嵐が丘 / エミリー・ブロンテ | 趣味は読書です

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ひたすら読んだ本たちの記録

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ヨークシャの荒野に立つ屋敷“嵐が丘”。

その主人が連れ帰ったヒースクリフは、

屋敷の娘キャサリンに恋をする。

しかしキャサリンは隣家の息子と結婚、

ヒースクリフは失意のなか失踪する。

数年後、彼は莫大な財産を手に戻ってきた。

自分を虐げた者への復讐の念に燃えて…。
発表当時から

「ページを繰るのももどかしいような面白さ」

と評された名作の新訳。





たま~に古典的名作を読んでみましょう、

という試みの、

何冊目かは忘れましたが笑、今回は

「嵐が丘」です。イギリスの、

ヴィクトリア時代(江戸時代末期)を代表する

“ブロンテ姉妹”の真ん中、エミリー・ブロンテの作品です。

ちなみに姉のシャーロット・ブロンテは

ジェーン・エア 」が有名ですね。


題名を見てもわかる通り、

イギリスの田舎(ヨークシャー)の

荒涼とした寒々しい雰囲気が存分に出ていました。

原題は「Wuthering Heights(ワザリングハイツ)」と言い、

Wutheringはヨークシャー地方の方言で、

天候が悪化して「風が吹きすさぶ」ような状態を意味する

形容詞。Heights は「丘」や「高地」。

これを「嵐が丘」と訳したのは

素晴らしい名訳とされています。

「赤毛のアン」とかもそうですけど、

題名をどう日本語に訳すかって

何気に一番重要ですよね。

そしてもちろん、小説本体の翻訳も重要で、

私が今回読んだ岩波文庫の河島弘美さんの訳は

結構読みやすかった思います。

調べていると、某出版社の訳はとんでもなく読みにくい、

とか結構書かれていることが多かったりしたので、

読む前にちょっと評判を調べておくといいかもしれません。


前置きが長くてすみません。後1つだけ。

この「嵐が丘」は世界の十大小説

のひとつに入っています。すごいですよね。

そしてもちろん、その評価に値する面白さでした。

さあ、最初に書いておきたい情報はこのぐらいですかね!

やっと感想を書けます!



先ほど、とても面白かったと書きましたが、

そう思えるまでは若干時間がかかりました。

まず最初にこの相関図を貼っておきます。




・・ややこしすぎませんか??名前かぶりすぎ!笑

そもそもこの物語は

二つの屋敷に住んでいた3世代の人たちのお話を、

そこでずっとその人たちの世話をしていた家政婦が

人に話して聞かせる、という形式なのです。

まずこの二つの屋敷の関係性を理解するのに苦労しました。

まあ物語当初や中盤では違うのですが、

このお話が進んでいる現在(物語中)でのことで&

現代の日本的に言うと、、

「嵐が丘」が大家さんのおうちで

「スラッシュクロス」が人に貸しているアパート、

といった感じでしょうか。

正直これは物語の本筋には関係ないのですが;、

最初私はここでまず混乱したので、一応書きました。


もうね、この物語を一言で言うなら、

どろっどろの愛憎劇、です!笑

本当に、常に誰かがヒステリー起こして泡ふいてる

というような状況です。恐ろしいです。


そもそも私、こういう時代のお手伝い制度が嫌いなんです。

自分より年上の人が自分に仕えていて

身の回りのこととかを何でもやってくれる、

ということが感覚的にわかりません。

しかもこの物語のそういうお嬢様やお坊ちゃん達は

大体皆究極にわがままだったので、読んでてイラっイラです。

この本の語り手でもあり

そのわがままなあほ達に仕える身でもあった

ネリー(エレンとも言います)は結構そのわがまま達を

こらしめようと(?)する行動が多く、

実はこの物語で起きた悲劇のほとんどは

ネリーのせいなんじゃないかという解説や分析も

ネットで多く見られましたが、私は断然

ネリーの肩を持ちながら読み進めていました。

もう本当に腹立ちますから!

特にキャサリン(母の方)とリントン!

キャサリンは最初は無邪気でいい子かと思いきや

どんどん傲慢っぽくなっていきましたし、

リントンはもう・・一人では何もできません。

こいつへの苛立ちはぜひ

実際に本を読んで確かめてほしいです。

キャサリン(娘の方)はこんなやつほっとけばいいのに、

と何度思ったことか!


そして肝心の、物語の中心の“悪”、ヒースクリフ。

彼に関しては別に何も言うことは無いですかね。

かわいそうな人だなあ、といった感じでしょうか。

それでも一番腹が立った場面はといえば、

キャサリン(娘)とネリーを屋敷に閉じ込め

死にかけのお父さん(エドガー)を苦しめたところです。

あそこらへんはもう本当にどきどきで、

どこまでも執念深いヒースクリフが恐ろしかったです。

でも何とか抜け出すことができお父さんの死にも間に合い

よかったなぁと思います。このエドガーは

物語の中で唯一のまともな人間でした。

そしてヒースクリフの最期は、ようは

気が狂ったということですよね?

そのちょっと前ぐらいから確か

キャサリン(娘)とヘアトンがうまくいきかけてる感じで

ああもうヒースクリフの役目は終わってしまったんだなあ

と思いました。彼の人生は何の為にあったのでしょうか。


そして今ちらっと出ましたヘアトン。

彼がもう本当にかわいくてね!!

ヒースクリフのせいで字も読めず教養もなく

原始人みたいに育ってしまった彼ですが、

元々の素質はありました。その彼が

キャサリン(娘)に認めてもらおうと(?)、

字の勉強などを始めるのですが

それを嘲笑するキャサリン。

ヘアトンを絶望の淵に叩き落します。

しかしリントンも死に、自分の過去の行動を反省して

ヘアトンに歩み寄るキャサリン。

ヘアトンはかつて手ひどく傷つけられたことから

最初は突っぱねますが、

それでも二人が近づくのは時間の問題。

結果的に超ラブラブになりましたからね。笑

結局二人のキャサリンの明暗を分けたのは

ヒースクリフを選ばなかったキャサリン(母)と

ヘアトンを選べたキャサリン(娘)、

ということになりますかね。

その他の人物も含めて

きれいに対比している方がおられましたので、

貼らせていただきます。

嵐が丘


いや~~たくさん書きました。本当に面白くて

勢いで上下巻読み切りました。

長年読み継がれる本にはそれだけの理由がある、

と実感しました。

超余談ですが、

堀北真希さんと山本耕史さんが急接近したのが

舞台「嵐が丘」でしたよね。キャサリンとヒースクリフです。

他にももう一組、違う舞台の「嵐が丘」がきっかけで

結婚された方として安倍なつみさんと山崎育三郎がいます。

こちらはキャサリンとエドガーです。

そう考えるとちょっと面白いですね。

なんか最後にゆるっとなってしまいましたが笑、

長ーーい文を最後まで読んでいただいた方、

ありがとうございました。




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