長浜ロマンロボのひとつである超電磁ロボ コン・バトラーV。

 今でも高く評価する人がいるアニメなんだけど、俺ちゃんはそこまで高く評価してないんよね。

 

 ……というか、後番組のボルテスⅤ闘将ダイモスの方が、シナリオ含めて好きって感じ。

 コン・バトラーVも個々のキャラクターで評価できる部分はあるんだけど、全体を通すと、ちょっとイマイチに感じてしまう。

 

 その辺の事情は、以前にも語った前番組との関係も大きいかな?

 勇者ライディーンで降板させられたプリンス・シャーキンの設定を、ほぼ丸パクリしたような前半のライバル大将軍ガルーダ。

 シャーキンよりも更に武人肌で正々堂々としたキャラクターであり、側近に女性型アンドロイドがいるなど違いも大きいんだけど、やはりというか二番煎じ感は否めない。

 

 しかも、それだけではなくコン・バトラーVには、他にも従来作品に酷似した設定やポジションのキャラクターが散見されるんよね……。

 主人公達も含めて仲間は5人で、それぞれがマシンを持っており、これが合体するとコン・バトラーVになる。

 しかも、ちゃんと描写的にも破綻のない合体で、玩具で再現可能というのは大きい……のだけれど、問題はメンバー構成。

 熱血漢の主人公に、クールでニヒルな二枚目に、巨漢と女子と、それから最年少の小学生。

 もっと分かりやすく身も蓋もないない言い方をすると、熱血漢、ニヒル、女子、デブ、ガキという構成。

 

 これ、そのまんま、タツノコアニメのガッチャマンのメンバー構成なんよね……。

 しかも、同じようなメンバー構成の特撮番組であるゴレンジャーがコン・バトラーVの前年から放映されていて、もはや三番煎じも良いところ。

 ヒーローチームのキャラ設定としては、ガッチガチのステレオタイプだったというね。

 

 更に、後半から登場する敵の大ボス女帝ジャネラには二人の幹部がいるんだけど、こいつらの設定もステレオタイプから抜け切れていない。

 力押しを好む代わりに頭は回らない巨漢と、力はない代わりに狡賢い参謀。

 これが我儘な女帝の下で働いているって……これまた、ヤッターマン等に代表されるタツノコアニメに出て来る三悪人の構成と同じ物。

 

 ここまで様々なアニメのテンプレと同じ物が並んでいると、なんというか俺ちゃんとしては、それらが雑音みたいになって純粋に楽しめなかったという感じ。

 まあ、それでも個々のエピソードには、ロボットアニメとしてはなかなか燃える展開もあり、そこは評価したいんだけど……肝心の最終回が、かなりブッ飛びものだった。

 

 最終回、ヤケクソになって地球を破壊しようとする女帝ジャネラに対し、コン・バトラーVはな~んにもできないまま。

 すると、宇宙からギリシア神話のゼウス神みたいな男が現れて、謎のパワーでジャネラの地球破壊を阻止し、ジャネラだけ犬死させてしまう。

 どうやら、この男はキャンベル星(敵の異星人の母星)の平和解放軍の指導者とかで、今後はキャンベル星も平和路線に移行するから、もう侵略はしないよ(ついでに同胞の過激派が侵略してごめんね!)と言って去って行く……。

 

 なんというか、もう話がどうにもならなくなったから、最後に神様登場させて風呂敷を強引に畳むというデウスエクスマキナを、こうも露骨にやられてしまったのは残念で仕方がないんだよねぇ……。

 そもそもコン・バトラーVって割と現実の科学に沿った設定も散見されていて、装甲素材もなんとか合金とかじゃなくてサーメットという現実にある素材(だからなのか、よく装甲をブチ抜かれる)だし、エネルギー源も超電磁エネルギーという、電磁誘導などの既存の理論の延長にありそうなものを使っている。

 これは前作のライディーンがオカルト路線だったところをPTAに不当に叩かれて路線変更を余儀なくされたからこそ、コン・バトラーVを人類の科学技術の粋を集めて作ったロボットということにしたんだろうけれど……その最後が、謎のオカルトパワーとしか思えない力を神のような見た目の男が発揮し、主役の出番を食って終了というのはあんまりだ。

 

 まあ、これらの点は主にスポンサーサイドからの要求などもあってのことで、長浜監督も悪意を以てこんな設定にしたわけではないと思いたいね。

 実際、監督からしても消化不良というか、納得行かない点もあったようで……それらの反省や、より自分の作りたいものを作ろうという想いから、次作のボルテスⅤで大きく変化して行くんだけどね。

 初代ガンダムに登場するライバルキャラ、赤い彗星ことシャア・アズナブル。

 このキャラクターのモデルに、前回語った長浜浪漫ロボのひとつ、勇者ライディーンに出て来るプリンス・シャーキンの存在があるってのは、知っている人ってどれくらいいるんだろうねぇ?

 

 そもそも、勇者ライディーンは前半と後半で監督が違うから、そういう意味では長浜浪漫ロボの中でも異質な存在なんよね。

 で、その前半部分を担当していたのが、他でもないガンダムの監督である富野由悠季氏。

 だから、シャーキンも長浜監督の作ったキャラクターではなく、元はと言えば富野監督の作ったキャラクターってことだね。

 

 ところが、そのライディーンなんだけど……色々あって、当時のPTAからフルボッコされ、路線変更を余儀なくされちまった。

 その際、富野監督から交代で監督を務めることになったのが長浜監督なんだけど、路線変更の煽りもあってか、シャーキンも同時に降板させられちまったのよね。

 しかも、特撮ヒーローの幹部怪人の如く、なんと自ら巨大化してライディーンと戦うという……美形のラストとしては、些かどうかと思う方法でサヨウナラ……。

 

 これ、キャラクターを考えた富野監督からしたら、すっげぇ悔しかったと思うんよね。

 自分が降板させられる……しかも、殆ど外野からのイチャモンみたいな理由で、任された仕事を途中で奪われるってだけでもムカつくのに、自分の作ったキャラクターまで大人の都合で殺されちまったんだよ?

 

 俺ちゃんだったら、たぶんブチ切れるね。

 こんな仕事、やってられっかぁぁぁぁって……まあ、当時の富野監督も、たぶんそんな感じで、その怒りを原動力に別の作品を作るんだけど、今回はその話はパスね。

 

 悪いことには悪いことも重なるもんで、勇者ライディーンの後番組として長浜監督が最初から作ったコン・バトラーV。

 ここに出て来るライバルキャラの大将軍ガルーダってのがいるんだけど……こいつが、もうまんまポジからしてシャーキンと全く同じで、ついでに担当声優も同じという悲劇

 

 完全にパクリじゃねぇかぁぁぁぁ!!

 ……と、いうのは、富野監督以上に長浜監督も自負していたらしく、その後の作品では美形悪役の退場を、よりドラマチックに演出する方へと舵を切るんだけどね。

 それでも、富野監督からしたら、正に踏んだり蹴ったりよ。

 仕事は干されるわ、キャラはパクられるわ……若い頃のあの御方、かなり気性の激しい部分もあったはずだから、正面からブチ切れなかったのが不思議なくらい。

 

 そんなこんなで、長浜監督の作品が闘将ダイモスまでようやく終わってくれたところで、富野監督はいよいよ動き出す。

 大人の都合で亡き者にされたシャーキンの設定(実は主人公と同じ古代人の末裔で、しかも王族の血を引いている)をベースに、新たなる美形ライバルを作り出す。

 何を隠そう、それがあのシャア・アズナブルってわけなんよね。

 シャアの名前はシャーキンのシャーから取ったとも言われている(実際は、シャルル・アズナブール氏の名前など複数のネタを掛け合わせているんだけど)し、シャーキンと同じく王族の末裔で、おまけに仮面も被っている。

 キャラクター的には全然違う性格なのに、共通点は意外と多い。

 

 自分が好きなキャラクターは、なにがなんでも死蔵させたくないっていうのは、クリエイターによくあることよね。

 シャーキンが理不尽な理由で抹消されたからこそなのか、その後もシャアは時に富野監督の代弁者のような役割を果たして行くことになるわけで……転んでもただでは起きないというか、マイナスの感情でさえ新しい何かを作り出すための原動力にしちゃうところが、巨匠たる所以なのかもしれんと思うわけ。

 長浜浪漫ロボと聞いてピンと来る人がおったら、それはレトロなロボットアニメについて、それなりに知識のある人だと思ってる。

 実際、今の10代とかで、この分類名称を知っている人はどれだけいるんだろうねぇ?

 まあ、その名称は知らなくても、該当する作品なら知っている人はいるかもしれんね。

 勇者ライディーン、超電磁ロボ コン・バトラーV、超電磁マシーン ボルテスⅤ、闘将ダイモスの4つが代表的な作品。

 スーパーロボット大戦みたいなゲームで遊んだ人は、1つくらい知っているのでは?

 

 この長浜浪漫ロボなんだけど、実は割とお約束みたいな感じのテンプレがある。

 

 主人公は割とステレオタイプな熱血漢。

 市川治氏が声優を務めるイケメンなライバルが出て来る。

 主人公サイドの味方で、親兄弟や親友のような重要ポジにいる人が、特攻などの自己犠牲的行為で戦死する。

 ロボットはそこまで頑丈ではなく、戦闘では割と容易に装甲をブチ抜かれて大ダメージを負う。

 

 ザックリ挙げると、こんな感じね。

 特に、イケメンのライバルってのは女性ファンの獲得にも一役買っていたようで、当時のアニメでは斬新だった模様。

 ロボット物の悪役っていうと、いかにも残酷で悪いこと大好きな、醜悪で邪悪なやつが多かったからね。

 後は、もうまんま武人みたいなキャラで、男受けはいいんだけど、女子からするとちょっと暑苦しく感じるキャラとかね。

 

 その点、長浜浪漫ロボのライバルキャラは、誰も彼もイケメンで、しかも悲劇的な背景もあったからこそ女性ファンも多くついたんだろうねぇ。

 でも、このイケメンライバル達も、最初から優遇されていたわけでもないし、勇者ライディーンに出て来たプリンス・シャーキンに至っては、そもそも長浜監督が考えたキャラではない。

 

 この辺の事情とか確執とか、その他にも色々なものが絡み合って、長浜浪漫ロボが4作品も続いたり、果てはガンダムのライバルキャラとして有名なシャア・アズナブル誕生なんかにも繋がって行く……。

 なんとも意外なところで関係しているわけで、そういう視点から昔のアニメを視てみるのも、面白いと思うんだよね、俺ちゃんは。