「この曲はどうかな？」
と弾いて聞かせてから顔を見ると、
笑顔になっています。
「いいけど、速いところが弾けるかな？」
と言いながらピアノの所にやってくる様子も、
足取りが軽い感じ。
早速弾き始めてみると、
思いのほか弾きやすかったみたいです。
もちろんすぐにスムーズにとはいきませんが、
練習すれば弾けそうな感触をつかんだみたいですね。
実はこの子はすでにクリスマスに弾く曲を決めていて、
練習を始めていたのです。
でも、つっかえつっかえの弾き方からなかなか脱しなくて、
弾いている時の表情は、
ちょっと苛立っているような。
弾きたい気持ちになっていないのかもしれません。
弾きたい曲だと、ものすごく集中してすばらしく弾く子ですが、
気持ちが乗っていない曲を弾くのは、
苦行みたいなものかもしれないなとも思います。
ならば、曲を変えた方が良くない？
ということで提案したのは、
希望通り２ページの短い曲で、
そこまで難しくはないけれど弾き映えがして、
この子の好きなかっこいい系の曲でした。
「これなら弾ける」と、
ひとり言みたいに言うのを聞きながら、
スイッチ入ったかも、と嬉しくなっていました。
曲を変えるというのは、
ちょっと大きな決断ではありますが、
まぁ、たまには良いでしょう。
自分の感覚にものすごく素直で、
やりたいと思った時に発揮する力の素晴らしい子ですから、
きっと新しく決めた曲で、
またぐんと伸びてくれるのではないかと思います。
楽しみです。
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