしたら…。
友美) うん。
薫) 友美が、健人君のママに、戻れないんだとした
ら…。私は、健人君と暮らす。母親として。あなた
は、洋介さんと暮らす。女として。私は母になり、
あなたは女に戻る。どうかな?
**********
薫) つらいとは、思うんだけど、
健人君には、会いたい時に会えばいいし。
友美) 私、ひどい母親かな?
薫) そんなことないよ。洋介さんに話してみよう。
私、きっと分かってくれると思うんだ。私たち2人
が、それで幸せなんだって言えば。それにあの
人、本気で私たち2人のこと好きでしょ。
友美) うん。
薫) うん。
**********
光雄) どれだけ金があるかと、
恋愛は関係ないだろ!
春子) はっ?
光雄) あれか? お前の友達の旦那みたいな
男ならいいのか? 星野さんみたいな。
春子) あの人はね、
あんたみたいな事はしないわよ。
光雄) 何だ、知らないのか? あっ?
親友じゃなかったのかよ。
春子) どういう意味よ?
光雄) 俺なんか問題じゃないくらい凄いんだぞ、
あの…
春子) はぁ?
光雄) いや、何でもない。
**********
春子) いいよ。あげる。私がこの男を選んだのは、
私よりさえなかったから。私よりね。だからこ
の人、私で舞い上がって幸せそうだったの。
分かる? 全然さえなくてモテなかったこの人
にとって、私は女神みたいなもんだったの。
光雄) やめろよ!
冬子) 聞きたいです。
春子) 私ね、自分に自信なんてないの。だから、私
をありがたがってくれるような男を選んだわけ。
好みでも何でもないけど。それがこの人を選ん
だ理由。だからそうじゃなくなっちゃったら、意
味ないんだ~。ホント詐欺みたいなもんだよ。
もっと若いうちにいなくなってくれれば、ほかに
探しようがあったんだけど。この年じゃきついし
ね~。私、ここにいる友達2人みたいに、美人
じゃないし。まあ…100%油断してたし、しょうが
ないとは思う。まさか、こんなのに惚れる女が
いるとは思わなかったから。だから、出ていき
たいって言った時、無理やり繋ぎ止めても仕方
ないし、幸せじゃないし。
だから、もういいや。どうぞご勝手に。
冬子) ありがとうございます。私も同じです。この人
なら、私を大切にしてくれると思いました。だっ
て、この人にはもう次はないと思うんです。
光雄) えっ?
冬子) そういう人でないと嫌なんです。私、幼い頃か
ら、事故で足を悪くして、ずっと俯いて生きてき
ました。男の人を好きになって、向こうも好いて
くれたとしても、いつもどこか不安で。で、それ
に耐えられなくて…。自分から逃げてしまって。
でも、この人なら、そんな引け目を感じなくてい
いと思いました。だって、私が働いてたお店で
…静岡の、コ―ヒー屋なんですけど。そこで、
私を見ていたこの人の目は、ホントに私のこと、
あがめてくれてたっていうか。分かったんです。
この人の夢なんだなって。だから選びました。
それで、最初に私、奥様を見にいきました。大
丈夫、負けないと思いました。仰ってたように、
油断全開でしたから。でも、転勤で、私とはお
別れだとこの人は言いました。冗談じゃないと
思いました。今までの時間を返せと思いました。
絶対許せないと思いました。失礼ですが、奥様
には、負けるのは、嫌だったんです。
春子) なるほどね。同じ事考えてたわけだ。
冬子) そうですね。
薫) なんか…すごい会話だったね。
友美) うん。春子、大丈夫?
春子) うん。私は全然! ただ、ちゃんとすることはし
て頂きます。子供たちもいるし。家庭を壊した
のはあなたたちなんだから。私も仕事は探しま
すけど。それは計画にはなかったことだから。
あなた言ったわよね、結婚した時に。私が将来
のために仕事を続けた方がいいんじゃないか
って言ったら、「あなたは、いいんだ大丈夫だか
ら」って。それはあなたに責任があると思う。
そうよね?
光雄) ああ…。
春子) 相当貧乏だと思うよ、この人ず~っと。
子供にはまだまだ教育費がかかるから。
それでもいいのよね? 冬子さん。
冬子) はい。
春子) あっという間におじいちゃんだけどね、
こんなの。しっかり介護してあげてね。
嫌になって返品されてもお断りだから。
冬子) 大丈夫です。
春子) お幸せに。
**********
(回想)
春子) 私は、カッコイイ人じゃない方がいいの。何か
ね、私なんかでもさ、その人から見たら、私でも、
天使みたいなさ、そういう人と結婚するんだ。
薫) 天使ね~。
春子) 子供は、う~ん…優しくて、お母さん思いの、
男の子かな。2人ぐらい欲しいの。
友美) そんな事考えてたんだ、春子。
春子) うん、まあね。でね、おじいちゃんおばあちゃ
んになるまで、一緒にいるの。それが私の夢
です。小さいかな? ダメ? ダメ?
友美) ダメじゃないよ。大丈夫叶うよ。
春子) まあ、小さいもんね、夢が。あっ…でもさ、結
婚前に、付き合うだけなら、いいよね。ねっ?
薫) 何言ってんだよ!
**********
友美) どうだった?
薫) 転移見つかった。2か所も。進行速いみたい。
もうステージ4だって。私…死ぬみたい。
**********
今回は、春子のターン。2番目扱いの春子にスポット
が当たって、ちゃんと彼女の存在意義を見せてくれ
たのがよかった。光雄を選んだ理由が、春子も冬子
も同じだったのがね、リアルだなあと。なかなか正直
に言わない理由というか、自分よりさえないから、自
分を大切にしてくれるから、あがめてくれるから…そ
ういう理由で相手を選ぶことは、男でも女でもあるだ
ろうなあって。さえないところに安心してしまうという
落とし穴が、近頃よく聞くような事件に発展するのか
もしれないと思ったりして。美男美女には警戒しても、
普通の、いやさえない人なら浮気しないとか、騙され
ないだろうと思ってしまう落とし穴。そんなさえない相
手でも、自分が選んだ時点で、「誰かに選ばれた人」
として、価値は上がってることに気が付かない。女優
と結婚した芸人さんが急にモテるように、すでに誰か
み認められているということは、他の人も目をつける
ってことなんだけどねw 身も蓋もない女たちの赤裸
々告白を聞かされる男のいたたまれない様子が、こ
れまた上手いんだなあ、尾美さんは。いや~あの状
況…穴がなくても掘って地球の裏側まで行きたいよ。
そして、何だかんだ言って優しい春子の息子たちに
涙。ホント、いい子たち。普通にね、ゲームにまぜて
くれるのがいい。そういう普通がね、ホッとするから。
薫と友美は元に戻りそうな予告映像でしたが…。ハ
ンカチを用意しておかないと大変な事になりそう…。
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