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🍅 ⑦南千住仲通り商店街の衰退に驚く
浅草の外れ泪橋の近くにあったのが、かの有名な小塚っ原の処刑場。その慰霊碑のある南千住駅前から三ノ輪橋方面に向かって伸びる細い通りが「南千住仲通り商店街」である
この商店街を初めて訪れたのは、まだ駅前に邪魔っけなタワーマンションがぶっ建つ以前なので、かれこれ十数年も前のことだ
訪れたのは夕方のことで、飲食店の明かりが灯り買い物をする主婦などで賑わっており、いかにも下町といった風情を強く感じた記憶がある
が、４、５年ぶりぐらいに訪ねた商店街は、なんとなく活気がなく商売をやめてしまっているような店舗や、いかにも最近建てたばかりといった感じの新しい建て売り住宅が目についた
ファサードに細かい格子、アルミ箔を張ったようにピカピカの軒先テントが印象的な看板建築があったが、隣は新しいマンションに建て替えられてしまっている
本来なら店舗が並んでいるような場所に、こういった間口の狭いマンションの姿を見ると、看板建築の店舗が廃業して、その跡地に建てたということがわかる
そして、こういった物件が増えると商店街は確実に活気を失い、あとは滅亡に向かうことは、都内各地の壊滅した商店街が証明している
いや、後継者不足などの要因で店舗が廃業して商店街が活気を失った結果として、このような町の衰退を象徴する小規模マンションが……という順番かもしれない
ピカピカ看板建築の横にある路地裏には、青いブリキ波板の気になる物件があった
隣の建物との隙間がほとんど皆無なのにも関わらず、２階を見るとその無余地なところにも窓があるのが、いかにも東京の下町を象徴している
無理のある構造からして、おそらく隣の建物の勝手口の横にくっついている木製の勝手口は、後から増設したのではないだろうか
廃業して現在は無住のような雰囲気だったが、元はどんな商売をしていたのだろう？
入り口の扉（こちらも木製である）の上にある明かり取りの下を見ると「塩 小売店」とあった
専売時代に塩を扱っていたのは食料雑貨店か精米店のことが多く、こちらは店構えからすると食料雑貨店だったものと思われる
仲通り商店街を先にすすむと第一印象のとおり、明らかに廃業してしまった店舗や更地が目についた
どうやら危惧したとおり商店街は衰退に向かっているようだ
「中華料理 一力」は店先のプランターが手入れされているので、現役だと思われるが、傍若無人に貼りまくられた店舗の横部分の政党ポスターが気になった
というのも東京近郊では、店舗が廃業すると屍肉に群がるハイエナのように政党ポスターが、これでもか。と、貼られるのがデフォルトになっているからだ
もっとも、ハイエナの名誉のために言っておくが、たしかに彼らは積極的に屍肉を喰らうが、肉食動物の典型で狩りも行っている
思ったより商店街の衰退が進行していたので、取り壊されていないか気になっていた入母屋屋根の立派な物件は、無事に残っていた
元がどんな商売だったのかは知らないが店舗の部分は、コジャレた飲食店にリノベーションされているようで、この様子なら取り壊されてしまう心配はなかろう
以前、団子を買ったことがある和菓子店は、下町方面には珍しく休日なのに営業していた
ついでに近くにあった、以前は見かけた記憶がない「町の洋食さん とまとま」という店があり気になったので撮影した
調べてみると40年以上前に三河島で創業した老舗が建て替えのため移転してきたようだ。セットメニューが２品か３品で自由に組み合わせられるという独自のシステムに惹かれる
などと言っているうちに商店街の入り口まで来てしまった
僕が撮影している目の前には、左手に目障りなタワーマンションが出来ており、その低層階にはショッピングモールがある
写真の左手に見えている白い建造物は、もう南千住の駅舎で、ということはショッピングモールは駅と直結しているのと同然で、商店街の異様な寂れっぷりは、タワマンの商業施設の影響が大きいのかも
僕は南千住仲通り商店街の中ほどから駅に向かったので、いったんここで引き返し、今度は商店街の反対側を見たあと三ノ輪橋に向かう
といっても、三ノ輪橋のメイン商店街であるアーケードの「ジョイフル三ノ輪」は、前シリーズで取り上げたので、今回はそちらにはゆかず主として路地裏を攻める予定だ
続く
†PIAS†
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