「花子とアン」第85回~銀ブラと「銀河の乙女」と野心家のはな | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「花子とアン」 第85回
第15週 「最高のクリスマス
銀ブラと「銀河の乙女」と野心家のはな


おかあに全てを打ち明けたはなは、
いつもの明るいはなに戻って、
東京へ帰ってきました。


1919年(大正8年)12月―

季節は巡り、年の瀬の事でございます。
おや? 朝市と武じゃありませんか。


女給) いらっしゃいませ。
武) 朝市。キョロキョロするじゃねえ。
  お上りさんだと思われてバカにされるら。
朝市) おらたち正真正銘のお上りさんじゃん。
武) しっ! 黙ってりゃあ分からんら。
  て~っ! 銀座のカフェーの女給って、美人ばっ
  かしだな。おらに笑顔を振りまいてるじゃん。
かよ) キャッ!
武) おねえさん、かわいいな~。
かよ) お客さん! ここはそういう店じゃねえから、
    やめてくれちゃ。
朝市) てっ! かよちゃん?
かよ) てっ。朝市!
朝市) 久しぶりじゃん!


朝市と武は、一体どうして
銀座のカフェーなんかにやって来たのでしょうか。


朝市) 久しぶり!
かよ) ビックリしたよう。


**********

かよ) お姉やん。
武) よう。はなたれ。
朝市) はな!
はな) てっ…朝市、どうしたでえ?
武) 朝市はおらのお供だ。おらはお父様のいいつけ
  で、ブドウ酒を東京で売るために来ただ。
朝市) 武が一人で東京行くの心細いって言うもんで。
    学校もちょうど冬休みだし。
武) いや~来てみたら、
  銀座なんて、どうって事ねえな!
はな) …で、いつまでいるでえ?
朝市) 上野に宿とったから、2~3日は。
武) この際だから、東京見物もしてえしな。
  とりあえず、銀ブラに連れてけし。
かよ) あの~…銀ブラの意味わかってます?
武) バカにするじゃねえ。銀座をブラブラするから、
  銀ブラに決まってるら。
かよ・はな) 違います。
武) てっ?
朝市) てっ。
はな) 銀座で、ブラジルコーヒーを飲むから、
    銀ブラと言うんです。


それが銀ブラの、
本来の意味だと言う説もあります。


朝市) すげえなあ。
    2人ともすっかり東京になじんでて。
武) ほ…ほれじゃあ、
  2人でおらたちを、案内しろし!
かよ) 悪いけど、
    私たちそんなに暇じゃないんです。

(ドアベル)
はな) 宇田川先生いらしたから。ほれじゃ。
    ごきげんよう。
かよ) いらっしゃいませ。
宇田川) コーヒー。
かよ) はい。
宇田川) あのお上りさんたち知り合い?
はな) 田舎の幼なじみです。
宇田川) へえ~。
はな) 宇田川先生。先日は「銀河の乙女」の原稿、
    ありがとうございました。 感動的な最終回で
    した。編集長たちも大喜びです。これで、「に
    じいろ」新春特別号もきっと、大評判ですね。
宇田川) 次の連載の依頼なら、
     当分忙しいから駄目よ。
はな) もちろん次もお願いしたいのですが、
    その前に、「銀河の乙女」を是非、
    単行本にしたいんです。
宇田川) 単行本?
はな) はい。
宇田川) 話聞こうじゃないの。
はな) ありがとうございます。


(回想)
朝市) 今度こそ忘れてやるってどういう意味でえ?
    はな…。話してくれちゃ。
はな) 朝市…。ごめん…。


朝市は、あれからず~っと、
はなの事が心配だったのです。


はな) 装丁も、凝ったものにしたいんです。
朝市) はな、元気んなってよかったな…。
かよ) 朝市。もしかして、
    お姉やんの事心配で様子見ぃ来ただけ?
朝市) うん。あっ、おじさんにも、はなが元気で仕事
    してるか見てきてくれちゃって言われて。
かよ) おらも少し前まで心配したけんど、お姉やん、
    今ではあのとおり、すごく仕事に燃えてるさ。
朝市) ほうか。ふんとによかったな。
武) 
(コーヒーを飲んで) 苦え!
   これが5銭もするだか!


**********

醍醐) 編集長。
梶原) ん?
醍醐) これ。

(英治からの喪中葉書)
醍醐) 奥様、お亡くなりになって、
    半年経つんですね。
梶原) ああ…。
醍醐) 村岡さん、
    まだ、お力落としていらっしゃいますか?
梶原) いや…もう忙しそうに働いてるよ。
醍醐) そうですか。

(ドアが開く音)
はな) 戻りました。
梶原) これは宇田川先生!
宇田川) 「銀河の乙女」、
     連載の中で一番評判いいんですってねえ。
梶原) それはもう。
宇田川) みみずの女王がね、
     さっそく単行本にしたいって言うの。
はな) 編集長、是非、やらせて下さい。
梶原) もちろん。
    私からも、お願いしようと思ってたんです。
宇田川) じゃあ早速取りかかってちょうだい。
梶原) はい。
はな) ありがとうございます!
須藤) やるね、安東君。
三田) (小声で) あいつに先越されるとは
    一生の不覚…。
梶原) 単行本の担当は…
    安東と、醍醐でよろしいですか?
宇田川) 女性編集者だけ?
     まあ使えない男の人よりはマシかしら。
はな・醍醐) よろしくお願いします!
宇田川) 私、
     挿絵を描いてもらう人はもう決めてるの。
梶原) 誰ですか?
宇田川) 「王子と乞食」の挿絵描いてる人。
三田) はい、これですね!
宇田川) そう。
     署名がないけど…何ていう絵描きさん?
はな) それは…えっと…。
醍醐) それを描いたのは、印刷会社の方で、
    本職の絵描きさんじゃないんです。
宇田川) 構わないわ。私創刊号からずっと
     気に入ってんの。この人に頼んで。
     何? その人じゃダメなの?
はな) あ…いえ! この絵、本当にいいですよね。
    「銀河の乙女」の物語に合わせて、
    もっと素敵な挿絵を描いて頂きましょう。
    早速、村岡印刷さんに頼んでみます。


**********

醍醐) 村岡さんと顔を合わせるの、久しぶりね。
はな) ええ。
醍醐) はなさんは、もう大丈夫?
はな) 醍醐さん。その節は、ご心配をおかけしまし
    た。でももう本当に大丈夫。今私の頭の中は、
    仕事の事でいっぱいなの。
醍醐) そうみたいね。翻訳も好評だし、その上宇田
    川先生の単行本の話まで進めちゃうなんて。
    意外にはなさんって野心家ね。
はな) 野心を持つという事は楽しい事だわ。一つの
    野心を実現したかと思うと、もっと、高いところ
    に別のものが輝いているんですもの。人生が
    とても張り合いのあるものになるわ。
醍醐) はなさん…。
はな) 今、私のパルピテーションは仕事なの。
醍醐) そうね。私も負けてられないわ。
はな) さあ、行きましょう。
醍醐) ええ。


仕事に燃えるのは結構ですが、
恋のパルピテーションは、
本当にすっかり消えてしまったのでしょうか?


**********

郁弥) 父さん…見合いするの?
平祐) バカ言うな。英治の見合いだよ。
    新しい縁談が次々に来てるんだ。
英治) 断ってください。
平祐) 英治。お前は3年間、病気の香澄さんによく
    尽くした。そろそろ新しい家庭を築いて、子供
    を作る事を考えろ。ほら。このお嬢さんなんか
    良妻賢母になりそうじゃないか。
    会ってみたらどうだ?
英治) 僕はいいです。郁弥、お前どうだ?
郁弥) 僕もいいよ。
    My better half は自分で探すから。
平祐) まったくうちの息子たちは…。

(ノック)
醍醐) ごきげんよう。聡文堂です。
はな) ごきげんよう。
郁弥) こんにちは。
平祐) いらっしゃい。
英治) どうも。ご無沙汰してます。
はな) こちらこそ、ご無沙汰しております。
醍醐) 突然押しかけてしまって申し訳ありません。
    今日は、お兄様に仕事のお願いがあって参り
    ました。
郁弥) あ…僕じゃなくて、兄に?
醍醐) ええ、そうなんです。お話中でしたか?
郁弥) 父が兄に見合いを勧めてるんですよ。
醍醐) まあ。
平祐) 君たちも早く
    結婚した方がいいんじゃないか?
醍醐) もちろん、いい出会いがあれば。私たち、仕事
    に理解のある素敵な男性がいらしたら、明日に
    でも結婚したいですわ。ねえはなさん?
はな) ええ。
平祐) そんなに都合のいい男がいるもんか。
郁弥) 父さん、今日はまだコーヒー飲んでないだろ?
    カフェーにでも行ってきたら?
平祐) ああ…そうするか。私は、消えるから、仕事の
    話を存分にして下さい。では、ごゆっくり。
英治) 失礼しました。どうぞ、お掛け下さい
はな) 失礼します。実はこの度、宇田川満代先生の、
    「銀河の乙女」の単行本を出す事になりまして。
    つきましては、村岡さんに挿絵をお願いしたい
    んです。
英治) え…挿絵を?
はな) はい。
醍醐) 宇田川先生は、「王子と乞食」の挿絵を大層
    気に入っていらして、ああいう絵をお望みなん
    です。
英治) はあ…しかし…。
はな) どうか、引き受けて下さい。お願いします。
醍醐) お願いします。
はな) あの…いかがでしょうか?

醍醐の心の声) はなさんの頼みですもの。
          きっと引き受けて下さるわ。
はなの心の声) 引き受けてくれるまで、
          今日は帰らねえぞ。
郁弥の心の声) 兄さん。この人に弱いからなあ…。
はなの心の声) きっと引き受けてくれるら…。

英治) お断りします。
はな) てっ…。


てっ!
そんなに甘くございませんでしたね。

ごきげんよう。さようなら。


**********

あっというまに半年が過ぎ、ようやく仕事がはなのパ
ルピテーションとなった模様。しかも、野心を持つ事
は楽しいというまでになっています。醍醐さんに意外
と野心家だったのねと言われてるけど…どう見ても
野心家には見えません。普通に仕事するようになっ
ただけのような…w 何はともあれ元気になってよか
ったよかった。元気なはなのほうがお話も面白くなり
そうです。武は相変わらずマイペースだし、その武
をみんなが見事にスルーする様子も相変わらずw
大口をたたくけど、中身は小物で小心者な武。嫌い
じゃありません。小憎たらしいけど、だんだんそれも
可愛く見えてくるというか。偉そうにしても童顔だしw

銀ブラは私も銀座をブラブラだと思っていたけれど、
銀座でブラジルコーヒーという説もあったとは! ブ
ラジルコーヒーっていうのは、よっぽど当時はオシ
ャレな飲み物と思われていたってことですね。夢の
水、サイダーの方がオシャレな気がするけれど。そ
したら、銀サイになっちゃうのか…。やっぱり銀座を
ブラブラするのが銀ブラっていう方がしっくりする。

はなの提案による「銀河の乙女」単行本化に乗り気
の宇田川先生は、「王子と乞食」の挿絵を気に入っ
て、これまた自分の作品の挿絵にと、野心を抱いて
いた様子。さすが宇田川先生。作家の勘なのか?
なぜかいつも、はなが大事にしてるものを欲しがる
という無意識にはなにイケズする宇田川満代の図。

今日の萌えははなとかよの×ポーズ。かわゆし!
今日のツボは、英治をめぐる3人の心の声。失恋し
た割に強気なはなと、今までの英治の様子から、
はなのお願いを聞いちゃうんだろうな~と思ってい
る、醍醐と郁弥の予想を裏切る、お断りのお言葉!
美輪ナレまでが、てっ!言ったのが、ツボりました。
まあ、何だかんだ言っても、はなのお願いを聞いち
ゃうんだろうけど、それじゃドラマにならないから~。
ガッツリと、こぴっと朝市と絡んでもらわないとね♪

【追記】
はなの台詞が唐突だなあと思っていたら…。「赤毛
のアン」のアンの台詞だったみたいですね。これを
入れたくて、はなを急に「野心家」に仕上げたのか!

原文(村岡花子訳)はこちら↓
ああ、野心をもつということは楽しいものだわ。
こんなにいろいろと野心があってうれしいわ。
限りがないみたいだけど、そこがいいんだわ。
一つの野心を実現したかと思うと、また別のが
もっと高いところに輝いているんだもの。
人生がとてもはりあいのあるものになるわ。



「花子とアン」関連ブログはこちらから↓
「花子とアン」関連ブログリスト

●「花子とアン」HP


ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪


にほんブログ村


連続テレビ小説 花子とアン Part1 (NHKドラマ・ガイド)/NHK出版
¥1,155
Amazon.co.jp
アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)/新潮社
¥788
Amazon.co.jp
『赤毛のアン』と花子: 翻訳者・村岡花子の物語 (ヒューマンノンフィクション)/学研教育出版
¥1,365
Amazon.co.jp
村岡花子と赤毛のアンの世界/河出書房新社
¥1,680
Amazon.co.jp
アンを抱きしめて―村岡花子物語/NHK出版
¥2,100
Amazon.co.jp
花子とアンへの道: 本が好き、仕事が好き、ひとが好き/新潮社
¥1,470
Amazon.co.jp
村岡花子: 「赤毛のアン」の翻訳家、女性にエールを送りつづけた評論家 (KAWADE夢ムック .../河出書房新社
¥1,260
Amazon.co.jp