今日は、t-onlineに掲載され、ドイツで話題になった記事をご紹介します。
t-onlineはドイツテレコム関連で、150人のジャーナリストが寄稿するオンラインニュースポータルです。元記事はこちら↓

https://www.t-online.de/nachrichten/corona-krise/id_100054782/reiner-fuell-mich-der-billionen-euro-schwindel-um-corona.html

弁護士ライナー・フュルミッヒは、日本でもそれなりに知る人は知っている有名人かと思います。私も、初めてフュルミッヒの情報を目にしたのは、日本語でした。

新型コロナはでっち上げだとして、ロックダウンなどで被った損害賠償を求めて、USAやカナダでクラス・アクションという手段で裁判を起こし、賠償を勝ち取ると主張して、共同原告を募集していた弁護士です。

フュルミッヒの主張について、新型コロナ損害賠償

https://ameblo.jp/pianistin/entry-12636956749.html


https://ameblo.jp/pianistin/entry-12647203955.html

元記事は裏付けが豊富で、記事公開後の反応に対しても補足があり、とても丁寧で長い記事です。
できるだけ簡単に、要点をかいつまんでご紹介したいと思います。

<要点>

★フュルミッヒは、ベルリン医科大学ドロステン教授、ロベルト・コッホ研究所長ヴィーラー教授、テドロスWHO事務局長を相手に、USAおよびカナダの集団訴訟クラス・アクションを企画、訴訟参加費用800ユーロで共同原告を募った。

★フュルミッヒはクラス・アクションの成功と得られる多額の補償金や、コロナ措置の変革、世界中の訴訟ネットワークなどを語り、史上最大の裁判になると人々を煽り、コロナ措置に疑問を抱く人々から多額のお金を集めた。

★クラス・アクションの成果はいつになっても聞かれず、共同原告になった人々の中には、フュルミッヒを相手に損害賠償を訴えようとする人々も出てきた。

★しかし検察庁の見解では、この件は詐欺の要件は満たしていない。

★集めた多額の資金の所在と使途は不明な点も多く、明らかな回答は得られていない。

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興味深い点について、いくつか掘り下げたいと思います。

1. 共同原告に請求された、費用の具体例

・クラス・アクション費 税込みで928ユーロ
・全般アドヴァイス費 11,900ユーロ+3,570ユーロ

さらにある日、突然にデュイスブルク州裁判所から12万ユーロの請求書が届きます。

顧客の委任状もなく、それどころか事前通知もいっさいなく、フュルミッヒはコッホ研究所長ヴィーラー教授に対して、提訴していたのです。

訴状にフュルミッヒは「千万ユーロ単位の高めの金額の損害」と書きました。裁判費用は、訴訟額によって決まります。この表現から、裁判所は最高額として3千万ユーロを設定しました、そこから算定されたのが12万ユーロだったのです。

その他の州裁判所からも同様の請求書が届きます。金額は5万ユーロ。原告企業が損害を受けたとされる額の証人は、この企業経営幹部ではなく、よその町のよその企業の二人の社長になっていました。

フュルミッヒはドイツ国内で、さまざまな裁判所でさまざまな企業のために(企業の同意も得ずに)、コッホ研究所長を提訴していたのです。
書類のずさんさから、片っ端からコピーして各地の裁判所に提出したのでは?と疑われます。

本来なら、ヴィーラーの居住地であるベルリンで提訴すべきです。
しかしそれではフュルミッヒはさまざまな提訴を行えなかったであろうと推測されます。

その結果、今度はフュルミッヒ自身が居住地ゲッティンゲンで、企業から提訴されました。
報酬の返上、裁判費用の損害賠償、弁護士費用で28万ユーロを請求されています。

さらに、フュルミッヒの「クラス・アクション」所属のテンプリンには、3枚の請求書に対し1万8千ユーロ近くの返済が求められました。

2. これは、詐欺ではないの?

集団訴訟をめぐるこれまでの状況について、ベルリン検察庁は詐欺とは判断していません。
その理由は、

最初から成果を出す意思がない、もしくは
成果を出せる状況にない

場合に限り、詐欺とみなすことができるからです。

つまり、この場合は委任を引き受け、そのための行動を起こすだけで任務は果たされており、
裁判で勝訴しなくても詐欺とは見なされません

たとえ今回のように、事前に法律関係専門家たちが「勝訴することは考えられないし、
仮に勝訴したとして、ドイツ人がドイツで賠償を受け取れるとは考えられない」と警告していたとしても。

3. 実際に行われたクラス・アクション

USAでは行われていません。
カナダと南アメリカで提訴が試みられましたが、スタート地点に止まったままです。

ちなみにカナダはイヌイット側の弁護士が、女王とバチカン市国を相手に提訴しようとした国。
カナダの担当弁護士は南アメリカに転居しています。

4. 集まったお金はどこへ?

今まで訴訟参加希望者に発行された請求書の合計額は、少なくとも144万ユーロに上ります。
ただし、名義はマルセル・テンプリンになっています。

テンプリン弁護士事務所はその前から、クラブや飲食店に対して、法律に関する援助の提供を目的にしていました。

「コロナ損害賠償訴訟」では、フュルミッヒと協力関係にありましたが、現在では活動の著しい違いを理由に袂を分かちました。

8月までフュルミッヒは「コロナ委員会」に所属していました。
コロナ委員会はパンデミーの「見直し」を計り、120時間以上にわたる会議を開いて、(えせ)学問に基づくコロナ批判動画を観客に提供していました。

コロナ委員会は、クラス・アクションとは関係のない寄付も含め、7桁ユーロのお金を得ました。

*コロナ委員会代表フィッシャー弁護士とフュルミッヒの、お金お金を巡る激しい応酬メラメラ

フィッシャーの主張

ーフュルミッヒはメール処理費として、月29,750ユーロ、計66万ユーロを請求し、委員会は彼に支払った。しかし、フュルミッヒがメールに接続したことはなかった。

>フュルミッヒによれば、事務所では誰も通信を担当できず、機能しなかった。
月額1500ユーロの旅費もここに含まれている。

ー委員会の「流動予備費」のはずの70万ユーロは、フュルミッヒが持っており、フュルミッヒ個人の家につぎ込まれた。家が売却できればまた戻るはずのお金は、なかなか戻ってこない。

>フュルミッヒの反論は、貸付金契約により両者が持ち出したお金で、フィッシャーは生活のために10万ユーロ持ち出したのに、そのうち7万ユーロしか返済していない。

ー委員会の「資産財」に委員会が関与するのを、フュルミッヒは妨げた。ここで言う「資産財」とは、委員会の委託によりフュルミッヒが寄付金から購入した金(きん)をさす。フュルミッヒは「そうすれば役所の関与から逃れられるから」と説明した。フュルミッヒの協力がなくては金の売却はできない。

ー「寄付金」は、フュルミッヒの長年の従業者の口座、それからフュルミッヒ自身の口座に流れ込み、2021年末からはフィッシャーの口座が振込先として表示されている。

>フュルミッヒによれば、会議を放映するオバール・メディア社は、莫大な収入を得た。12万ユーロが委員会により清算された。その上フィッシャーの2度の寄付呼びかけに応えて、非常に高額の寄付金を得た。この会社の所有者は、フィッシャーの人生パートナーである。

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ちなみに、カナダ及び南アフリカの集団訴訟は、現地の弁護士の手弁当で行われました。

「10億訴訟」のために集まったお金は、どこに行ったのか、というt-onlineの問いに対し、フュルミッヒの返答は「いわゆるメインストリーム・メディアのインタビューは、私たちは行わない」でした(私「たち」が誰を指すのかは不明)。

他のメディア活動家に対する返答によれば
「フェラーリを買うために使ったわけじゃない」
訴訟のためのお金は、一部はまだ残っているそうで、数か月のうちにUSAでこのテーマに尽力したいとのことです。

5. フュルミッヒの罪状
 
今までのところ、民衆扇動の罪で90日分の日割罰金額200ユーロが6月に言い渡されています。

6. 今後の計画

コロナ委員会が決裂した現在、フュルミッヒは「国際犯罪研究委員会」(!)を始めたいのだそうです。

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困ってる時って、ずるい人に漬け込まれやすいですよね。
今のような戦争にインフレ、人々が不安になっている時代も、危ないですね。
みなさんも、おいしい話には気をつけましょうね。