前回の続きを書きますので、読んで貰えると嬉しいです。

 

退院して初めての朝、私はいつもの習慣で、朝5時に起きました。

隣に点滴に繋いだ状態の夫が寝ています。今まで自宅で点滴をしたことがないのでとても複雑な気持ちになりました。

夫が帰ってきて凄く嬉しい反面、点滴をつけている姿を見て「もう元には戻れないんだ。一体これからどうなるのだろうか。」と厳しい現実を目の当たりにしました。

 

夜中点滴スタンドを引く音が何度も聞こえていました。点滴をするとトイレが近くなるので、何回も起きて行ったそうです。これだと、ぐっすり眠れないだろうし、寝返りも打てない。こんな状態が一生続くのは辛いだろうなと思いました。

 

目が覚めるまでそっとしておきたいのですが、身動きしない夫がどうしても気になり夫の顔に手を当ててみました。

夫の体温を感じて、生きて帰って来てくれて本当にありがとうと心から思いました。

毎朝夫の顔に手を当てることが習慣になっています。

 

数ヶ月前までは、夫が生きているなんて意識したことがありませんでした。生きているのは当たり前と思っていましたから。

たった2ヶ月で、「今日も生きてくれてありがとう」に変わりました。

 

10時間の点滴を終えると、次は体温と血糖値を計り記録をつけます。

エレンタール(栄養ドリンク)を少しだけ飲みました。1日600ccを飲むように処方されているのですが、酷い味でとても飲めないので、少しずつ1日かけて300ccを飲むことを目標にしました。

朝、りんごを食べて今日のやりたい事を一緒に考えました。無理は出来ないけど、やりたい事をどんどんやってみて、エネルギーを上げていきたいと思いました。

 

お散歩と買い物がしたいと言うので、近くの駅まで散歩のついでに、買い物をしようということになりました。自宅から駅まで17分、往復30分以上も歩けるのだろうかと少し心配しました。

ゆっくり歩き始めて、疲れると立ち止まりを繰り返し、片道30分くらいかけて歩きました。

「体力落ちちゃった。これから毎日散歩する」と本人はとてもやる気がありました。

3回も大きな手術をして、2ヶ月間もほぼ寝たきり状態。食事は流動食の入院生活だったのに、退院した翌日にこれだけ歩けるのだから、これからの回復にとても期待できました。

 

スーパで食べたいものを一緒に選びました。味のないものばかりを食べていたので、お菓子やパン、アイスクリーム、果物や果汁のジュースなどを買いました。

ずっと食べることを我慢していたので、食べたいものが沢山ありました。

「毎日スーパーに買い物に来て食べたいものを買いにくれば、散歩も楽しくなるね」

と二人で話していました。

 

さすがに疲れたのか、帰り道、「目眩がする」と言って立ち止まりました。私は慌てましたが、本人は血糖値が下がっているからと、チョコレートを一欠片食べてすぐに復活し、無事家までたどり着きました。

血糖値が下がってしまったときの為に、飴やチョコレートを持ち歩いています。

 

その後、昼食は豆腐と鶏ひき肉を混ぜた鶏団子鍋を作りました。タンパク質を多く含むものをどんどん食べてもらいたいと思っていたので、思いつく豆腐、白身魚、鶏ひき肉を中心に考えました。おやつも、ケーキやクッキー、シュークリームを作って、お腹が空いたときの間食用で食べてもらいました。お菓子は高カロリーなので、少しの量でもカロリーが摂れるので夫には良かったみたいです。

夫の場合、食べてもすぐに出てしまうので、お腹が空いてしまうため、1時間置きには

何か食べています。

夫は食べるとすぐに、食べたもの、トイレの回数などを記録していきました。

日中は好きなアニメを一緒に観て笑って過ごしました。

 

夕方になると、自分でレベスティブ注射をお腹に打ちます。けっこう痛そうです。

夕食はお粥と鳥テリーヌなどを食べました。ステーキを食べたいと言っていましたが、もう少し様子を見てからにしました。

夜は一緒にお風呂に入り、点滴をセットして22:00就寝。

こんな感じでしばらく過ごしていました。

 

退院して3日目に訪問看護師が来てくれて、様子をみてくれましたが、食欲もあり、散歩もしているので、血圧、脈拍、血糖値などに異常はありませんでした。また、食べた物(かなり細かく)とトイレの回数、体温、血糖値、体重を記録したノートを見せたらびっくりしていました。「記録を付けてるんですね。素晴らしい」と褒められて夫はとても嬉しそうでした。(夫の得意分野ですからね)

「しかし、退院して間もないのに、こんなに食べられるんですね。凄い!」とかなりびっくりしていました。

「この調子なら、いずれ点滴外せちゃうかもしれませんね。」と言ってくれました。

 

退院して5日目には、障害者手帳の申請手続きなどのため二人で役所に行きました。

お昼は入院中すごく食べたがっていたラーメンに挑戦しました。物凄く美味しかったらしく、1人前ぺろりと食べました。退院してしばらくは消化の良いものを中心に食べていたので、「本当に大丈夫なのか」と心配になりましたが、先生の言った通り、胃は問題ないので、酷い下痢を起こすこともなかったようです。

 

ここから先は、お粥をご飯にしたり、肉や魚も普通に食べるようになりました。

量を気をつけてと言われましたが、普通に1人前食べて、1時間ごとにお菓子やおにぎり、パンなどを食べました。とにかくよく食べます。食べてもすぐにお腹がすいてしまうらしいです。しかし、これだけ食べても体重は増えません。毎日体重を計りますが、なんとか体重を維持している感じでした。

 

このまま順調に回復して欲しいと願っていましたが、退院9日目突然の発熱がありました。全身ガタガタと震えて、「寒い!寒い!」と言っていました。熱を測ると39度近くあり、どうしていいのか分からず、夜の10時過ぎに訪問の看護師さんに連絡しました。

「39度の熱があるので、ロキソニンとアイスノンで熱を下げ、様子を見てください。熱が下がらないようであればもう一度電話して下さい」と言われ指示通りにやってみましたが、38度以下には下がらず再度連絡しました。「明日にでも、伺いますので今晩はロキソニンとアイスノンなどで、熱を下げて下さい」とのことでした。

とても不安で一睡も出来ませんでした。

退院したばかりなのに、また入院になってしまったらとネガティブな方に考えてしまいました。

 

この続きはまた次回書きますので読んでもらえると嬉しいです。

この頃の私はゆっくりと時間を掛けて回復してくれればと思って過ごしていました。

穏やかで優しいくて、気持ちが落ち着くこの曲を弾いてみましたので、

下手な演奏ですが、どうぞ聴いて下さい。