Peter Tosh & Mick Jagger / Walk & Don t L…(1978) | 極私的洋楽生活

 

 

 

レゲエと言えば
誰もが想起するのはボブ・マーリーであろう
代名詞になるほどのカリスマ性
卓越したソングライティングとパフォーマンス
癌との闘病後の死を含め
誰も彼を否定する者はいない
レゲエというフィールドを介し神となった存在
自分も大好きなミュージシャンのひとりだ

 

 
もともとボブと一緒にウェイラーズにいた
ピーター・トッシュという人の不幸は
その神と居合わせてしまった事
なのかもしれない
もともとStepping Razor(歩くカミソリ)と
言われるほど存在も大きく
カリスマたる資質も充分過ぎたのに
人類愛を説くボブに比して
その闘争的資質は対照的に
疎まれる存在になってしまったようだ

 

 
ボブ中心に売り出そうとする
ウェイラーズでの扱いに嫌気がさし
バニー・ウェイラーとともに脱退
ソロ活動を余儀なくされ
強く尖鋭化することによって
自身の存在を示すしかなかった
人気を博し、普遍愛の名のもとに
神に近付くボブとは対照的に
ピーター・トッシュはもがき、闘い、
ガンジャ解放運動へとより怒りと思念を
売るしかなかったのかも知れない

 

 
抵抗のアティテュードは
よりロックな姿勢に見えたのだろうか
ミーハーなミック・ジャガーが目をつけた
サティスファクションを歌う自分の姿と
似た物でも感じたのだろうか
この曲での共演の姿を見ると
見ている方が恥ずかしくなるくらい
ミックは嬉しそうに、楽しそうに
はしゃいでいるのが印象的だ

 

 
初めてピーター・トッシュを聴いたのは
1983年の「ママ・アフリカ」というアルバム
リアルタイムだったが、そこで初めて
彼の素晴らしさを感じた
遡って聴いていくうちに
ストーンズの関わりを知ったわけだけど
彼のような素晴らしいミュージシャンに
スポットを当てたストーンズの功績は
何と言っても大きいだろう

 

 
ピーター・トッシュは1987年に
自宅で強盗に撃たれて死んだ
癌死という天啓で召されたボブに対し
その人生はまるでボブの人生と
表裏一体であったかのように最期の時まで
対照的に不幸だったのが惜しまれる
 
 

 

 

 

 

 

from album
 [Bush Doctor]
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