第７話
私のママでいい？
ピア美） こんなことして、後で悲しくなるだけじゃない
かな？ いつかバレちゃうんだし…。
ポスト） そんなこと、ボンビだってわかってるよ。
それでも一日でも長く、ジョリピのそばにいた
いんだろ。
ピア美） 期間限定か…、何か切ないね。
ポスト） ああ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
叶） わざと、言わなかったと？
魔王） わざとじゃない。あえてだ。
その違いがわかるか？
叶） 自尊感情が欠落している…？ 親に愛されなか
った子供の中には、自分が大切な存在だと、思い
にくくなってしまうことも。
魔王） シーソーだ。他人を悪く思わせ、自己の評価
を上げようとする。実際、そこまで落ちてしまう
のは、本人だという事に気づいていない。
世の中にはそんな腐った大人が溢れてる。
叶） あの子が、コガモに来た時からですか？
魔王） わからん。
叶） 専門家にカウンセリングを。
魔王） 闇だ。…心の。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
美鈴） もう…手放したくないんです。
川島） 私達が、あの子に会えなくなると…辛い。
美鈴） もし、心にまだ傷が残っているんなら、それは
私達が治します。両手に抱えきれないほどの
包帯は、用意してるつもりです。…水沢さん？
叶） すみません…。何でもないです。
川島） 私達何か偉そうなことでも…。
叶） そういうことじゃないんです。私も…あなたたち
みたいな方に、巡り合いたかったです。
もっと…あの子くらい、小さな少女の時に。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
魔王） 残された奴はどうする？養親は？里親は？
叶） 役所の所定の手続きに。
魔王） それじゃダメだ！ 子供達が自分で選ぶ。それ
ができないじゃないか！ お前、言ったよな？
ができないじゃないか！ お前、言ったよな？
子供達の居場所は、子供達自身の手で、見つ
けさせるんだって。小さい頃、優しい里親に引
き取られたかった。お前、俺と最初に会った時
そう言ったよな？だから俺は…！ 残された子
供はどうすんだって聞いてんだよ！ この家を
見ろ！ まだまだいるぞ。これからだって。
けさせるんだって。小さい頃、優しい里親に引
き取られたかった。お前、俺と最初に会った時
そう言ったよな？だから俺は…！ 残された子
供はどうすんだって聞いてんだよ！ この家を
見ろ！ まだまだいるぞ。これからだって。
叶） 私なりに精一杯やって来ました。
魔王） ふざけるな！ 片手間に優しくするだけなら、誰にだってできる。ずっとそばに置けるわけじ
ゃない。だから時には突き放し、強い心を持た
せて、送り出さないといけない！ 所詮お前も
そういう人間か。本音は、自分さえよければい
い。この、クソ偽善者が！
叶） おかしいわ。
さっきの、川島さんの家で…私は…。
私…子供達の間でこう呼ばれてるんでしょ？
アイスドールって。
氷の人形が、こんな涙なんか…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ボンビ） 聞いた？
ポスト） ハンとリュウからな。ぶっ飛ばしてやろうかと
思ったけど、オツボネに止められた。
ボンビ） あの２人は悪くないよ。
悪いのは、嘘をついた私。
ポスト） ボンビはいつもそう言うね。悪いのは私。
ボンビ） だって、実際そうだもん。
ポスト） かもしれないけど、時々は、誰かのせいにし
ちゃってもいいんじゃない？
甘えるっていうかさ。
ボンビ） ポストもしないじゃない。
ポスト） えっ？
ボンビ） ポストも、誰かのせいにしないでしょ？
甘えたりも。
ポスト） 私は可愛げがないあまのじゃくなだけ。
ボンビみたいないい子じゃない。
ボンビ） そうかなぁ？
ポスト） そうさ。
ボンビ） あのね、ポスト。私、嘘がバレて、パニックに
なって、今までぼんやりしてて、まだ泣いてな
かったの。
ポスト） そっか…。
ボンビ） 悪いけど、ちょっと、泣いてもいいかな？
ポスト） ああ。もちろんさ。
ボンビ） これが、最後にするから。
一緒に付き合ってくれる？
ポスト） よし！ 世界中に聞かせてやるか。
ボンビ） せ～の…ジョリピ～！！
ポスト） ジョリピ～！！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
魔王） 芝居はよせ。
ドンキ） えっ？
魔王） 友達思いの芝居はよせと言った。こいつらに、
東條家とあいつの話を告げ口したのは、お前だ
そうだな。
ドンキ） 私は…。
魔王） なぜだ？ なぜ、そんなことをする？
同じ部屋で、あいつの気持ちは痛いほどわか
っていたはずだ。
ドンキ） どうせすぐバレちゃうじゃないですか。
ピア美） ドンキ…？
ドンキ） ボンビは嘘をついてたわけだし。毎日毎日、
どんどんどんどん嘘を重ねていくだけじゃな
いですか。それって本人は辛いだろうし。ジョ
リピだって…東條のご夫妻だって。時間が経
つほどショックを受けるじゃないですか。そう
いうこと考えたら、ボンビのしてることだって、
やっぱり自分勝手じゃないですか。
魔王） 嘘だ。お前は嘘をついてる。自分のまわりで、
誰かが幸せになるのが嫌なんだ。妬ましいん
だ。自分より不幸な子を見て、安心したいと思
ってる。
ドンキ） 違う…嘘じゃない…
魔王） だがなぜだ？
お前は川島夫妻に可愛がられてる。
うまくいってる。なのになぜだ？
ドンキ） 私…嘘なんてついてない！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
香織） どうして、警察をやめたの？
仕事が生きがいだったじゃない。
魔王） それ以上に、お前が大切だと気づいたからだ。
それは…ずっと前から、気づいていた。そうよ
ね。お腹の子より、私を優先したんだもの。
叶） どういう？
香織） 当時、この人の子供を、妊娠した時、お医者
様に、私の体は出産には耐えられないって言
われたの。私はこの人に頼んだ。赤ちゃんの
命を諦めることなんて出来ない。どちらかを選
ばなきゃならないなら、迷わず、この子の命を
助けてほしいって。その２日後、ひどい出血を
して、意識が遠のいて、次に、目が覚めた時、
赤ちゃんはいなかった。どこにも…
魔王） やめろ！！ ここで、そんな話はするな。
香織） そうね。不思議。こんな話、今まで誰にもでき
なかった。話せるようになったのは、ここの子
供たちのおかげ。それでやっと少し楽になった
の。この施設を始めたのは、贖罪のため？
魔王） 108人…。
俺の煩悩の数だけ、親を求める子供に、新しい
親を見つける。それが俺の、贖罪だ。
ボンビ） 煩悩？
魔王） そうして、その時、
もう一度、お前の前に姿を現して…。
香織） 自己満足ね。そんなことしたって、
私たちの赤ちゃんは戻らない！
魔王） だが、他に…。
叶） 待ってください。自己満足で、これほどのことは
できません。始まりはどんな形でもいい。これほど
多くの子供を、新しい家族のもとに送り出し、自分
だけの場所を作ってあげる。そんなことをする人は、
他にいません。
香織） そんな子供思いの人が、じゃあ、どうしてこの
子を傷つけたの？
女の子の顔にこんな傷をつけて。
ドンキ） 私、嘘なんか、ついてません。
ポスト） どういうこと？
香織） あなたに子供を預かる資格があるとは思えな
い。何も変わっていない。何も…。
魔王） ま…待ってくれ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
瞳） おかえりなさい、愛。
ポスト） ただいま。ママ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
魔王に自尊感情が欠落していると言われたドンキ。
自尊感情とは、「自己に対するに対する評価感情
で、自分自身を基本的に価値あるものとする感覚」。
もっとわかりやすく言えば、「自分自身を好きだとい
う気持ち、自分を大切に思える気持ち」のこと。
シーソーだ。他人を悪く思わせ、自己の評価を
上げようとする。実際、そこまで落ちてしまうの
は、本人だという事に気づいていない。世の中
にはそんな腐った大人が溢れてる。
うんうん。いるね。常に誰かの足を引っ張ろうとする
人、自分のために相手を陥れようとする人。自分よ
り幸せそうな人（そんな風に見える）が許せない人。
ドンキの心の闇は、里親候補の２人が救ってあげら
れるのか、次なるターゲットになりそうなポストの愛
で救われるのか。愛し愛される、それを最初に知る
はずの親子関係で、得られなかった子供達の心の
闇は、想像もつかないほど、暗くて深い場合もある。
難しいのは、愛を与えられない親もまた、愛を知る
ことができなかった子供であったことが多いこと…。
人間は愛情なしでは生きづらい生き物なんだなぁ。
子供より母体を優先させた魔王を責め続ける香織。
気持ちはわかるけど、それもまた、エゴなんじゃな
いのかなあと思ってしまうのは、別のドラマで、同じ
ように子供を失って嘆く女性にもまた、母親がいて、
母親にとっては、その女性は、生きていてほしいと
願う子供の立場でもあった、という場面を観たから。
命の優先順位は難しい…ので、その辺は抜きにし
ても、愛する人に生きていてほしいと願う気持ちは、
同じなのに…と、魔王が気の毒に思えたのでした。
答えは簡単に出せないけれど、ドラマの中の、いろ
んな親や子供の立場を知ることで、苦しむ人の、何
か、気づきのヒントになることがあればいいなあ…。
上げようとする。実際、そこまで落ちてしまうの
は、本人だという事に気づいていない。世の中
にはそんな腐った大人が溢れてる。
うんうん。いるね。常に誰かの足を引っ張ろうとする
人、自分のために相手を陥れようとする人。自分よ
り幸せそうな人（そんな風に見える）が許せない人。
ドンキの心の闇は、里親候補の２人が救ってあげら
れるのか、次なるターゲットになりそうなポストの愛
で救われるのか。愛し愛される、それを最初に知る
はずの親子関係で、得られなかった子供達の心の
闇は、想像もつかないほど、暗くて深い場合もある。
難しいのは、愛を与えられない親もまた、愛を知る
ことができなかった子供であったことが多いこと…。
人間は愛情なしでは生きづらい生き物なんだなぁ。
子供より母体を優先させた魔王を責め続ける香織。
気持ちはわかるけど、それもまた、エゴなんじゃな
いのかなあと思ってしまうのは、別のドラマで、同じ
ように子供を失って嘆く女性にもまた、母親がいて、
母親にとっては、その女性は、生きていてほしいと
願う子供の立場でもあった、という場面を観たから。
命の優先順位は難しい…ので、その辺は抜きにし
ても、愛する人に生きていてほしいと願う気持ちは、
同じなのに…と、魔王が気の毒に思えたのでした。
答えは簡単に出せないけれど、ドラマの中の、いろ
んな親や子供の立場を知ることで、苦しむ人の、何
か、気づきのヒントになることがあればいいなあ…。
「明日、ママがいない」関連ブログ↓
第１話～愛を失った少女。捨てられたんじゃない私が親を捨てたんだ
第２話～９歳の母性本能。いたいけな少年を救え
第３話～ウサギの赤い涙。親のいる子も寂しい？
第５話～超絶美少女のピアノ パパはここにいる・・・
第６話～物言わぬ青年へ。愛と魂の大演説を聞け
第７話～私のママでいい？
第８話～少女が旅立つ時。子供たちの流す涙の訳
第９話～私の名前を呼んで・・・最後までありがとう
●「明日、ママがいない」ＨＰ
ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪
にほんブログ村
明日、ママがいない オリジナルサウンドトラック/バップ
- ￥2,500
- Amazon.co.jp