「虫送り」という行事はご存じでしょうか。
虫送りとは、農薬が普及する昭和初期まで害虫駆除と豊作祈願のために行われていた伝統行事で、全国的に行われていました。
現在では、行われている地域は少ないと思います。
虫送りは時期も方法も地域によって異なりますが、よく登場するのが「実盛(さねもり)人形」です。
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実盛さんは、平安末期の平家の武将・斎藤実盛に由来しています。
実盛さんは、戦中に馬が稲の切り株に足を取られて落馬し、その時に討ち取られて戦死してしまいました。
その恨みから、実盛の怨霊が虫となって、稲に害を及ぼしているのではと考えられました。
平安時代の日本では、悪いことが起こると、たいてい恨みを持って亡くなった人の怨霊のせいになりますね~。
そして、その怨霊を鎮めるためにそれを祀るというのが定番。
この実盛人形もその一つですね。
現在、大府市歴史民俗資料館の常設展示室では「昔の暮らし 虫退治と洗濯」というミニコーナーが設置されています。
↑この写真の洗濯物は、通常は展示室にあるかやぶき屋根の民家に干されているのですが、こちらに移動しています。
その展示コーナーに、大府の実盛人形が展示されています。
これは、昭和57年に向山子ども会で再現されたもの。
『大府市誌』に掲載されている写真と同じものです。
ちょっと、呪いの藁人形っぽく見えますが…
なんか実盛人形って味のあるものが多くて、面白いんですよね。
大府市では、北崎町の城畑や神田、桃山町で実盛型の虫送りが行われていました。
竹竿に結び付けた人形をもって、お囃子をしながら練り歩き、最後は境川に流しました。
実盛人形ではなく、たいまつや御幣を持って田んぼの周りを走るというものもありました。
たいまつ持って走るって、なかなかワイルドですね
その他、ハエ取り用具などもありました。
ちょっと理科の実験道具っぽいですね。
こちらの全自動ハエ取り器なんて、パッと見は工芸品のよう。
こちらの蝿帳(はいちょう)なんかも、カッコいい。
洗濯用品のたらいと洗濯板。
洗濯板のみぞに、向きがあるとは知りませんでした。
洗いとすすぎで、向きを変えるんですね~
しわ伸ばしが出来る道具なんかも。
イラストの図解もあります。
常設展示室は昭和レトロな商店街となっています。
懐かしのものが、ショーウィンドウや店内に売り物のように展示されていて面白いです。
中央にある民家の部屋では、季節に合わせた昭和の暮らしが再現されています。
夏なので、そうめんとかき氷が食卓に並んでいます。
これらの料理は、紙や廃材、100均素材で出来ています。
ペーパーアートの達人スタッフさんの手作りです。
商店街も、達人スタッフさんの手作りです。
達人・あいばまさやすさんのペーパーアートのコーナーもありますよ↓
あいばさんの作品は、どれも芸が細かい
こちらの自動車も、紙でできているとは思えませんね~。
懐かしの車がいっぱい展示されています。
企画展「鈴木幹二 木版画の世界」も開催中。
大府市歴史民俗資料館は、全部入場無料ですよ~。
今回は、昔の大府の虫送りにも実盛人形が登場していたの発見でした。