- ([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)/ポプラ社
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京都の大学院から、
遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。
無聊を慰めるべく、文通修業と称して
京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。
文中で友人の恋の相談に乗り、
妹に説教を垂れるが、
本当に想いを届けたい相手への手紙は、
いつまでも書けずにいるのだった。
久しぶりに、森見登美彦氏の当たり作を
読めた気がします!
あ、もちろん狸シリーズ 以外で、ってことで。
面白かったです~。
読んでると、能登半島に行きたくなりますね。
能登鹿島駅、とかいいですね!
登美彦氏の作品は、なぜか
季節を感じます、読んでいて。
“青春”だからでしょうか?
どこか、“ノスタルジック”だからでしょうか?
こういうイメージ、です。
そして今作も、心が元気になる名言がいっぱいでした。
「悪いことは言わんから、寝ておけ寝ておけ。」
とか・・後は、
やむを得ぬ――これは伊吹さんの言葉です。
雨の卒業式のあと、僕は伊吹さんに言ったはず。
「君は人生の荒海に乗り出すのであるな?」
「守田君は乗り出さないの?」
「乗り出すべきか、乗り出さざるべきか」
「またそんなこと言って!」
とアハハと笑われた。
「伊吹さんだって、『乗り出したくないなあ』と
思うこともあるだろ?」
僕がそんな目糞鼻糞虫的なことを呟くと、
伊吹さんはべつに馬鹿にすることもなく、
ニッコリ笑って言いました。
「思う思う思う。でも、『やむを得ぬ!』」
あんなに楽しげに「やむを得ぬ!」という言葉が
口にされるのを見て、
僕はとても感心したのを覚えています。じつに素晴らしい。
僕もああいう風に、「やむを得ぬ!」と言える境地に到達すべく
精進すべきだと思います。
これから毎朝、ニッコリ笑って「やむを得ぬ!」と言おう。
そうして何でもやってみせ、
伊吹さんに追いつけ追い越せ、やむを得ぬのだから!
いいですよね!「やむを得ぬ!」これ、
私も使いたいです。
手紙だけで物語は進むのに、
登場人物一人一人の人となりがすごくよくわかり、
読み進めるうちに愛着がわいてくる・・。
良書だと思います。
かなりおすすめです!