夏川草介
「神様のカルテ」とかが有名らしい。医師と作家の二足のわらじ。
なんか、ちょっとジェラシー。
猫が本を守る? は?ハテナがいっぱい。
男子高校生が主人公らしいので読んでみることにした。
序章 一章〜四章 終章という展開。
「序章」「終章」という文字、久しぶりに見た気がする。
引きこもり気味の高校生 夏木林太郎。
おお、ヨコハマ市歌を作詞した作家とおんなじ名前じゃん。
彼はもっとすごいよね、苗字が「森」で「林太郎」。
どんだけ「木」がたくさんあるんだろうね。
こっちの林太郎は学業、運動神経もそこそこ
見た目もパッとしない。
両親は離婚、母親も早逝。就学前から古書店を営む祖父と暮らしている。
序章で祖父がクリスマス前に急逝。これまで会ったことのない
「叔母」に引き取られ店を閉めることになった。
ってところまで読んで中断。まだ序章じゃん。
でも「死」を受け入れる準備がワタシにできなかった。
物語なのに。
物語上の季節は冬。
身寄りはない、友人もいない主人公。
寒々しすぎてしばらくほっておいた。
寒々しさは筆者の意図するものだろうけど、
読む気を喪失させるのは いかがなものか。
ん?なんか違う。
季節、景色、状況だけじゃない、
林太郎本人そのものが「寒々しい」んだ。
人としての温もりを感じない。
離別、死別。
受け入れざるを得ない、本人の言葉として
「選択肢がない」状況。
絶望とは違う、森鴎外のいうところの「諦念」か。
希望とか願望とか期待とか全く感じられない。
ソコがヤだったんだ。
「本」に囲まれ、「本」の世界に逃げ込み、祖父との繋がりにあった温もりが、
祖父の急逝によって消滅。古書店の閉店、高校生は抗えない。
受け入れるしかない。
で、猫の登場。
人語を操り林太郎を異世界へ誘なう。
文字にすると薄っぺらだなー、軽々しいし。
この猫とのやり取りが面白い。
猫は毒舌、遠慮も何もない。説明も とっ散らかって論理的ではない。
でも真実をついてくる。そしてちょいとズルく、危険な項目は割愛する。
「本が好き」な林太郎に「力を貸せ」と言う。
さて「本が好き」が重大なポイント。
ワタシだって「好き」だから読んでいる。知識を得ることもあるし、
別の人生を追体験することもあるし。
第一章では 一度読んだ本をガラスケースに入れ陳列する男。
第二章は簡略化を極め内容を一言に要約する男。
第三章は出版物を多売するため、内容を煽り、売上数を稼ぐ男。
二章からは級友と共に行動することになるが、
男たちの不自然さを見極め、「本が好き」の観点から論破していく。
その際 思い出す祖父の言葉が素敵だった。
四章、終章の後に筆者による解説があった。
ほほーなるほどー、と思える点もあったけど、
解説というには私情が入り込んでいて、アレは「あとがき」とし、
別人の「解説」、つけて欲しかったなー。
「文学」として論じるなら いろんな点に突っ込める物語。
でも学問として読み解く元気はないなー。
音楽みたいに文楽(ぶんがく)、文章を楽しむ で充分。
「文楽(ぶんらく)」古典芸能として存在しちゃってるから
無理だなー、そーゆー表記。