9/22 パブデッシャロ、でブラジル音楽ユニット「エスペランサ」ライブ。Masumi(vo)、大岸康雄(g)。それと、客席からいったん君(perc)が時々参加。巧みなリズム演出を聴かせて頂きました。
今日のプログラムはブラジルの民間信仰の歌、カンドンブレがメイン。キリスト教に発する信仰ですが、偉大な自然の恵、力を司る八百万の神々に捧げる歌でもあります。悲しみを湛えた素朴なメロディはMasumiさんの澄んだ美声にぴったり。巧みに日本語訳の歌詞をあてたり、楽しいトークを交えての曲目紹介で曲の意味を知ることもできました。僕の感想ですが、個人の悩みであっても「救い」を神様に求めるところがあって、「個人と神様の契約」を重要視するキリスト教的だと思いました。
クラシックも2曲披露、まず“バッハ/グノー作 アヴェ マリア“はスムーズなサンバのリズムで演奏されました。18世紀ドイツで活躍したバッハはプロテスタントだったのでマリア崇拝は禁じられていました。ですので、バッハ作のアヴェ マリアはありませんでした。ところが、カトリック国であるフランスのグノーがバッハの“平均律クラーヴィア曲集”(← クラシック界隈では ピアノ独奏曲の旧約聖書、とまで言われる名作だそうです)の第1曲にアヴェ マリアの歌詞とメロディーをつけ足して再創作。この曲もまた広く愛される様になりました。
カトリックの聖母マリア崇拝が多神教と結びつき、カンドンブレの川の女神 オシュン、海の女神 イェマンジャなどの信仰に繋がったのでしょうか。アフリカからブラジルへの移民(奴隷)の人びとは元々は多神教なのでキリスト教には馴染みが湧かない。キリスト教を布教、理解するにあたってこういうところから多神教のカンドンブレに流れていったのでは、、、などと空想も混じり興味そそられます。
そしてもう一曲、スペイン民謡“鳥の歌”はパブロ カザルスによる国連でのチェロ演奏が知られて、今や平和への真摯な祈りの歌に。これもまた、Masumiさんの美声だからこそ歌える歌です。
今日のライブのもう1本の柱はファン待望のエスペランサのオリジナル曲。「Samba da Lua (月のサンバ)」はスキップする様なリズムもリフのスキャットも可愛らしく、急テンポのサンバ歌謡曲風「Azul Solidao(青い孤独)」では康雄さんのボーカル参加も絶妙。極めつけはカンドンブレ風の少ない音域、祈りの様相の度々の繰り返しのテーマを活かした「Minha Mae」。抜群の盛り上がりを見せてくれました。(一説によると、こういう一つのモチーフを巧みに活かすメロディは単純な様でいて、実はまだAIでは作曲しにくいそうです。そんな解説のyoutubeを見ました。)
ショーロ風のインスト曲、「古き市場のワルツ」は作曲者 康雄さんによるギターソロ。哀愁に満ちたメロディを奏でるビブラートのきいたギターの音色が深く印象に残って…とそんないい感じでレトロな空掘の夜は更けて行き、ゆったりと音楽とお酒を楽しませて頂きました。


