9/29 ビルボード大阪、Toninho Horta(vo,g)来日公演 。ゲストに小野リサ(vo)参加という豪華なライブ。Toninhoがショート動画をたくさん上げてくれているので感謝感激!!

 

 

 今回Toninhoは単独来日、ギター1本で弾き語りというスタイル。流麗なギターのイントロに聴き入っているとやがてそろりそろりと歌い始めるToninho。歌詞を歌わず、スキャットで歌われるので僕は一瞬 「アレ?歌詞ないの?」と思いましたがやがてすぐに、数々の録音で聴いていた Toninhoそのものの声で一心に歌う世界に引き込まれました。もちろん曲により歌詞も歌われましたが、スキャットは歌詞がない分、歌い手が自由に強弱や子音を入れてができるスタイルです。今日も全く声の衰えなどなく、メロディの一音一音のデザインを選んで歌ってくれているとわかりました。

 

 Toninhoのギターは伴奏であってもリズムパターンの繰り返しではなく、刻々と変化する豊かな音使い。機械的ではなく、動物的。多彩な和音を用いつつ、瞬時に様々なテクスチュアを弾き込んでしまうという高度な技巧が与えてくれる至福の音楽体験です。気高い美しい生き物がなめらかに、優雅に進んで行く姿に見とれているような気分になりました。

 曲目はブラジル音楽だけでなく、「私の特別なお気に入りの曲」とのMCで披露されたのは“My One And Only Love”。そして「チクショー、この曲のメロディが頭から離れないぜ!」とユーモアを交えて紹介されたJobimの“O Amor En Paz(平和な愛)”〜”Água de Beber(おいしい水)”のメドレー。これは聴衆に拍手やコーラスを求めての楽しい時間になりました。日本のファンが皆んな知ってる曲を選んでくれたのですね♪。僕は前から2番目の席だったので おいしい水 のスキャットを大声で歌うとToninhoがこちらを見て微笑んでくれました。視線が合った!

 そうやって聴衆の心をがっちりつかんでから歌われる"

(ほら ここに!)"はToninhoを語る上で外せないオリジナル曲。奇想天外なコード、メロディ展開が続きつつもすべてが心地良い名曲です。

 

   後半はいよいよ小野リサ登場。アルバム「ESSENCIA / Lisa Ono」で二人の共演が収録されたToninhoのオリジナル”Beijo partirdo(あなたからのキス)”。メランコリックなメロディ、そして鳥の鳴き声みたいな、でも切ない感情がかき立てられる不思議なスキャットが映えてアルバムの中でも屈指の一曲になっていました。まさしくToninhoでなければ作れない絶妙の曲を今日のライブで再演して頂き感激。

 リサさんの天から降り注ぐかの様な透き通った美声を迎え打ち、刻々と変化し続け生き物の様にうごめくToninhoのギター。音楽の中の「変わって欲しくない部分」と「変化して欲しい部分」が合わさって、見事なアンサンブルになりました。優しさに満ちた”Moon River”、神秘的な”O Trem Azul (青い列車)”、軽やかで楽しいサンバ“Aquelas Coisas Todas(それらすべてのこと)/ Toninho Horta”と名シーン続出に聴衆も熱を帯び、2回のアンコールに!最後の曲となった“Por Causa De Vosê(あなたのせいで)/ Jobim” はつぶやきの様にさりげなく始まり、愛らしいメロディを綴って確かな深い余韻を残してくれました。

   二人の紡ぐ音楽は繊細なニュアンスが込められていて、和音使いも転調も複雑。にもかかわらずそのお姿はリラックスして楽しんでいて、いとも簡単に音を操っている様にも見えました。緊張して力んだりもせず、欲張ってやたらと技巧を求めたりもせず、自然な気持ちですんなりと音楽の本質に向き合う ー 様々な意味で、そんな大切なものを教えてくれた様にも思えました。