- 走れメロス (新潮文庫)/太宰 治
- ¥420
- Amazon.co.jp
表題のほかに短編がいくつか収録。
おもしろかった。さすがだなあ。
読ませる力がものすごい。
借りてから読み終わるまで期間はかかったけど、
1回1回の読書時間ですごく感じる。
名作名作いつか読もう・・・と思って、
このほど初めて読みました。
太宰治、このひとすごい。
この本を書いたころの太宰治は、
割合人生が落ち着いている時期で、
なら安心して読めるかなと思って借りました。
表題、「女生徒」は完全に創作だけど、
他短編はほぼ自伝みたいな読ませ方。
借金、女、酒、自堕落な生活・・・最後は自殺してしまうんだけど、
このころは自殺周辺の記述はないので精神衛生上良い。
作中の主人公に対して、
この人ダメなひとだなあ、
こんなダメなひとがいるなら自分などたいしたことはない
(私は借金、男、酒に溺れたり等はしていませんが)。と思ったりした。
「なるべく素晴らしい人生を送らなければいけない」という自分の思い込みの世界から、甘美な自堕落の世界へGOGOだ。
甘美な自堕落にいろいろと共感できるところもあり、
読んでて安心したりした。
お前は文才など特別な才能がないので、
太宰のようにダメ生活を送ってみたところでまるで救いはないですけどね。
転落人生まっしぐらです。
小説で楽しむくらいがちょうど良い。
この小説、まだまだ続きそうな感じで終わります。
続きが読みたくなりましたが、続きはなんという題名で文庫になってるのかな。
小説の後ろみたらわかるんですけどね。
図書館に返しちゃったから、今度図書館で調べてみよう。
表題の「走れメロス」の感想は、
熱いかんじがよかったです。
名作といわれる「女生徒」は、
主人公の女性は私の理解を超えるタイプでしたが、
最後にはなんとなくそのひとの気持になって一体となって読めたという、
太宰治の手腕にころっとやられました。
純文学は今までそんなに読んできませんでしたが、
読んだら読んだでいいものだな。
昭和特有の女に対する男の、社会の押し付けめいた偏見にはなじめませんけど・・・・。
「走れメロス」娯楽としてはなかなかです。