機動戦士ガンダム。
ロボットアニメ好きの人なら知らないはずはない作品だし、詳しくない人も名前やガンダムの姿くらいは知っている人も多いんじゃないか?
そのくらい有名なアニメなんだけど……これ、何が凄かったのかは、本当にちゃんと視聴した人でないと分からんのよね。
ロボットがカッコイイ?
う~ん……初代ガンダムに限っては、そこまで当てはまらないかもねぇ。
あの時代、もっとヒロイックなメカはたくさんあったから、それと比べるとガンダムは(兵器としては十分にナンセンスなカラーなんだけど)かなりシンプル。
キャラクターがカッコイイ?
う~む……これも、必ずしもそうとは言い切れんのよね。
確かにシャア・アズナブルとかファンからすればメチャカッコイイライバルキャラもいるんだけど、な~んにも知らん人が見たら、おかしな仮面被った怪しい人にしか見えない。
主人公のアムロ・レイにしたって天パで機械いじりが好きなだけの陰キャだし、共に戦うことになる仲間のカイ・シデンやハヤト・コバヤシも、とてもではないけどイケメンじゃない。
俺ちゃん思うに、ガンダムの凄いところっていうのは、後にリアルロボットと呼ばれるジャンルを確立したところにもあると思うんよね。
でも、どれだけ頑張ってリアルに寄せたところで、巨大ロボットが宇宙で戦うようなアニメと同じことをリアルではできない。
それじゃ、何がリアルかっていうと……『戦争』というものに対する扱いかな?
ロボットヒーローが戦う昔のアニメって、大抵は悪のマッドサイエンティストとか、地底人とか宇宙人みたいな人外が世界征服や人類滅亡のために襲ってきて、それを撃退するってのがデフォ。
巨大ロボットで戦うか、人間が変身して戦うかの違いだけで、根っこの部分はヒーロー番組と変わらんかったのよ。
ところが、ガンダムで描写されている戦争ってのは、割とリアルに寄せてある。
別に、戦闘シーンがリアルだとか、グロ描写があるとか、そういうことじゃないんだけどね。
戦争が起こるまでの過程とか、その世界で行われている政治とか、そういうのがリアルってこと。
ガンダムの世界って、人類の80%が宇宙に住んでいる設定だったんだけど、この宇宙移民者たちの境遇が酷いのね。
一般庶民は半ば強制的に宇宙移民にさせられて、しかも引っ越しの際にかかる費用は借金してでも全額個人負担な上、スペースコロニーを建造する際にかかった費用はコロニー居住者に重税を課すことで賄っているという感じ。
もうね、この借金と重税のダブルパンチが酷過ぎて、古代の農民が可愛く思えて来るレベルなんよ。
なにしろ水や空気にも税金かかる上に、借金も末代まで返済義務があるような金額で、とても一世代では返せない。
人々は日々の労働で疲弊していて、歓楽街や風俗街さえ存在しないし、あったとしてもそういう場所を利用できるのは割と恵まれている富裕な層(地球連邦政府の関係者)だけ。
そうやって搾取した金やら資源やらで、地球に住んでいる上級国民達だけが甘い汁を吸っているのが宇宙世紀と呼ばれるガンダムの世界。
うん……想像していた以上のディストピアだねぇ。
こんな世界だからして、コロニー住民に不満が出るのも当然で、なんやかんやあって独立の動きが出て来る。
でも、それで体制派VS革命派みたいな流れにならないのが、ガンダムの面白いところ。
なんと、革命派のリーダーが暗殺されて、その後釜に選民思想の一族が入り込み、血の支配による独裁政治を始めちゃうの。
そして、最終的には『腐敗した衆愚政治VS選民思想の独裁政治』という、どこにも救いのない悪VS悪の形で戦いが始まっちゃう。
こんな流れが、第一話の前に起きている設定だからね。
後付け部分もあるんだけど、こんだけ重たい設定だから、ガンダムが悪いやつ倒して終わりなんて話にはならない。
当時のアニメの中で政治と戦争ってものを『リアル』に描写して、しかも善悪が存在しない戦い(強いて言うならどっちも悪なんよね)って設定だったから、後に色々と話を広げることができて、なんやかんやで続いているんよ。
その後も『政治』を描いたアニメってのはあったと思受けど、宇宙世紀のガンダムほど、良くも悪くもリアルに(そして救いのようない)描き方をしているのって、あまりないんじゃないかねぇ?
そう言う意味で、俺ちゃんは初代ガンダムを『楽しい』っていう部分じゃなくて、『深い』って部分で大絶賛しているんよ。