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🍵 ⑧東京23区内一等地のシャッター街
前回の記事に書いたように僕が初めてこの町を訪れたのは、もう十数年前のことで、そのとき受けた印象は典型的な東京の下町の商店街といった感じの好ましいものであった
その後ブログをはじめてからも取材に訪れたが、すでに鬱陶しい駅前のタワーマンションは着工中で、かつて、そのあたりにあった商店街は消滅していた
そういえば線路沿いを北千住方面に向かう道にも戦後型だけど看板建築が何棟かあったような……と、思い出して先ほどストリートビューで確認してみたら、ものの見事に更地にされてしまっていた
いったい、いつまで土建屋とそれに連なる未来のビジョンの欠片もない連中による、こんな愚劣な再開発を続けるつもりなのだろうか
このような目先の利益のみにとらわれた愚劣な再開発などが、我が国の将来に繋がらないことは、先進国から三等国家に落ちぶれた現在の日本の姿が証明している
地方都市では郊外型大型店に客を奪われ、空洞化して壊滅したシャッター街と化したかつての中心街を見かける
以前、高崎を取材したときは、こちらの想像を遥かに越えた凄まじい荒廃ぶりに空恐ろしくなったが、東京の中心部からさほど離れていない南千住の仲通り商店街も、更地や新しい建て売り住宅が目についた
この南千住のように東京都内ですら、こんな有り様なのだから地方都市が寂れてしまうのも宜なるかな、である
こちらの物件は店舗だったところの前が、すっかりプランター置き場にされてしまっていた
埼玉県に縁があるのか「吾野園」というマイナーな屋号の茶舗があった
さほど荒れ果ててはおらず一瞬、この日は定休日かと思ったが、よく見ると2階の雨戸が固く閉ざされているので、廃業して無住になってしまっているようだ
その先にあった妻入のモルタル物件は、向かって左の店舗は廃業しているようだが、カラオケとお食事「居酒屋ポニーⅡ」は元気に営業していた
ちょっと気になったのは、単純に「ポニー」ではなく「ポニーⅡ」とあることで、もしかしたらどこかに「ポニー」という本店があるのだろうか?
洒落たスペイン瓦で装飾されたこちらの製造直売「澤田家具店」は、一見すると休んでいるだけのように見えたが……
よく観察してみると2階の窓にはカーテンもブラインドもなく素通しのガラスになっているので、どうやらこちらも廃業物件のようだ
と、思って念のためGoogleマップでたしかめてみると、なんとまだ現役で営業しているらしく、シャッターが開いている写真が掲載されていた。ちなみに、マップだとピンの場所が20メートルぐらいズレていた
こちらの和風テイストの店は「やぶ茂」という蕎麦屋のようだが、お品書きやポスターなどが貼られていたので、てっきり現役かと思いきやマップを見ると「やぶ茂 臨時休業」という記載が
この臨時休業というのは「今日は臨時休業します」という意味ではなく、例の馬鹿ばかしいコロナ騒ぎ以降見かけるようになった「コロナ騒ぎで仕事にならないから、しばらく休みます」の意味だろう
ところで、この南千住仲通り商店街には、個人的にランドマークにしているファンタジスタな物件が存在する
今回、この商店街を訪れたのは、そのファンタジスタな物件の無事を確認するという、密かな目的があったのだが、ここまでシャッター街化が進行しているようでは、初めて見たときから廃業していたその物件が残っている可能性は低いだろう……
などと、悲観的な気分になっていると
先ほどは現役の中華料理「一力」という店を見かけたが、この「一番」は、廃業してしまっているように見える
が、しかし注目すべきは、その隣にある錆び錆びの……
こちらの平屋の看板建築だ!
一番の隣にこの赤錆びが見えたときは、思わず「よかった。無事に残ってたよ」と、思わず胸を撫で下ろした
こちらの物件も先ほど見かけた澤田家具店と同じような業態の店だったらしく、塗装が剥げて錆びついた看板には「洋家具製造卸 山田商店」とある
どうやらこちらは単なる家具ではなく「洋家具」の製造所で、しかも小売店だった先ほどの澤田家具店とは違って「卸」の業者のようだ
しかし、この見事に錆びついた様子からわかるように、廃業してからすでに十数年の月日が経過しており、それでも放置されているところから、最近よく見かける持ち主不明物件であろう
ということで、早くもクライマックスを迎えたような感じであるが、じつはこれはまだ前座にすぎず、シリーズ後半には、さらなるクライマックスがやってくることを、このときの僕はまだ知るよしもなかったのである
続く
†PIAS†
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