Patto / Patto (1970) | 極私的洋楽生活
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このところ土日の仕事が多かったもので、なかなか時間の余裕が持てなくて気が付けばもう7月半ば。前回の記事からひと月近くも経ってしまいました。少しまた余裕ができてきましたので、ぼちぼち記事アップでございます。本日は70年代初期の、「パトゥ」というバンドを取り上げたいと思います。
 
 
最近までこのバンドは知りませんでした。かなりインパクトあるジャケットです。でもなんかアングラ臭が漂い、ジャケットからは音の想像がつきにくい感じですね。聴いてみてもわりとつかみどころのないジャンルの音に思いました。簡単に言うと、ブルーズ、ジャズ、ソウルな要素を持ったプログレッシブなハードロック、っていう感じでしょうか。

 

 

 


 
冒頭はミドルテンポの非常にリラックスしたナンバーからはじまります。ゆったりしたリズムにソウルフルなボーカルと流れるようなフレーズのギターが絡みそして中盤ではヴィブラフォン(鉄琴ですね)まで出てきます。なかなかのセンスを感じさせる曲です。インパクトはないのですが、徐々に惹きつけられる引力を感じます。
 
 
「パトゥ」というバンド名は、ボーカルのマイク・パトゥの名前から。バンド前身は「タイムボックス」という60年代後半に活躍したビートポップバンド。このバンドの主要メンバーだったマイク・パトゥとギターのオリー・ハルソールを中心に結成された、らしいですね。

 

 

オリー・ハルソールはコアなファンを持つその筋で有名なギタリストのようですね。アラン・ホールズワースの後任としてテンペストでプレイ、またケビン・エアーズの信頼するギタリストとして彼のバンドでは欠かせない存在であったとか。
 
 
パトゥのサウンドの根幹にはこのオリーの音楽的志向が大きく影響しており、ジャズ・ロック的なテイストが嫌味なくブレンドされています。しかもかなりのテクニシャン!これが渋めボイスのマイク・パトゥのソウルフルさとミックスされ独自のサウンドを形成しています。しかしながら質感は「ハードロック」的で、特にこの曲などに代表される「激しさ」「エモーショナルさ」はまさにハードロックのそれではないでしょうか。
 

 

 


 

 

このアルバムはいろいろなテイストの曲あり、ヴァリエーション豊富で飽きません。自分はこうした色々な音楽的要素がミックスされたサウンドが非常に好きなのですが、現在では当たり前のミクスチャーが、この1970年というティピカルなブルーズ由来のハードロック全盛時に生み出されていた、という事に畏敬の念を禁じえません。次のアルバム「Hold Your Fire」は既にソフィスティケートされてしまうのですが、このファーストが持つ、散漫ながらも荒々しい引力は素晴らしいと感じました。
 
 
パトゥは3枚のアルバムを残して1973年解散。マイクはスプーキー・トゥースへ、オリーはテンペストへそれぞれ進みますが、1975年にマイクとオリーは再び合流し「ボクサー」というバンドを結成。マイクが1979年に咽頭ガンで亡くなるまで続きました。オリーはその後ケビン・エアーズと行動をともにしますが、1992年にヘロインのオーヴァードーズで亡くなりました。今日はもう一曲だけ、彼らのジャズテイスト・プログレテイストがよく表れた曲を紹介して締めたいと思います。
 
「ボクサー」というバンドも聴いてみなきゃな。