「あまちゃん」第43回～琥珀にアリ、 勉さんと怪しい弟子

「あまちゃん」 第43回（完全版）

第８週 「おら、ドキドキがとまんねぇ」

琥珀にアリ、勉さんと怪しい弟子
 

＜天野家＞

（カメラの前に羽織袴姿の忠兵衛）
カメラマン）　硬えな…。

　もっとほら、リラックスして。
忠兵衛）　バカこの！ 

　最後かもしんねえんだから、

　気合い入れて撮れ！
カメラマン）　はい、チーズ！
（シャッター音）
 

おとうさんが、マグロ船に

乗り込む日がやってきました。

アキ）　せっかくだから、

　家族写真も撮るべ。
大吉）　よし、

　春ちゃんば起こしてこい。
アキ）　うん。
忠兵衛）　着替えてくるべ。
アキ）　うん。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

大吉さんが、八戸の港まで

車を出してくれる事になり、
見送りに、町の人達が大勢、
集まる予定でしたが…。

忠兵衛）　しかし少ねえなあ…。
長内）　しゃあねえべ。昨日送別会で

　遅くまで飲んだんだから。
花巻）　昨日っつうか、数時間前な。
正宗）　お義父さん！ 

　これ約束のフリースです。

　リバーシブルです。
忠兵衛）　おおリバプールな、ありがとよ。
春子）　あ～おはよう。

忠兵衛）　おお。

春子）　あっ、夏さんは？
かつ枝）　それが出てこねえんだ。
春子）　子供じゃあるまいし…。
（ノック）
アキ）　ばっぱ、撮るよ！

（作業小屋に籠もっている夏）

忠兵衛）　夏ちゃん、出てきて、

　一緒に写真撮るべ。

（背を向け作業をしている夏）

忠兵衛）　分がった！ 

　毎年、言ってる事だけどもよ！
　おらの事は死んだと思ってけろ。
　大吉、行くべ。

大吉）　写真は？

忠兵衛）　夏ちゃん抜きで撮っても

　しゃあねえべ。天野家の家長は、

　夏ちゃんだ。じゃあ行ぐわ。

アキ）　死ぬなよ、じいちゃん。

（手首に巻いたミサンガを見せ合う２人）

忠兵衛）　おう。

（引き戸が開く音）

アキ）　夏ばっば…。

夏）　さっさと撮れ。忙しいんだ。
春子）　お父さんも荷物置いて。

（カメラの前に並ぶ忠兵衛、夏、春子、アキ）
アキ）　パパも早くおいでよ。
正宗）　えっ、いいの？
かつ枝）　何遠慮してんの。
　いつもは、全然平気なくせにさ。
正宗）　すいません。
カメラマン）　はい、笑って。
（シャッター音）



（回想）
春子）　♪「置いていくのね　

　さよならも言わずに
　再び会うための　約束もしないで
　北へいくのね　ここも北なのに
　寒さこらえて　波止場で待つわ
　潮騒のメモリー　私はギター
　Ａマイナーの　アルペジオ　優しく
　来てよ　その火を　飛び越えて
　夜空に書いた　アイム　ソーリー
　来てよ　その川　乗り越えて
　三途の川のマーメイド　

　友達少ない マーメイド マーメイド　

　好きよ　嫌いよ」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

＜12月＞
（板の間にクリスマスツリーを飾るアキと夏）
夏）　アキ、これもだ。
アキ）　あ～かわいい！ ガサガサだ。
夏）　お～！
アキ）　出来た～！

慌ただしく、
2008年が終わろうとしています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

＜駅舎＞

（ユイがクリスマスツリーの影から

 入り口を見ている）

（種市が来る）

ユイ）　待ちなさいよ！
種市）　…びっくりした。何してんだ？
ユイ）　こっちのセリフです。何して

　たんですか？ こんな時間まで。
種市）　いや…友達とゲーセン。
ユイ）　ふん。いいご身分ですこと。
種市）　天野だったら、まだ学校だ。

　居残りテストで…。
ユイ）　種市先輩に話があるんです。

種市）　ずぶんに？



ユイ）　そうずぶんに。

　アキちゃんの事どう思ってるんですか？

種市）　…天野？　



種市）　まあ、頑張ってんなあって思う。

ユイ）　出たよ…。

種市）　え？

ユイ）　「頑張る」って言葉

　大っ嫌いなんです私。

種市）　何で？

ユイ）　頑張るって事は、つまり報われて

　ないって意味でしょ？ 頑張ってるアキ

　ちゃんを見て、先輩は「頑張ってるな」

　って思うだけ？ そんなの全然報われ

　ない！ 頑張ってるからどうなの？ 

　好きなの？ 嫌いなの？ どっち！？

種市）　いやおめえに関係ねえべな。

ユイ）　…あります！ 

　だってうちらＪＪガールズだもん。

　アキちゃんと私は一蓮（いちれん）

　たくおなんです。どこ見てんの！？

ヒロシ）　一連托生（たくしょう）だべ。

アキ）　出たよ、立ち聞き！？

ヒロシ）　ごゆっくり。

（リアスへ入るヒロシ）

ユイ）　アキちゃんは先輩の事好きなん

　です。それなのに、気づかないふりし

　て「頑張ってるなあ」なんて、そんなの

　残酷だと思う。失礼します。

（ついていく種市）

ユイ）　何ですか！？
種市）　ずぶんも電車。
ユイ）　やだ。次のに乗って下さい。
種市）　いや、最終だべ。
ユイ）　どうぞ。
種市）　あっ、いや…。
ユイ）　いや…えっ、んっ！

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

＜高校＞

（アキが教室でテストを受けている）
磯野）　はい終了～！ 鉛筆置け～。
　どんだ天野、自信あっか？
アキ）　え～っと…頑張りました！
磯野）　お～どれどれ…。え～

　はい駄目。駄目。駄目駄目。

　駄目駄目。駄目。駄目。

　駄目だ…だ…だ～…３点！
アキ）　じぇ…。じぇじぇじぇ～。
磯野）　でも、頑張ってるおめえが

　大好きだ。でも３点だ。お疲れ。

　はい次いっちゃん。いっちゃん、

　はいいきま～す。はい正解！ 

　あ～すごいね！

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

＜スナック梨明日＞
アキ）　あ～もう、

　また終電乗れなかった。
春子）　お帰り～。
ヒロシ）　いつだっけ？ 資格試験。
アキ）　１月です。
水口）　資格試験？
春子）　潜水士の、資格を取るんです。
　…っていうかさ、誰よ？
美寿々）　あっ、水口君初めて？
春子）　うん。
美寿々）　勉さんのお弟子さん。
春子）　怪しい…。

　だって、勉さんの弟子でしょ？
　ありえない。バカじゃあるまいし。
ヒロシ）　バカは言い過ぎですよ。
春子）　だって勉さんから

　学ぶ事なんてある？
菅原）　いや、あるでしょ。
春子）　何？
菅原）　何かは今すぐスッとは

　出ないですけど。
吉田）　少なくとも反面教師にはなるべ。
勉）　ほら、名刺、名刺。
水口）　ああ…。水口琢磨です。
春子）　ああ、すいません。
（名刺を受け取り、ニヤニヤする春子）
春子）　…ミズタク。
（笑い声）
大吉）　水炊きみてえだな！ ミズタク！
（笑い声）
水口）　そんなに面白いですか？
吉田）　そんなに面白くねえよ。
菅原）　分析しないでよ。

　ここ、スナックだもの。
美寿々）　ねえねえ、ミズタクは、独身？
水口）　あっはい。
美寿々）　彼女は？ 

　クリスマスの予定は？
春子）　美寿々さん、

　あんまりがっついちゃ駄目。
美寿々）　がっつかないと

　飢え死にしちゃうわよ。
水口）　ごめんなさい。
　僕、年上じゃないと駄目なんです。
一同）　お～！
美寿々）　年下に見える？
アキ）　もううるせえ！
　大の大人が何やってんだ！ 騒いで。
菅原）　いや大目に見でよ。
　だってここスナックだもの。
吉田）　スナックで受験勉強してる

　方がどうかしてっぺ？

水口）　ねえねえ。アキちゃんはさ、
　資格を取って将来どうなりたいの？

アキ）　わがんねえ。

水口）　わがんねえ？

アキ）　年中海さ潜りでえがら、

　資格取るだけだ。

水口）　でも君、ネットですごい人気

　だよね。テレビも出たんでしょ？ 

　すごいよね。普通にかわいいし。

美寿々）　この野郎、

　年下は駄目だって言ったくせに。

水口）　でもさ、まだ17才だろ？ まだまだ

　知らない世界がある訳じゃんか。君自身、

　無限の可能性を秘めてる訳じゃんか。

アキ）　何だこいづ。

水口）　…こいづ？

アキ）　言ってる事さっぱりわがんね。

菅原）　さてはマルチ商法の勧誘か？

水口）　いやいや、そういうんじゃなくて。

ヒロシ）　そのへんにしときましょうか！
水口）　え？

ヒロシ）　彼女のマネージャーです。

水口）　マネージャー。

ヒロシ）　観光協会のウエブ担当で、

　足立と申します。彼女や、足立ユイ

　に関する問い合わせの窓口は、

　僕ですんで。

菅原）　親から預かった大事な娘さん

　だからな。ガードせねばな。

水口）　いや～僕はただ、普通に可愛

　いのにもったいないなあと思って…。

春子）　ちょっと、「普通に可愛い」って何よ？ 

　「普通に可愛い」って言われて喜ぶ親が

　いると思う？ 親はね、異常に可愛いと

　思ってんのよ。

勉）　水口君、手が止まってる。

水口）　ああ、すいません。

大吉）　さすが師匠。

勉）　ちゃんと五感を研ぎ澄まし、琥珀から

　いにしえの地球の変遷を感じ、8500万年

　の歴史をかみしめながら磨くんだ。酒飲

　んでくっちゃべりながら磨くもんじゃねえよ。

菅原）　酒飲んでくっちゃべるとこだよ。
　ここスナックだもの。

（笑い声）

水口）　すいません…。



（磨いていた琥珀を手に立ち上がる水口）
（琥珀をゴミ箱に捨てる水口）
吉田）　え？ 何で捨てた？

水口）　虫が入ってたんで。

勉）　じぇ～！

美寿々）　何何！？ どうした！？ 勉さん！

（ゴミ箱をあさる勉さん）

菅原）　何？ 琥珀に虫が入ってたのか？

水口）　ええ、アリみたいなのが。

　だから捨てました。

菅原）　アリ入ってるのは琥珀、
　高く値がつくって聞いた事あるな。

水口）　え？
 

そもそも琥珀とは、簡単に言うと、

樹液が長い年月をかけて固まって

できた結晶です。つまり、琥珀の

中に入っている虫は、8500万年前

の虫ということになり、要するに、

とても貴重なのです。



勉）　あった～！ 

（ポケットからルーペを出し、 

 琥珀の中のアリを確認する勉さん）

勉）　おめえ、すげえな！

春子）　…っていうかさ、

　勉さん初めて見たの？

勉）　はい！ すんげえ！ 

　アリだよアリ！ ほら！ 

　40年やってて、初めて見たよ！

　はあ～。
吉田）　やめちまえ。
春子）　ちょっと見して、それ。

　何何？ アリって。
勉）　あっ、あ～！
（琥珀にライトを当てる勉さん）
勉）　すっげえ！
春子）　すげえんだ。

（クラクション）
アキ）　あっ、タクシー来た。
正宗）　こんばんは～。
アキ）　遅いよパパ。
正宗）　ごめんごめん。

　また道間違えちゃったよ。
水口）　あの子のパパ？
美寿々）　春子さんの、

　別れた旦那さんだ。
 

そうなんです。
私の夫、忠兵衛さんは、
マグロ船でインド沖に出てった

というのに、正宗さんはしれっと、
天野家に居座っていたのです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

＜朝・天野家＞
アキ）　ごちそうさま！
春子）　は～い行ってらっしゃい。
夏）　アキ、お弁当。
アキ）　危ねえ危ねえ！
正宗）　今日どうする？ リアスでいいのか？
アキ）　うん、お願い。
春子）　駄目よ。電車で帰ってらっしゃい。
アキ）　え～！

春子）　パパねえ、
　今日ママと、大事な話があるのよ。

来た！ ついに正宗に、
審判が下される時が来たのです。

春子）　行ってらっしゃい。
正宗）　…行ってきます。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「潮騒のメモリ―」の2番、絶妙に聞き取れないよう
にして、セリフを聞き取ろうと頑張るであろう視聴者
に挑戦状を突きつけた、あの最難関だった歌詞は、
「三途の川のマーメイド」！！ じぇじぇじぇじぇじぇ！
そう来たか～～！ 川を乗り越えてって何だ？と思
っていたら、三途の川とは～！ いやいや、それは
乗り越えたらダメっしょ！ 友達になれないっしょ！
なんておっそろしいマーメイドなんだ、ブルブルｗ
「潮騒のメモリ―」の歌詞はこちらの記事をどうぞ。
潮騒のメモリ―、三途の川のマーメイド

仏壇に写真を飾るのは、なんかもう、力づくでそう
いうことでいっか～的に収束？ まあ、家族のこと
だから、家族がそれでよければいいだろうしねｗ

どうやら、「JJガールズ」に決まったらしいユイは、
種市先輩に突っかかる。余計なことなんだけど、
女子にはありがち。ぼんやりアキが心配になる気
持ちもわかるし。種市先輩もすっとぼけすぎだし。
それ以上に、ユイの将来に関わってくることだし。
（アイドルの恋愛問題はムズカシイからね～ｗ）

勉さんの怪しい弟子、ミズタクこと水口が、いきな
りアキに積極的に迫りました。考古学を勉強して
いて、琥珀掘りの勉さんの弟子になりながら、虫
が入っていたと捨ててしまうって・・・怪しすぎる！
（松田龍平は、怪しいのがデフォルトですけどｗ）

それにしても、アリって、8500万年前から変わっ
てないのでしょうか？ 琥珀のアリは見てみたい！


2015年の再放送時の感想はこちら↓
あまちゃん日記（43）～第８週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

2023年の再放送時の感想はこちら↓
第43回～第８週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

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